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http://www.mainichi-msn.co.jp/it/coverstory/news/20040521org00m300119000c.html
年金未納問題：
社保庁、年金情報のアクセス判断、職員まかせ 「犯人捜し」に躍起
政治家らの年金未納・未加入問題で、個人情報データの漏えいの疑いを指摘される社会保険庁に動揺が広がっている。データへのアクセスが担当職員の判断に委ねられ、その是非のチェックが不十分になっている実態が漏えい疑惑を深める。社保庁は全国の職員に対し、業務目的以外でのデータ閲覧禁止の徹底を図ったが、並行して「犯人捜し」も続けている。（Mainichi Shimbun）
■■内部調査を明言
「情報漏えいがあったのではないか」。11日の参院厚生労働委員会で、民主党議員が福田康夫前官房長官の年金データを週刊文春が掲載した問題を取り上げ、居並ぶ社会保険庁幹部に厳しい口調でただした。
社保庁幹部は「本庁と業務センターの関係職員に（週刊文春から）取材を受けたか確認したが、そういう事実はなかった。全国の社会保険事務所については調べている最中」などと説明に追われた。
坂口力厚生労働相は16日、「マスコミに情報が漏れている」「内部の問題であり、事実確認をしたい。責任を明確にしないといけない」と、内部調査へ意欲を見せた。社保庁は現在、福田前長官らの情報漏れに絡んで、アクセスした職員の特定を進めているという。
■■本人が認めるしか……
社会保険オンラインシステムの個人データは社会保険業務センターのホストコンピューターに集約され、全国の社会保険事務所、年金相談センターと専用回線で結ばれている。個人データへのアクセスには専用カードが必要だが、それぞれのカードには番号があり、各カードの使用記録からどの職員が誰の情報を検索したかが記録に残る。特定の個人の国民年金情報を一定期間中に検索した人物は、記録を照会していけば分かるシステムになっている。
しかし、職員が業務上必要のない検索や閲覧をしていないかどうかのチェックは事前にも事後にもなく、担当職員の判断に任されているという。
仮に今後の調査で検索、閲覧した人間が分かっても「外部に情報を流したかどうかまでは、本人が認めるしか特定する方法はない」と社保庁幹部。別の職員は「情報を漏らしたと職員が認めても、その情報で報道したメディアの協力がなければ裏付けは取れない」と頭を抱える。
■■停職処分のケースも
社保庁職員が年金の個人データを外部に漏らした場合、どのような処分を受けるのか。
社保庁によると、納付記録や基礎年金番号などの個人情報は（1）公開の情報ではない（2）開示請求者を本人に限っている−−ことから「秘密」に相当し、漏らせば国家公務員法の守秘義務違反に当たる。刑事罰は1年以下の懲役または3万円以下の罰金。
03年12月に社会保険事務所の非常勤職員が、中学時代の同窓会名簿を作成中だった知人に、同級生の住所などを基礎年金情報から教えたとして、社保庁は停職1カ月の懲戒処分にした。刑事罰には問われなかった。
■■週刊誌報道、節目で先行
底なしの様相を呈する国民年金保険料未納・未加入問題。永田町では「次は何が出るか」と疑心暗鬼が広がるが、節目では週刊誌の先行報道が目立っている。
先駆けは「週刊現代」の4月3日号。国民年金のCMに起用された江角マキコさんの未納を取り上げ「社会保険庁幹部」から内部告発があったことを紹介した。
福田康夫前官房長官の辞任につながったのが「週刊文春」5月13日号だ。鈴木洋嗣編集長は「福田さんの会見に素朴な疑問を抱いたのがきっかけで、取材を進める過程で厚労省関係者からの情報があり、本人への直接取材と進むのですが、意図して“未納政局”を作ろうと考えていたわけではありません」と話す。
小泉純一郎首相が未加入だったことを明らかにしたのは「週刊ポスト」5月28日号。同誌は、年金問題のキャンペーンを昨秋スタートさせた。福田博章副編集長は「キャンペーン中に国会議員の年金未納者が大勢いるらしいという情報があり、全閣僚について調べることになった」と明かす。
◇内部告発が不正を是正−−ノンフィクション作家の吉岡忍さんの話
坂口厚労相は、社会保険庁の誰が年金データを週刊誌に漏らしたのか、犯人捜しに躍起になっているが、これまでも政治家や官僚の不正に憤りを持つ省庁などの内部関係者がメディアに情報を提供したことがきっかけとなって、腐敗が暴かれて是正に結びついてきた面もある。内部告発者の密告者扱いは、民主主義を危うくする。
厚労相がいまやるべきことは、小泉首相をはじめ全国会議員が自分の年金支払い状況を正確に公開するよう、担当大臣として手を尽くすことだ。未納・未加入問題が解決しないため、どのような年金制度を作るべきかなどの議論に入れないでいるのは不幸だ。
■年金保険料未納・未加入をめぐる動き
………………………3月………………………
▼22日 週刊現代（4月3日号）が国民年金のCMに起用された女優、江角マキコさんの未納問題を報道
………………………4月………………………
▼23日 中川昭一経済産業相、石破茂防衛庁長官、麻生太郎総務相の未納問題が発覚
▼28日 民主党は、菅直人代表が厚相時代に未納だったことを公表
………………………5月………………………
▼ 6日 年金制度改革関連法案をめぐり与党と民主党が3党合意
▼ 7日 同日発売の週刊文春が福田康夫官房長官の未納問題を報道。福田長官は午前の定例会見で辞任を表明
▼10日 菅氏が代表辞任を表明
▼12日 神崎武法代表など公明党が13人の未納を公表
▼13日 森英介、谷畑孝の両副厚労相（いずれも自民）が未納を公表▽ニュースキャスターの筑紫哲也氏が未納を明らかにし、この後、ニュースキャスターの公表が続く
▼14日 小泉純一郎首相の年金未加入について、飯島勲秘書官が記者会見で公表。翌週の週刊ポスト（5月28日号）が報道▽毎日新聞の調査で未納国会議員が衆参で100人を超えることが判明▽石原慎太郎都知事も未納を公表。自治体首長の発覚が続く
▼16日 坂口力厚生労働相が「社会保険庁からマスコミに情報が漏れているのは明白。管理体制を強化する必要がある」と言及
▼17日 一度は代表就任を受諾した民主党の小沢一郎氏が、未加入を理由に代表選出馬を辞退。20日発売の文春が、同氏の未加入問題を掲載
▼18日 民主党代表に岡田克也氏が選出される
2004年5月21日
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。