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蜜月日米 いばらの道
イラク多国籍軍
米・シーアイランドで八日行われた日米首脳会談で、小泉純一郎首相は主権移譲後のイラクに展開する多国籍軍に自衛隊を参加させ、駐留を続ける方針を表明した。いくら復興・人道支援とはいえ、自衛隊の海外活動はまた一歩、未知の領域へ踏み出すことになる。また、主要八カ国(G8)では、既に半数の四カ国が不参加方針を明らかに。日本の姿勢をもろ手を挙げて歓迎するブッシュ米大統領だが、「多国籍」の枠組みづくりの道は遠い。
■日■
「暫定政権にも歓迎される形で自衛隊派遣を継続する」
日本側の説明によると、首相の首脳会談での発言はこうだ。それが米側の発表によると、首相は国連安全保障理事会のイラク新決議に基づき派遣を続けると、より具体的に語った。国内で十分な説明をしないうちに米首脳に真っ先に表明したことには、政府にもためらいがあったのだろう。
湾岸戦争時の多国籍軍のように、武力行使を目的とした部隊への自衛隊参加は憲法上許されない、というのが従来の政府見解だった。ところが、秋山収内閣法制局長官は一日の国会答弁で「武力攻撃を伴わない任務が与えられる場合の参加は問題ない」との新たな憲法解釈を示した。
その「武力行使を伴わない任務」を担保するためには、日本が独自に任務内容について判断していかなくてはならない。政府は先に、外務省幹部を米国に派遣し、米軍主導となる多国籍軍の指揮下に自衛隊が入らずに済むよう調整を図った。
しかし、イラク情勢がさらに悪化した場合、日本が「友軍」を置き去りにして勝手に「多国籍軍から離脱します」と言えるかどうか。それこそ日米同盟に亀裂が入る事態に発展しかねない。
しかも、今度は「有志連合」の正規メンバー。イラク国内での自衛隊への反感が一気に高まる恐れもある。
湾岸戦争後の一九九一年、機雷除去のための掃海艇をペルシャ湾に送ったのを皮切りに拡大する一方の自衛隊海外派遣。それでも、歴代政権が二の足を踏んできた多国籍軍参加を、日米同盟に傾斜する小泉首相はさも当然のように決断した。
(政治部・青木 睦=首相同行)
■米■
「この昼食を本当に心待ちにしていた。首相と会うときは、いつも建設的で重要な対話があるから」
ブッシュ大統領は八日、“盟友”小泉首相との会談の冒頭、こう切り出した。
大統領にとって、イラク復興・民主化に向けた国際的な支援を得ることは、イラク国内での反米感情を和らげ、米国自身の負担を軽減するためにも必要だ。それは、再選を目指す十一月の大統領選で、イラク復興の成功をアピールするための選挙戦略の一環でもある。
八日採択の安保理新決議に基づき、多国籍軍の一部として、小泉首相から真っ先に確約を受けた自衛隊の駐留継続は、大統領にとってまさに「心待ち」の援軍となった。
だが、これだけで、多国籍軍への国際的な参加拡大に拍車がかかるわけではない。サミット参加国のうち、フランス、ドイツ、ロシア、カナダは、国内の反戦世論などから部隊を派遣しない方針を鮮明にしている。
米国は不参加組のこうした状況を「理解している」(米政府高官)としながらも、ブッシュ大統領は既に、各国参加が期待薄なことを見越して、「必要なら米軍部隊を増派する」との考えを表明した。看板は「多国籍軍」に変わっても、実態が相変わらず米軍主導のままでは、主権移譲後もイラク国内の反米機運が収まる保証はない。
小泉首相の援軍を受け、ブッシュ大統領が推進するイラク戦略は、二人の盟友関係のきずなである自衛隊を、ますます治安悪化の泥沼に引き込む危険をはらんでいる。
(アメリカ総局・豊田洋一=米大統領同行)
■仏独ロ加参加せず G8真っ二つ
国連安保理のイラク新決議に基づく多国籍軍への参加で、イラク戦争に強硬に反対したフランス、ドイツ、ロシアは派兵拒否の姿勢を堅持。カナダも派兵に否定的で、サミット会場の各国首脳らは、イラク復興への協調で、表向き「採択大歓迎」の発言の裏に、一部、冷ややかな表情ものぞかせた。
「合意まで本当に長い時間がかかった決議だけに、イラクの情勢変化には何らかのインパクトがあるのだろう」
サミット会場で報道陣を前にしたロシアのプーチン大統領は、採択に大喜びのブッシュ大統領を横目に、皮肉っぽくつぶやいた。ロシアの「派兵なし」は既に表明済み。まるで米英主導の多国籍軍の「お手並み拝見」といった引き気味の姿勢をにじませた。
フランス大統領府のコロナ報道官は八日の会見で、採択を「大勝利」と表現したブッシュ大統領に対し「それが勝利? 判断する立場にないが、慎重になるべきだと思う」とくぎを刺した。
ドイツのシュレーダー首相も同日のブッシュ大統領との会談で、北大西洋条約機構(NATO)軍の早期派遣に慎重な姿勢を示した。
米英が国際社会の幅広い参加を目指した多国籍軍だが、欧州各国などの不参加で、協調をサミットの目玉に狙ったブッシュ大統領の思惑はくじかれた形だ。
(サバナ・久原穏)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040610/mng_____kakushin000.shtml