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05/03/2004
「消えていく投票」by グレッグ・パラスト
ネーション2004/04/29の記事より。またまたヘタな訳で申し訳ないが、以下に全訳を掲載する。
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「消えていく投票」by グレッグ・パラスト
2002年10月29日、ジョージ・W・ブッシュは投票支援法(the Help America Vote Act, HAVA)に署名した。ママの手作りアップルパイを思わせる優しい名称の背後には、公民権の時限爆弾という、むかつく事実が隠れている。
まず最初に、公民権剥奪について話そう。2000年11月の大統領選挙に先駆けて、フロリダ州務長官キャサリン・ハリスは、州知事ジェブ・ブッシュと申し合わせながら、地元の選挙スーパバイザーに、選挙人名簿から57,700人分の名前---フロリダ州での投票を禁止されている前科者と見なされていた----を削除するように命じた。公民権が剥奪されることを予定されたその「ろくでなし名簿」リストの少なくとも90.2%は、実際には無実だった。驚いたことに、その半数以上---約54%は黒人もしくはヒスパニックであった。削除された人数について一晩中かけて議論してもよさそうなものなのに、自分の兄にホワイトハウスを譲るためにジェブ・ブッシュが命じたこの電気的人種虐殺行為について、議論が沸き起こることはなかった。投票支援法は、そうした公民権剥奪を祝福するだけでなく、同じような索敵殲滅作戦(サーチ&ディストロイ)をアメリカの50の州全ての脆弱な選挙民に対して導入させるものだ。具体的には、全ての州は、2004年選挙までに、フロリダ州と同じ選挙民リストのコンピューター管理システムを導入しなければならない。投票支援法は、50の州の州務長官---50人分のキャサリン・ハリス---に対して、「被疑者」から公民権を剥奪する権限を与えることになるのだ。
公民権剥奪だ。大変である。2000年12月、黒人有権者の公民権剥奪が英オブザーバー紙によって暴露されてから、全米有色人種向上協会(NAACP)の弁護士はフロリダ州を訴えた。市民権グループは、ジェブ・ブッシュ州知事とキャサリン・ハリス州務長官の後継者に、間違って選挙民リストから削除された市民の復帰を約束する書類を書かせることに成功した。チョイスポイント社(選挙民リストを管理している企業)によって法廷に提出されたデータによると、前科者とされたフロリダ市民の人数は91,000人に及んでいた。ウィリー・スティーン氏もその1人だ。最近、タンパ病院にあるスティーン氏のオフィスの外で、本人に会うことができた。彼の事例はわかりやすいものだった。前科のある者は病院に勤めることはできないからである。(私の手元にあるキャサリン・ハリス作成のリストによれば、オスティーンという前科者に名前が似ているという理由でウィリー・スティーン氏の投票権を剥奪していた)全米有色人種向上協会は、おぞましい投票権剥奪行為のもっとも顕著な事例として、スティーン氏の件を法廷に持ち込んだ。
州側は、スティーン氏の無実を認めた。しかし、全米有色人種向上協会が勝利した裁判から1年が経過しても、スティーン氏は投票することができなかった。なぜ彼は今になっても被疑者扱いされているのか?スティーン氏のことを「重罪犯罪者の可能性がある」とジェブは呼んだが、我々は彼について何を知っているだろう?我等が大統領と違い、スティーン氏は米軍で4年間兵役を経験している。正直なところ、彼が被疑者扱いされる理由はこれしかない:スティーン氏はアフリカ系アメリカ人なのだ。
黒人にとっては、アメリカで選挙に参加することは大きな賭けである。第一段階では、投票申し込みカードがあっさりと投げ捨てられる可能性がある。何百万人ものマイノリティ市民が「ドライバー投票者フォーム」によって投票申し込みをしている。(訳注:「ドライバー投票者法」と呼ばれ、忙しい労働者がきちんと投票する機会を得られるための法律)共和党員もそれは承知している。それら投票者たちが選挙民にカウントされていないという失敗が拡大しているという事実を、市民権委員会が発見したとしても、驚くことはない。私の情報源の報告によれば、選挙事務所には、そうした申し込み用紙がゴミと一緒に山積されているという。
第二段階では、投票申し込みをしたら、重犯罪者扱いされる可能性がある。フロリダ州では、キャサリン・ハリスのインチキな犯罪者リストに加えて、60万人もの住民が、同州での犯罪の前科があるという理由で、合法的に選挙権を剥奪されている。これは一つの州での話。合衆国全体では、有罪判決を受けた140万人の黒人男性は、投票することができない。これは国内の黒人男性全体の13%である。
第三段階になると、本当のギャンブルが始まる。1965年制定の投票権法により、アフリカ系アメリカ人には投票する権利が保障されている---しかし、その投票が数えられる権利については保障されていない。現実には、7件の投票のうち1件は数えられていないのだ。
ガズデン郡の例を見てみよう。ガズデン郡は黒人住民比率が58%で、フロリダ州の67の郡の中では最大の比率である。そしてガズデン郡は最大の「除外率」を誇っている。つまり、投票用紙は技術的理由によりはじかれるのだ。同郡では8人に1人の割合で投票はカウントから除外された。ガズデン郡の隣、レオン郡は大多数の住民が白人で、ほとんどの投票用紙はカウントされている(除外率は1/500)。
どうやって投票が除外されるのか?外見上、投票用紙に余分な記入がある場合はカウントから除外される。ガズデン郡では、名前にチェックを入れる代わりに、アル・ゴアと記入する人がいた。その投票はカウントされなかった。
ハーバード法律学校の教授で市民権委員会の会員、クリストファー・エドリー・ジュニア氏は、そうした除外の匂いがキライだった。そこで彼は、使用済みの投票用紙を掘り起こし、委員会の見つけた公式証拠を調べて、こう報告した:黒人票の14.4%---7人に1人---は「無効」、つまりカウントされなかった。対照的に、黒人以外の票の除外率は1.6%だった。
フロリダ州の選挙民の11%はアフリカ系アメリカ人である。フロリダ州は179,855人分の除外された票をカウントすることを拒否した。中学生レベルの代数学を駆使した結果、「除外」された票のうち、54%(97,000人分)は黒人の投票で、その90%以上はゴア支持者だった。黒人以外の票はゴアとブッシュで均等に割れていた。それゆえ、キャサリン・ハリスが票のカウントを許可すれば、アル・ゴアはおよそ87,000の得票差でフロリダ州を制していたのである。なんと、ブッシュがゴアを破った公式得票差の162倍だ。
フロリダの話はそこまで。ではアメリカ全体の話をしよう。2000年大統領選挙では、190万人分の票がカウントされなかった。ゴアと記入されていたり、投票機械の故障などなど、技術的な理由で「除外」されたのである。票がカウントされなかった理由はいろいろあるだろうが、ゴミ箱に廃棄された投票用紙には疑惑の影がある。ハーバードの専門家、エドリー氏のチームが、フロリダ州と同じように発見したことは---郡という郡、管区という管区ごとに---除外された投票用紙の数は、その地域の黒人住民数に正比例しているということだった。
フロリダ州の人種プロファイリングは国全体のそれに酷似している---黒人有権者の比率と、カウントされなかった投票の人種比率の両方において。「2000年のフロリダ州では、白人の投票に比較して、黒人の投票は10倍もカウントから除外される傾向にあった。」こう説明してくれるのは、エドリー氏の報告書を共著した、政治科学学者のフィリップ・クリナー氏だ。「国全体のデータから見ると、フロリダ州の事例は、驚いたことに、典型例なのです。白人有権者と非白人有権者の比率から、米国内でカウントされなかった投票のうち、およそ半数の100万人分が、非白人の投票とみられています。」
もうおわかりだろう。前回の大統領選挙では、黒人やマイノリティが投票したおよそ100万人分の投票用紙は捨てられたのである。2004年11月にも、同じように除外されるだろう。より効果的に、コンピューターによって---投票支援法と、その他インチキ改革施策は、複雑なIT化によって、説明されることもなく、カウントされない投票の人種バイアスをより悪化させているのである。
100万人の投票がどす黒い煙の中で消失していく。煙が晴れたら、ブッシュ一味は自らの政治生命を投票用紙の焚き火で暖めるのだろう。それではごきげんよう。(HAVA nice day)
http://hiddennews.cocolog-nifty.com/gloomynews/2004/05/by_.html