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2004.5.2
年金をめぐる混乱
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異様で情けない光景が繰り返されている。閣僚、野党指導者の謝罪の記者会見である。
最初、国民年金未納者をなくそうというテレビコマーシャルに起用された女性タレントが国民年金に入っていなったことで非難され、謝罪した。この時、非難の先頭に立ったのが与党の政治家だった。閣僚もいた。
それでは政治家は国民加入義務を果たしているのか、少なくとも今回の年金改革法案の提案者である小泉内閣の閣僚は加入しているのか、ということが問題になり、これが与野党間抗争の中心テーマになった。
はじめに国民年金未納を明らかにしたのは、麻生総務相、中川経済産業相、石破防衛庁長官の三閣僚だった。この三閣僚にはきびしい非難が集中した。非難の先頭に立った民主党の菅代表が口にした「未納三兄弟」は一時流行語になった。
「他の閣僚には未納者はいないのか」の追及に対して「個人情報」を理由にして情報公開を拒否したのが福田内閣官房長官だった。この福田長官が、谷垣財務相、竹中金融・経済財政相、茂木国務省とともに「未納」が判明、ここでまた四閣僚の謝罪会見である。
他方、「未納三兄弟」に激しい批判を浴びせていた菅民主党代表の未納が発覚し、一瞬にして攻守が逆転した。菅氏は境に立たされて謝罪。だが収まらない。民主党内から辞任要求化の声まで出る事態となった。
この政治家のオソマツな状況に直面して、国民の間に政治不信が広がり、「全国会議員を調査せよ」の声が強まっている。国民に負担増を求めるのであれば、閣僚と国会議員の状況を明らかにせよというのである。
この醜悪を放置したまま、年金改正法案は4月28日の衆院厚生労働委員会で与党委員だけで強行採決された。政府・与党は五月六日にも衆院本会議を通過させ参院へ送る構えである。
政府・与党の強硬路線の主導者が公明党である。なにがなんでも今国会で成立させる方針だ。自民党は公明党に引っ張られている。政局運営の指導権は公明党が握っている。
年金改革法案を主導したのは公明党と厚生労働省である。坂口大臣(公明党衆院議員)は森前内閣以来長期にわって厚生労働大臣を務めている。いまや厚生労働行政の大実力者だ。坂口厚生労働行政を一体になって支えているのが公明党である。
公明党の政治力の源泉は約900万票の巨大な組織票をもつ創価学会である。衆院選では一選挙区平均3万票になる。自民党はこの票を得なければ政権政党の座を保つことができなくなっている。
昨年11月9日の衆院選で当選者の自民党候補と次点の民主党候補の票差が1万5000票以下の選挙区は46あった。もしも公明・創価学会票が自民党に入らなければ、民主党が議席を得た可能性が高い。そうなれば民主党が第一党になり、政権交代が起きた。
去る4月25日の衆院統一補選で自民党は3勝0敗と完勝した。だが、公明票が自民党に入らなければ1勝2敗になっていただろう。自民党には公明票なしには政権を維持する力はもうない。自民党対民主党の一対一対決なら民主党の方が強いのだ。公明党は小泉自民党政権の守り神的存在である。
今国会終了後の七月参院選における天王山は27の一人区だ。自民党単独の力が民主党を上回る選挙区は四国各県はじめいくつかはあるが、公明党の支援なしに確実に多数を取るするのは困難である。
自公連立の団結は固く、小泉内閣の勢いは強い。だが、小泉内閣七閣僚の年金未納騒動によって深まった政治不信を放置したまま、法案成立を強行するのは強引すぎる。信頼回復のため政府・与党は立ち止まって考え直す冷静さをもつべきだ。壊れかけている年金制度を立て直す上で最も大切なのは国民の信頼である。政府・与党とも理性を取り戻す時である。
【以上は5月1日付け四国新聞に【森田実の政局観測】として掲載された小論です】
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0725.HTML