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郡山さんら解放に奔走 イラク人通訳 キデル・ディア氏に聞く 「人間としてやった」「政治は関係ない」【東京新聞 5月1日】
イラクの邦人人質事件で、解放された三人のうちフォトジャーナリスト郡山総一郎さん(32)ら二人が三十日、東京都内で記者会見に臨んだ。イラク国内で彼らの解放に奔走したイラク人通訳、キデル・ディア氏(37)も久しぶりに彼らの顔を見たはずだ。会見前夜、東京都内でディア氏に救出の舞台裏をあらためて聞いた。(星野恵一)
郡山さんら三人が解放された場面で、彼らに日本語で話しかけるイラク人がいた。彼がディア氏だ。「日本語で声をかけたら驚いていた。三人と握手した時は、本当にうれしかった」。日本国内からの報道などで耳にしていた三人に関する「自己責任論」には口をつぐんだ。「救出に奔走したのは人間としてやったこと。政治は関係ないし、話したくない」
ディア氏は湾岸戦争後、イラク国内で活動していた日本のNGO「イラクの子供たちを救う会」の代表・久山宗彦氏(カリタス女子短大学長)らと知り合ったことがきっかけで一九九八年に初来日した。以後、新聞配達をしながら日本語を学び、通訳などをしていた。昨年、イラク開戦と前後し、久山氏の紹介で日本テレビのコーディネーターとなった。
今年四月七日、七年ぶりに故郷のアルセイヤブに戻った。バグダッド南方数十キロにある小さな街だ。持病を抱える母親や医療施設に医薬品を持っていくことが目的だった。「三人と同じルートで走行中、ファルージャ手前で検問にあい、銃を突きつけられた。イラク人だから大丈夫だったが、大変なことになる、と思った。タクシーの運転手たちは中国人が拉致されたような話もしていた」
予感は当たった。翌日、実家で見た衛星テレビ「アルジャジーラ」のニュースで三人が人質となったことを知った。「いても立ってもいられなかった。一般のイラク人は日本政府と個人の関係についてまで知らない。これまでのイラクと日本の関係など自分が関係者に説明しなければ…」
「自衛隊と3人は別」宗教関係者を説得
三人の消息をつかむためイスラム教スンニ派の宗教関係者を次々と回った。「一人はまだ十八歳、一人は女性。イスラム社会の中でこんなことがあるのか。自衛隊の問題と三人は別だ」
やがてイスラム聖職者協会のアブダルサラーム・クバイシ師の存在を知った。「兄の友達の親族が、クバイシ師と懇意だった。しかし当初は会えなかった」。イラク入りしてから一週間。新たに日本人フリージャーナリストら二人が拉致された。
先月十五日、ディア氏は兄らと一緒にクバイシ師宅を訪れた。同師は「私も(イラク国内に向け解放を)訴えた。今日の昼ごろには、三人が解放されるという確認をとった」と話した。
同師やディア氏らを乗せた車が、解放場所に指定されたクバイシ・モスク敷地内に滑り込んだ。「礼拝の後でたくさんの人がいた」。ディア氏らの前に、やがて三人が現れた。解放の瞬問は、ディア氏の兄がビデオで写し、世界中で放映された。
イラク国内で身の危険感じる
三人の解放後、ディア氏が実家に連絡をすると父親はこう話した。「帰ってくるな、帰ってくると危ない。『なぜ(おまえの息子は)救出に協力した』という電話もあった」。身の危険を感じた。
三人に対するバッシング現象や、人質事件の犯人像についてディア氏は語りたがらない。久山氏は、報道を通じて発言することの怖さをこう指摘する。「(ディア氏が)国や自衛隊の問題に触れると、その発言を利用して宣伝に使ったり、逆に彼の足を引っ張ろうとする人が出てくる。彼の家族の置かれた状況もある。発言が政治性を帯びると、その人をおとしめることが起こることがある」