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(回答先: 日本経済の軸足を移す時代がやってきた 対米依存やめ東アジアを重視せよ【BUND_WebSite記事】 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 6 月 10 日 18:46:13)
対米依存経済構造や対米追従政治構造からの脱却の重要性は共有できるテーマだが、その目標が「東アジア地域統合」となると疑義を呈せざるを得ない。
「だが21世紀の今日、アメリカがダントツの経済大国だった時代は完全に終わった」という認識からまず検討したい。
米国が経済大国から転落し米国を覇権国家とした戦後世界構造も崩壊に向っているが、米国がダントツの“輸入大国”であるという状況は逆に拡大していることを忘れてはならない。
米国は貿易収支赤字5千億ドル(約54兆円)で世界の「需要吸収者」の位置を占めている。(連邦政府財政赤字も5千億ドルだから、それで「需要吸収者」の位置を維持し、日本政府がその40%を“ドル買い政策”で支えていることになる)
ざっぱくに言うと、製造業(産業)においては、米国貿易赤字―アジア(中国と日本が中心)貿易黒字という“電位差”が現在の世界経済を支えていると見ることができる。
(EUは、域内優先で、米国―アジアの“電位差”がもたらす活況を利用するものとして世界経済に関わっている)
この“電位差”が縮小したり消滅したら世界経済は間違いなく低迷することになる。
日本の輸出(貿易収支黒字)増加、とりわけ対中国輸出増加も、この“電位差”のおかげである。
米国―アジアの“電位差”の縮小によりもっとも大きな打撃を受けるのは、最大の受益者であるアジアなかんずく日本と中国なのである。
米国支配層(世界支配層)は、米国経済の“自爆”そして戦後世界構造の崩壊を承知の上で米国を「需要吸収者」に仕立て上げている。なぜなら、それこそが米国の覇権を決定的に左右するからである。軍事力でも金融力でもなく、「需要吸収者」であることが戦後米国の覇権を安定的なものにしてきたのである。
(借金で「需要吸収者」になっているのだから、結末の付け方次第でそれほど痛い話ではなくなる。借金して豪奢な暮らしをした後に、借金をうまく踏み倒せば(死んでも可)いいのと同じである)
このようなことから、SENKIの「つまり、中国経済のめざましい発展こそが、日本の対アジア貿易増大――貿易構造自体の変化を根本的に規定しているのだ。「日本(経済)はアメリカなしでは生きていけない」などと、対米依存をことさら強調するのは事実を見誤らせるものでしかない。むしろ日本経済は、中国およびアジア諸国なしでは生きていけなくなっている」という分析は大きな誤りである。(政治的ないし理念的な判断ではなく、経済論理的判断であることをお断りしておく)
「アメリカからアジアへ」と叫んでみても、日本とアジア諸国の貿易やアジア諸国の経済成長が米国―アジアの“電位差”に支えられているのなら、代わりの“電位差”をつくらなければならない。
端的に言えば、「アメリカからアジアへ」と叫び、「東アジア地域統合」を“経済的不満”なく進めるためには、アメリカに代わって、日本が「需要吸収者」(輸入大国=貿易赤字大国)になる覚悟がいるのである。
経済成長第一主義の中国が、それなしに日本が提唱する米国から脱却した「東アジア地域統合」を受け入れると考えるのは妄想である。
日本企業の一部はすでに日本で消費される財を中国などアジア諸国で生産して輸入しており、それが日本の「デフレ不況」要因にもなっているが、数千億ドルの貿易赤字を計上するほどの「輸入大国」になる必要がある。(現在の日本は一千億ドルほどの貿易黒字である)
国際基軸通貨国でもなく覇権国家でもなく金融大国でもない日本が「需要吸収者」になる“経済的打撃”の大きさをSENKIは考慮だにしていない。
(国内産業は急激に衰退し、就業機会を手に入れた勤労者が失業者や生活困窮者を扶助する悲劇的な惨状をもたらすことになる。80年代以降の米国の比ではない惨状になる。そして、その一方で、トヨタなど国際優良企業の収益は海外展開で増大する)
政治的主張を別にして、日本経団連が望むような対アジア政策主張するのは、空論であるか日本破壊行為でしかない。