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(回答先: 反時代のパンセ 動員と統制 [サンデー毎日 2003.6.1/辺見 庸氏] 投稿者 なるほど 日時 2004 年 6 月 03 日 17:58:03)
いったい、この国はどうなってしまったのか! 魚住 昭 (著), 斎藤 貴男 (著)
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25 二〇〇二年二月二十日 魚住 昭
私たちは滅びの坂を、転げ落ちているのではないか (P265〜267)
有事法制の成立が間近に迫ってきた。私たちの将来を軍事色に塗りつぶす、危険極まりない法案だというのに、新聞はその危機感がまるで見られない。野党の民主党に至っては有事法制賛成というのだから開いた口がふさがらない。新聞や野党の役割は国家権力の暴走をチェックすることではなかったか。これほどあからさまにジャーナリズムや議会の機能不全を見せつけられると、やはりこの国は滅びの坂を転げ落ちるしかないのかと、やけっぱちな気分になってしまう。
きっと大橋巨泉氏も同じような思いだったのだろう。「金融や雇用など焦眉の問題がこれだけあるのに、なぜ自衛隊が人の庭を歩けるようにする法律を作る必要があるのか」と民主党執行部を批判して参議員を辞職してしまった。
大橋氏の指摘は核心を突いていた。もともと有事法制は旧ソ連軍などが海を渡って日本に上陸してくる事態を想定して研究されてきたものだが、当のソ連は既に消滅した。「悪の枢軸国」とブッシュ大統領が名指しする北朝鮮にしても、朝鮮半島で直接対峙する韓国軍や在韓米軍を素通りして日本に攻めてくるわけがない。冷戦の終結で日本が侵略される危険性は格段に低くなった。なのに、なぜ有事法制なのか。
こう言うと決まって持ち出されるのが不審船事件だ。有事法制が想定する事態とは質が違うのだが、あの騒ぎは「北朝鮮は怖い」というイメージを植え付け、国防意識を盛り上げる上で絶大な効果を上げた。たぶん後世の歴史家は「有事法制成立のきっかけになった事件」として記録するだろう。
だが、この不審船事件にはおかしな点がある。発生の時期を考えてみてほしい。一回目が九九年三月で、ガイドライン関連法案が国会審議される最中だった。二回目は今国会直前の昨年十二月二三日だ。偶然にしてはあまりにタイミングが良すぎる。一回目の事件当時、官房長官だった野中広務氏が昨年九月の講演でこんな打ち明け話をしている。
「私は、世の中に明らかにしてませんが、官房長官在任中に北朝鮮の不審船事件に遭遇し、小渕総理の許可を得て史上初の海上警備行動を海上自衛隊に出した張本人です。けれどもあの時、北朝鮮の麻薬を運ぶ船は常に日本に来ていたと思います。後から考えますと、なぜあの時に発覚したのか、未だに不思議でなりません。あの時は防衛庁の調達業務の不祥事が次から次へと出てきて、ガイドライン法案が国会審議を混乱に陥れている時期でした。日本人はあの不審船で一挙にそういう問題から目を閉じてしまうことになりました」
野中氏は不審船騒ぎが意図的に起こされた可能性を示唆している。それが本当なら、私たちは巧妙な世論操作にまんまと乗せられていることになる。軍事に詳しい東京国際大の前田哲男教授に尋ねてみると、こんな答えが返ってきた。「まったく同感です。北朝鮮の船が近海に出没しているのは何十年も前からの常識でした。日本側は工作船を見るけるたびに武力を使わず追っ払っていたんです。それが突然、九九年になって警告射撃し、爆弾まで投下したのだから不自然ですよね。それに二つの事件はいずれも情報ソースは米軍の偵察衛星で、米軍から防衛庁に情報が入って最後は海上警備の不十分さを見せつけて終わるという共通点がある。世論操作のために誰かが仕組んだ疑いは十分にあると思います」
<以下略>