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共産党は「護憲派」に転向したけれど(酒井徹)
http://www.asyura2.com/0403/senkyo3/msg/445.html
投稿者 エンセン 日時 2004 年 5 月 10 日 02:54:02:ieVyGVASbNhvI
 

 
共産党は「護憲派」に転向したけれど
酒井徹


■1月の綱領「改正」で護憲派になった共産党
 共産党はもともと改憲派政党であった。そもそも昭和21(1946)年の日本国憲法制定の際、議会で唯一これに反対した党が日本共産党だったのだ。
 日本共産党は当時、「日本人民共和国憲法(草案)」というものを発表し、日本国憲法に対抗していたのである↓。
http://www.ndl.go.jp/constitution/shiryo/02/119/119tx.html
 ちなみに、日本共産党が平成8(1996)年に発行した『日本共産党綱領文献集』には、この「日本人民共和国憲法(草案)」がきちんと掲載されている。そうした意味では日本共産党は、まごうことなき改憲派政党であった。実際今まで日本共産党は、デモのシュプレヒコールなどでも、「平和憲法をまもれ!」とか「憲法改悪反対」などと言うことはあっても、「憲法をまもれ!」とは絶対に言わなかったのだ。(間違って共産党のことを「護憲派」と言ってしまったため、露骨にいやな顔をされたこともある)。
 ところが今年の1月、日本共産党は第23回党大会で、党の最高文章である「綱領」(「党の憲法」みたいなもの)を「改正」し↓、
http://www.jcp.or.jp/jcp/Koryo/index.html
その第四章「民主主義革命と民主連合政府」にこんな一節を入れたのだ。

《現行憲法の前文をふくむ全条項をまもり、とくに平和的民主的諸条項の完全実施をめざす。》

 「現行憲法の……全条項をまも」ると言う以上、日本国憲法の第1条から第8条(天皇条項)も当然「まも」るということになる。日本共産党はついに、護憲派政党へと転向してしまったのだ。
 それだけではない。今回「改正」された共産党綱領は、以前の綱領と同じく、戦前の日本共産党の闘いについての記述から始まる。そこには当然、戦前の日本共産党の「天皇制」との闘いについても触れられている。以前の綱領ではこの部分は、次のように書かれていた。

《党は、きびしい試練にたびたび直面したが、まず民主主義革命をという正しい方針をつらぬき、日本国民を無権利状態においてきた天皇制の専制支配とたたかい、天皇制をたおし、主権在民、国民の自由と人権をかちとるためにたたかってきた。》

 この部分が、今回「改正」された綱領では次のように変わっている。

《党は、日本国民を無権利状態においてきた天皇制の専制支配を倒し、主権在民、国民の自由と人権をかちとるためにたたかった。》

 おわかりだろうか。今回の綱領「改正」では、「天皇制をたおし」という言葉が「天皇制の専制支配を倒し」という言葉に、いつの間にやらすり替えられてしまっているのだ。「天皇制をたお」すのと「天皇制の専制支配を倒」すのとでは、はっきり言ってぜんぜん意味が違う。(「天皇制の専制支配を倒」すというだけなら、戦前日本共産党の闘いは「すでに達成された」ことになってしまうのではないのか)。
 こうして日本共産党は、「日本人民共和国憲法(草案)」を頂く改憲派政党から、日本国憲法の第1条から第8条の天皇条項を含む 「現行憲法の……全条項をまも」る護憲派政党に転向してしまった。(こういう重要な問題に対する態度が、ある日を境にガラッと変わってしまうところが、日本共産党「民主集中制」のすごいところでもあり、怖いところでもある。つい数ヶ月前に綱領が変わったばかりのはずなのに、共産党が今年3月20日のデモ行進でもう「平和と憲法をまもれ!」のシュプレヒコールをやっているのを聞いたときには、僕自身、「おいおい、『平和憲法をまもれ』の間違いなんじゃないか」と、おもわず耳を疑ってしまったほどだ)。社民党議員の中で唯一の「改憲派議員」であった辻本清美氏が辞職した今、改憲派左翼は国会内で、なんとゼロ議席というありさまである。
■あくまで僕は改憲派の立場を貫く
 僕は改憲論者である。今の日本国憲法は、国の象徴である「天皇」という役職を血筋によって世襲することを定めている(第1条〜第8条)。さらに「婚姻は、両者の合意のみに基づいて成立し」と規定し、同性同士の結婚を禁じている(第24条)。僕は、この日本国憲法の差別性を見過ごすことは絶対にできない。
 さらに今の日本国憲法は、まごうことなき「押し付け憲法」である。ここで言う「押し付け」とは、世間でよく言われる「アメリカの押し付け」というような意味だけではない。この憲法は、58年前の人々によって、今を生きる僕たちに対して押し付けられているのである。
 僕は、法律とか憲法というものは、「その時代を生きる人」の過半数の意思によって成立すべきものだと思う。ところが、憲法第96条によると、憲法を改正するには「各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議」しなければならないことになっている。つまり、国会議員の66%がおかしいと思っている条項であっても、残り34パーセントが反対すれば、憲法改正案が国民に発議されることすら不可能となってしまうのだ。どうして過半数ではだめなのだろうか。その憲法改正案が本当に良いものなのかどうかは、その後の国民投票で国民自身がしっかり判断すればいいのである。(大体今の憲法は、「国民投票における過半数の賛成」という手続きを経ないまま、国会における代議員の議決によって成立した憲法だ。そうした意味では「刑法」や「民法」のような「普通の法律」と比べて、特別「国民の意思」を直接的に反映しているという根拠はどこにもない)。
 このような「改憲案」を支持する人は、左翼の中には決して少なくはないはずだ。今回「護憲派」に転向した共産党の人々はもちろん、「護憲派」の本家を自負する社民党の人の中にだって、本音のところでは僕に近い考えを持っている人は少なくないのではないだろうか。しかしなかなか、そうした意見が公の場で発せられることは少ない。少しでも「改憲」なんてことを言おうものなら、右派改憲派の側に利用されてしまうと思っているのであろう。しかし、僕たち「左の人間」も、「護憲・護憲」と「護りの姿勢」に入ってしまえば、たちまち「保守派」・「守旧派」になっていく。スローガン的に「憲法を護れ」と言っているだけでは政治は何も変わらない。これからは左の勢力こそが、より民主的・より人権的・より平和的な憲法を創り出すために闘っていかなければならないのではないかと思うのだ。
■主権者の選択権を奪う「護憲派」
 ところがその「左派」の大部分を占める社民党・共産党がそろって護憲派となってしまった今、そうした建設的な闘いはまったくといっていいほど絶望的だ。そして、保守的・守旧的な「護憲運動」が幅を利かせまくっている。そのいい例が「国民投票法案」に対する社民党・共産党などの新旧護憲派の対応だ。護憲派議員や運動家の中には「国民投票法の成立は憲法改悪策動だ」と言い、国民投票法の成立自体に「断固反対」する人が少なくない。
 もちろん、「憲法改正の国民投票をどのような方式で行なうのか」という点に関しては大いに議論があってしかるべきだ。改憲案への一括投票にするのか、あるいは条文ごとの投票にするのか。国会の発議から国民投票までにどのくらいの期間を取るのか……。
 僕はやはり、首相公選制の問題と戦争放棄の問題・「新しい人権」の問題・外国人参政権の問題……といったまったく違うテーマの問題をひとまとめにして「賛成か反対か投票しろ」というのはむちゃくちゃだと思う。「わが町に原子力発電所と図書館と自衛隊基地と新幹線を建設し、情報公開の幅を広げ、知事を辞めさせる条例に賛成か反対か」と言うくらいむちゃくちゃな問い方である。
 国会の発議から国民投票までの期間も、「六〇日以後九〇日以内」なんてケチ臭いことを言わずに、半年から一年ぐらいドカンと取ってじっくり議論させてみればいい。なにしろ、国の最高法規を国民の直接投票によって決めてみようというのだから。投票日も、普通の選挙のときみたいに1日ではなく、1週間ぐらい取る。できれば投票所を、コンビニみたいに24時間空けておいてほしい。もちろん、お金もかかるかもしれないが、何しろ国民が国の最高法規について判断しようというのだ。世紀の一大イベントだとわりきって、思い切ってお金をつぎ込むべきだ。
 ……と、確かに与党が提出しようとしている「国民投票法案」には注文をつけたいところが山ほどある。だが、それに対して一つ一つ注文をつけて議論を闘わせるのではなく、「国民投票法の成立自体に反対だ」というような護憲派があまりにも多い。「日本国憲法にも憲法改正についての規定があるのだから、国民投票法自体は必要だろう」とでも言おうものなら、「敵を利するものだ」などとわけのわからない反論が飛んでくる。挙句の果てには、「国民はマスコミに誘導されるからきちんとした判断ができない」などと言い出す人も出る始末だ。とんだ「護憲派」である。自分たちだけが「きちんとした判断」のできる人間であり、国民はそうではないと平然と言い放つ傲慢さには唖然とさせられる。とどのつまりは自分たちが国民投票で負けるだろうから国民投票なんかやるんじゃないというのである。僕たち主権者が主権を行使する権利を奪うんじゃないと言ってやりたい。
 本当に憲法が護りたければ、必死になって護憲派を増やし、国民投票で改憲派に勝利するしか道はないのだ。それなのに、それができないからと「国民投票法」の国会上程を必死になって阻止しようとしている。これでは、いざ国民投票となった際には「ボイコットするしかない」などと言い出しかねない。

http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Gaien/2207/sakai/040510.html

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