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米海軍、ステルス爆撃機に似た全翼型無人潜水艇を開発(HOT WIRED)
http://www.asyura2.com/0401/war49/msg/111.html
投稿者 シジミ 日時 2004 年 3 月 06 日 13:17:02:eWn45SEFYZ1R.
 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040305-00000004-wir-sci

http://www.onr.navy.mil/default.asp 米海軍研究局によると、米海軍は3月に全翼型[胴体、尾翼などがなく、全体が翼のような形]の無人潜水艇の試作機のテストを開始する計画だという。同局では、これまでにこのプロジェクトに50万ドルを投じている。

 この「全翼型水中グライダー」のテストが成功すれば、研究者らがこれまでで最大かつ最速になると期待する新世代水中グライダーへとつながる可能性がある。研究者によると、この新型水中グライダーでは、海面下での何万キロにも及ぶ航行、極秘の偵察、軍事・民間両面でのデータ収集が可能になるという。

 「グライダーは、センサーを搭載し、航続時間の長い移動基地として利用できる可能性がある」と、海軍研究局の海洋工学・海洋システム部門でチームリーダーを務めるトーマス・フランクリン・スウィーン・ジュニア氏は述べる。「航続時間は、時間や日の単位ではなく、月単位になる」

 この全翼型グライダーの前にも、翼を持つ潜水艇は存在していたが、こうした形状のものはこれまでになかった。 http://sio.ucsd.edu/ スクリップス海洋研究所と http://www.ocean.washington.edu/ocean_web/ ワシントン大学海洋学部、 http://www.whoi.edu/ ウッズホール海洋研究所のプロジェクトでは過去7年間にわたって、 http://www.whoi.edu/science/AOPE/airsea/slocumglider.html 魚雷のような形を取り入れた水中グライダーはいくつか開発されてきた。B2ステルス爆撃機に似た今回の新しい翼の設計は、そうした他のグライダーと比較して、優れている点もあれば、劣っている点もあると関係者は言う。

 全翼型航空機を原型とするこの新たな潜水艇は翼幅約6メートル、最高速度の理論値は5ノット[時速約9キロ]――現在の水中グライダーの10倍――になる。これは外洋では力を発揮するだろうが、この大きさが災いして、浅瀬では航行が妨げられ、配備も現行のグライダーより難しくなる可能性がある。

 全翼型水中グライダーは、民間では、海洋科学研究、環境研究、漁場監視といった分野で応用される可能性が高いと、スウィーン氏は述べる。また、スクリップス海洋学研究所でグライダー設計を率いる上級エンジニア、スコット・ジェンキンズ氏は、海流の位置を調査したり、海洋動物をその行動を妨げることなく追跡したりといったことができるかもしれないと考えている。

 ジェンキンズ氏は、このグライダーが重要な役目を担う可能性のある応用例を2つ、具体的に挙げた。1つは、石油企業がマッコウクジラの動きを監視するのに利用するというケースだ。石油業界では、 http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20020730207.html クジラが近隣にいる場合(日本語版記事)、海中の石油埋蔵地点を探索するために屈折地震探査(激しい爆発を引き起こし、そこから生じる衝撃波を調べる)の発震を用いることは禁じられている。また、第2の例は、沖合の荒廃した海域を監視し、環境汚染によるビーチの閉鎖との関連を探る手助けをするというものだ。

 「こうした調査を経済的に行なえる手段は他にない」と語るジェンキンズ氏は、船舶を利用すれば、データ収集を船上で行なうにしても、海上のデータ収集所の機器運搬用に船を借りるにしても、費用が高くなると指摘する。こういったデータ収集所は暴風や、船舶の衝突、乱暴な扱いなどによるダメージの影響を受けやすい。

 スウィーン氏によると、そのほかで主に利用されるのは軍事方面だという。監視や偵察などに利用するものだ。「国防での利用には、おそらく船舶の交通など沿岸の監視も含まれるだろう」とスウィーン氏。

 将来的には、貨物の運搬など、別の役目も担うようになるだろう。「かなり大型のグライダーを考えている」とジェンキンズ氏は語る。「実用的なところでは、水中ロボット(水中車両)を移動させるというものがある。こうした機器はすべて母艦を必要とする。グライダーは極秘裏に母艦の役目を果たせるだろう」

 3月に予定されている米海軍のテストは、サンディエゴにある http://www.spawar.navy.mil/sandiego/ 宇宙・海事戦闘システム司令部内の広大なドックで実施される。また4月には、サンディエゴ湾と太平洋に挟まれたロマ岬の沖で別のテストが行なわれる予定だ。正確なテスト日はまだ決定していないが、目的は明確だ。

 「これらは流体力学的設計の有効性を確認する基礎テストになる。ある決まった浮力におけるグライダーの軌跡を観察し、設計どおりに航行しているかどうかを確認する。次の段階では、センサーを統合し、航続時間と航続距離を測定する予定だ」とスウィーン氏は説明する。

 スウィーン氏によると、米LBI社(コネチカット州グロトン)が製造した試作機は、厚さ約40センチメートル、ファイバーグラス製で外側は発泡プラスチックの肋材で覆われているという。またジェンキンズ氏は、グライダー内部では深海潜水時も鉄製の気密室が内部の機構を保護すると付け加えた。内部空間は1立方メートル強だが、システムと調査機器の管理には十分なスペースだ。

 ジェンキンズ氏によると、最も重要な制御システムは、水中グライダーを動かす浮力エンジンだという。エンジンはバッテリーで高圧ポンプを動かし、浮き袋を膨らませる。浮き袋が膨らんで排水すると、水中グライダーは浮上していく。逆に浮き袋をしぼませると排水量が減り、グライダーは沈んでいく。

 スウィーン氏の説明では、浮力が変化することで垂直の力が生まれるとき、水中グライダーは前進するという。つまり、グライダーは水塊の圧力を利用して、この垂直の力を前進の動きへと変換するのだ。言い換えれば、潜水の深さを変えることで前進するということになる。さらにジェンキンズ氏によると、グライダーに搭載されたコンピューターは、バッテリーの位置を架台上でスライドさせ、船体の重心を調整するという。これは舵取りにも利用される。

 この新設計が現行の水中グライダーより潜在的に優れている点の1つは、翼の形の効率性だとジェンキンズ氏は話す。ほぼ全面で浮力を生み出すため、ほんのわずかなエネルギーで長距離を航行できる。

 「このグライダーは、これまでで最も効率的な形だ」とジェンキンズ氏。「これの原型は鳥だ。自然ほど要求の厳しいエンジニアはいない」

 グライダーは海面に浮上して衛星にデータを送るか、もしくは水面下に沈んだまま音波を送信することになる、とスウィーン氏は説明する。

 全翼型グライダーのテスト結果に関心を寄せているのは海軍だけではない。

 水中グライダーのメーカー、 http://www.webbresearch.com/products.htm 米ウェブ・リサーチ社のプロジェクト担当エンジニア、クレイトン・ジョーンズ氏は、「われわれも必ず、スコット(ジェンキンズ氏)が達成したことを追って、(グライダーの)可能性を追究する」と述べた。

[日本語版:近藤尚子/高森郁哉]

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