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(回答先: 地方の『非核』も危機 有事7法案 議論なく衆院通過(東京新聞) 投稿者 下戸彩 日時 2004 年 5 月 24 日 09:06:57)
揺らぐ「非核神戸方式」 有事法制と神戸港
国会での有事法制関連三法案の審議や「非核三原則」見直しの可能性に言及した福田康夫官房長官の発言が、神戸港に波紋を投げかけている。「非核神戸方式」を掲げる神戸港は「日米安全保障上、欠かせぬ能力を有する港」として常に注目されてきた。近年は駐日米国大使や総領事らが相次いで神戸港への入港を求め、同方式に否定的な認識を示してきた。福田発言や防衛庁の情報リスト問題などで、法案の今国会での成立は見送られる公算が高いが、危うさを指摘する声は消えない。
(社会部 新開真理)
「安全保障上欠かせぬ」/拠り所は世論
「非核神戸方式」は、神戸港を管理する神戸市が外国艦船に非核証明書の提出を求め、ない場合は入港を認めないシステム。一九七五年、同市会が全会一致で「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」を採択した。
以降、同港に入った十七隻の艦艇は、核保有国のフランス、インドも含めすべて証明書を提出。英国は入港を断念、米国の船は一度も入港していない。「同時期(七五―九九年)に米艦船は国内の四十二港に計五百七回も入港した。数字をみても神戸方式の力は明らか」と兵庫県原水協の梶本修史事務局長は言う。
◇高い軍事的機能
同方式への圧力は確実に高まっている。九八年五月には「カナダは非核国。核の搭載はない」という外務省に押し切られる形で、カナダ艦艇が証明書なしで入港。昨年八月には同じ兵庫県内の姫路港へ、米国ミサイル巡洋艦「ビンセンス」が入った。同方式の決議後、県内で初、二十六年目の米艦船入港だった。
米国は折りに触れ、神戸港への入港希望を表明してきた(下表を参照)。同港が備える機能への期待が、バックに透けて見える。
六二―九九年の三十八年間について、県原水協が主要な米艦船の国内四十五港への寄港状況を調べたところ、神戸港は同方式決議後の七五年から「入港ゼロ」にもかかわらず、それまでの実績があり、計百十二回で一位だった。
「神戸港は使いやすい。規模が大きく水深もあり、季節風の影響を受けにくい。市民病院も近く、医療態勢も充実している」。港湾労働者でつくる全日本港湾労働組合関西地方神戸支部の池内則行書記長は港の機能をそう説明する。
寄港回数を集計した梶本事務局長は別の要因も指摘する。「今、国内で自衛隊の潜水艦の建造や修理に当たっているのは川崎重工業と三菱重工業の造船所だけだ」
海上自衛隊阪神基地隊(同市東灘区魚崎浜町)の元司令も、二年前の神戸新聞の取材に対し「日本海での有事を想定すれば、神戸港が使われる可能性が高い」「施設が整備されており、高速道路も近い。安全保障上、欠かせない港」と発言している。
「朝鮮半島の緊張が高まった九四年、在日米軍が神戸港の使用を求めていたことがすでに判明している」と指摘するのは、「有事立法と憲法改悪に反対する兵庫共同アピールの会」世話人を務める和田進・神戸大発達科学部教授。九七年にも米軍は周辺有事の使用対象港湾に神戸港などを名指ししている。
◇「政治的な判断」
“開港”を求める声は米国だけにとどまらない。外務省も八四年、「外交問題は国の専権事項。神戸方式は法律、条例などに根拠がない」「核の持ち込みについては事前協議制度がある」との見解で疑義を呈した。
「法的には神戸に入港できると外務省は言い続けている。世論が神戸市を支えているから、政治的判断をしているだけ」と和田教授はみる。
「在日米軍の行動には国内法令が適用されないと国は今でも説明している。有事関連法ができれば、米国艦船が核積載の有無を明らかにせず神戸港に入ってくるのは間違いない」と指摘する。
同方式を港活性化の「足かせ」とみなす声も、地元政界や経済界にくすぶり続けている。
◇何も見えない
有事法案の審議とともに同方式への関心も高まり、神戸市には自治体やマスコミから問い合わせが相次ぐ。
市みなと総局の美濃孝行海務課長は「市民の安全と財産を守るという責務は国も自治体も同じ。神戸方式が機能しなくなるとは思っていない」とし、その上で「二十七年を経て神戸方式は市民に定着している。市会の総意でもあり、尊重の姿勢は変わらない」とする。
有事関連三法案の一つ「武力攻撃事態法」では、自治体は国とともに「対処措置」を実施する責任を負い、土地や病院、港などの提供を求められる。
自治体に対する国の権限は格段に強くなり、港湾の占用も事前通告で可能になる。だが、現段階では法案審議はかみ合わず、関係閣僚らの答弁や見解も揺れる。
「基本的な考え方を早く示してほしい」。そう指摘する美濃課長は「神戸港をどう使うのか。そして市の役割は。現状では具体的な状況が見えてこない」。
「非核神戸方式」をめぐる最近の米国の動向と発言
【1999年11月/フォーリー駐日大使】兵庫県、神戸市などの議会会派代表を招き「私の在任中に神戸港に米艦の入港を希望」
【2000年2月/ルーダン総領事】「入港は安保条約で確保されている」「神戸方式は二国間関係において有意義でない」
【同年3月】米海軍長官が来日し、防衛庁長官との会談で米軍艦の神戸港寄港を要望。初めて日米両政府代表の公式会議の議題に
【同年4月/フォーリー駐日大使】米国企業の神戸港進出計画で視察。「艦船が入港できないと反米的な街だと誤解され、ビジネス面では多少マイナス」
【01年1月/ルーダン総領事ら】「一自治体が独自の外交を展開し、米国の寄港を受け入れない方式は矛盾」「神戸方式が時たま反米的印象を与え、神戸への投資を阻害している」
【同年8月/ルーダン総領事ら】姫路港に入港したビンセンス艦上の会見で「理解が深まれば将来的には神戸港へも入港したい」「非核神戸方式のため、神戸は経済協力などのチャンスを失っている」
注 肩書きは当時
http://www.kobe-np.co.jp/news_now/news2-148.html