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公務が増えて“水入らず”減り
天皇家の『親子関係』研究
「具体的な内容を説明しないと国民も心配しているだろう」。天皇陛下が、そんな意向を示されてから二週間がたつ。だが、いまだ皇太子さまは、自らの「(雅子さまの)人格を否定する動き」という発言について、真意を語っていない。天皇家における「親子関係」とはいかなるものなのか。「菊のカーテン」の内側をのぞいた。
■廃止された水曜日の夕食会 昭和天皇が楽しみに
今回の「人格否定発言」との関連は別にして、天皇、皇后両陛下と皇太子ご夫妻のふれあいが減ってきているとの指摘は少なくない。
「今年に入って、美智子さまと雅子さまが直接お会いになる機会は一度もなかった。皇居に頻繁に出入りしている秋篠宮ご夫妻とは対照的です」。そう話すのは、静岡福祉大の高橋紘教授(皇室研究)だ。
複数の皇室ジャーナリストによると、昨年十二月、新年用の天皇ご一家の写真撮影があり、食事会も予定されていたが、雅子さまと愛子さまは退席した。三月十四日、天皇陛下の古希のお祝いも、雅子さまは欠席だった。五月十一日、天皇、皇后両陛下に欧州訪問のあいさつをするために、皇太子さまは皇居を訪れたが、予定を一時間早めて東宮御所に引き揚げた。この時も雅子さまは欠席している。
皇室取材二十五年の元担当記者は「両陛下と皇太子ご夫妻のすれ違いが生まれるのも、やはり毎週水曜日の定例参内がなくなったことが大きいのでは…」と推測する。昭和天皇の時代には両者が直接会話を交わす食事会が毎週あったのだ。
皇室問題に詳しい京都産業大の所功教授(日本法制史)は「その食事会は宮中定例参内と呼ばれ、毎週水曜日、皇太子一家が昭和天皇、皇后を訪ね、二時間程度の家族だんらんを過ごしていた」と解説する。
「明治・大正天皇時代にはなかった。昭和三十年代に、小泉信三・東宮御所参与が昭和天皇に、普通の家庭の親子のように皇太子に接する機会を持つことを進言したことがきっかけで始まった。お付きのものも中に入れず、ご家族“水入らず”の会合だった」
■御所に書類を持ち込む現在
食事会では、当時の皇太子夫妻から、海外のみやげ話などもしばしば披歴されたようだという。「もともとは、幼いお子さまたちをお見せする意味で始まったようだ。昭和天皇も家族のだんらんをとても喜んでおられた」と前出の元皇室記者も振り返る。
「定例の食事会を通じ、むしろ一般家庭よりは近しく情を交わしておられたかもしれない。昭和五十年代に、当時の皇后がケガをされ、那須でお一人で静養されていた折、孫に当たる浩宮さまは一人で吹上御所をお訪ねになり、公務で御所を離れられない昭和天皇を慰めておられた」
その定例参内も今の天皇陛下が皇位を継承してから廃止された。その理由について「昭和時代に比べて、『開かれた皇室』に求める公務が多くなり、両陛下とも忙しくなったためではないか」と推測する。
「昭和天皇はお住まいになる御所と公務をされる宮殿をはっきり分けていた。御所にご公務を持ち込まれることはなかった。現在では、御所での面会もあり、政府関係の書類も御所に持ち帰ってご覧になったりしている」と説明する。
■雅子さまの苦悩美智子さま理解
ただ、別の皇室記者は定例参内の廃止について、美智子さまのご意向も働いていたことを明かす。
「美智子さまは人間関係が煩わしい定例参内を嫌っていた。ご本人も体調不良を理由に何度か欠席していたぐらいだ。美智子さまには、雅子さまに自分と同じような苦労をさせたくないという気遣いがある」
親子二代の家族間の情愛を深めるための会合も、もとは他人である「嫁」の立場からすれば公務同様、あるいはそれ以上に精神的負担のかかる場となる。
「皇室にも一般家庭のような嫁・姑問題がある。ただ、美智子さまは雅子さまの立場がよく理解できるだけに、悩みは深いだろう」(前出の皇室記者)
所教授も「皇太子ご夫妻との会合の機会が少なくなっていることも、過密スケジュールのなか体調を維持してほしいという両陛下の雅子さまへの配慮を感じる。皇太子さまが訪欧あいさつを早く切り上げたのも、両陛下が『準備が大変だし、雅子さんのそばにいてやった方がいい』と言われたと聞いている」と話す。
■宮内庁の出向組 皇室よりも保身考え
異例の事態や発言が続発する背景として、天皇家の「親子関係」よりも宮内庁の不手際を指摘する声が多い。所教授は「陛下の古希のお祝いを雅子さまが欠席したことには驚いた。どうしても出るべき重要行事。相当体調が悪かったのだろう。その事情を宮内庁は、きっちり説明すべきだった。雅子さまのマイナスイメージを軽減しようという配慮がない」と非難する。
「今、皇太子ご夫妻のことを真剣に考えてくれる側近がいない。『人格否定』発言でも明らかだ。皇太子さまは立場上、人を非難するような発言は慎むが、そんな配慮ができないほど追い込まれている。本当の側近がいれば『自分が憎まれ役になります』と身代わりになったはずだ」
天皇陛下の「具体的な内容を説明しないと…」という意向についても、前出の皇室記者が、これまでの親子関係から「陛下のご発言は、お立場上、そう言わざるを得ないだけで、本当は皇太子さまのお気持ちや、お考えを承知しておられるのではないかと思う。お二方の間では、忌憚(きたん)のないお話があるはずだ」とみる。
元東宮侍従の浜尾実氏は「私は二十年間、東宮侍従を務め、一生を皇室のために尽くそうと思った。今の宮内庁は他の官庁からの出向組が多い。数年で異動になる出向組は、保身しか考えていない。自分の任期中の失敗を恐れる官僚たちは本気で皇室のことを考えているのか」と苦言を呈す。
■「東宮職参与置くべきだ」
皇室と宮内庁のあり方について、所教授はこう提言する。「東宮側近は任期が三年程度と短く、引き継ぎもうまくいっていない。つまり皇太子さまの信頼できる相談役がいない。十年以上のスパンで皇室のあり方を考える顧問役が必要だ。現在任命されていない東宮職参与を置くべきだ」
だが、皇室問題に詳しいジャーナリストの亀井淳氏は「人格否定」発言を、より深刻にとらえる。
「神様だった天皇が戦後『生身の人間』になったが天皇、皇后両陛下や皇太子ご夫妻は行動の自由などの基本的人権も持っていない。皇太子さまの発言は『こんな状況ではやってられない』という叫びだったのではないか。象徴天皇制が内在する矛盾が表面化した形だ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040601/mng_____tokuho__000.shtml