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人差し指は銃の引き金を引く指だから傷害等級が上だったのか?【来月から障害等級の見直し】
(末尾紹介の記事参照)
戦時中とかでは、分りやすい説明として例示されたことはあっただろう。しかし、その説明とて、元もとの言わんとすることは、本来的な機能に着目されての事だと思う。下記記事中の説明で「物をつかむ力は人差し指でも薬指でも小指でもそれほど差がない」と言う。しかし、これは指の機能を"つかむ"事だけに故意に限定した一面的な見方である。大事な他の機能に目をつぶり"つかむ"と言うことだけに限定した説明だ。指には物をつかむだけでなく、紐を結んだり字を書いたり機械のつまみを回したりとか"巧緻性が要求される動き"がある。全体の働きから言ったらそういった働きの割合の方が圧倒的に多い。
この巧緻性という点から言えば、例えば小指と人差し指では大きな機能的な開きがある。一つの例として、タイプなどのキーボードのガイドキーからの運指の守備範囲を見れば一目瞭然だろう。右左の人差し指を合計すれば16キーである。人差し指の巧緻性を考慮した結果の運指上の守備範囲割当だろうと思う。
下記記事中、
>JR広島鉄道病院院長で整形外科医の生田義和氏は「物をつかむ機能は、人
>さし指と中指・薬指ではあまり差がない。他の先進国でも同等の扱いをし
>ている。小指の等級もその重要度からすると低すぎた。「日本手の外科学
>会」では十年以上前から障害等級見直しを求めてきた。やっと政府が重い
>腰をあげたという感じだ」
とあるが、他の先進国の真似をすることはない。スプーン・フォークの食文化と、箸を使う日本とでは指機能のもつ意味合いも違っていて当然である。
むしろ、この医者のコメントは、「小指の等級を上げるべきだ」に力点があり、人さし指の等級を下げろとは言っていないと考えるべきだと思う。
何故、「銃の引き金を引く指だから等級が上だった」と言ったような物言いをするのか?たぶん、異議申し立ての世論の気勢をそぐための役人の悪知恵だと思う。結果としての福利厚生予算の切り詰めである。
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人さし指の優遇やめます【東京新聞】6月21日(月)朝刊「ニュースの追跡」紙より
人さし指は中指、薬指と同じ「価値」――。厚生労働省は労働災害で手の指を切断した場合などの障害等級を約七十年ぶりに見直した。「銃の引き金を引く指」として"優遇"されてきた人さし指を、中指・薬指と同等にした。長年放置されていた障害等級が今回見直された事情とは――。
■70年間も「銃の引き金を引く指」だから…障害等級見直し
今回の労働基準法と労災保険法の施行規則改正では、人さし指を失った際の障害等級は以前から1ランク引き下げ、中指や薬指と同じ十一級になり、一方小指は十二級と1ランク格上げされる。労災補償は十一級で一年間に給与の二百二十三日分で、十級より七十九日分少なくなる。十二級で同百五十六日分。施行は来月一日からだ。
労災の障害等級表では人さし指の等級は、物をつかむなど手の基本動作に不可欠な親指(九級)に次ぐ等級だった。等級表は一九三六年に改正された工場法施行令を労災保険法がそのまま引き継いでおり、約七十年ぶりの改正になる。
人さし指が優遇されてきた背景として、厚労省は「戦前の陸軍身体検査規則では、人さし指を銃の引き金を引く指として重要視し、欠損している場合は徴兵検査で不合格にしていた。その流れがあったのでは」と推測し、改正理由をこう説明する。「障害等級認定をする際の基準は七五年通達でやってきたが、同基準にもあいまいな表現があり医学の進展にも即していない。時代遅れで見直しが必要だった」
確かに「銃の引き金を引く指だから重要」との考えは現代に合っていないが、改正の動きは厚労省から出たものではない。日本災害医学会が九八年「人さし指を中指・薬指より高く評価するのは不合理」と厚労省に指摘したのがきっかけ。同省は〇一年一月から今年二月まで専門検討委員会を開き、改正案をまとめた。
JR広島鉄道病院院長で整形外科医の生田義和氏は「物をつかむ機能は、人さし指と中指・薬指ではあまり差がない。他の先進国でも同等の扱いをしている。小指の等級もその重要度からすると低すぎた。「日本手の外科学会」では十年以上前から障害等級見直しを求めてきた。やっと政府が重い腰をあげたという感じだ」と解説する。
しかし改正はすんなり決まったわけではない。同検討委員会に出席した慶友整形外科病院副院長の平林洌(きよし)氏は「二月に報告書が提出されたが、省令改正審議会(労災保険部会)で異論が出て、六月までまとまらなかった。労働者団体の反発があったからだ」と内情を語る。
■医学界の要請で動いたが「厚労省は既得権守るだけ」
「人工関節など医学の進歩が加味された今回の改正で、障害等級が引き下げられる。労災補償額が減ることになり『治療で患者を詰しめるのか』と労働者団体から強い抵抗が出た。しかし、医者としては、他の先進国と比べて指の障害等級が重い日本の基準は医学的に不合理で納得できるものではない。医学界の強い態度に、新しい動きを嫌がる役所も応じざるを得なかったのだろう」
医師で医療ジャーナリストの富家孝氏は、改正をめぐる各団体と厚労省との論議を冷ややかに見る。「厚労省は本気で法律を医学の進歩にマッチさせよう」などと考えているわけがない。七十年も障害等級を放置していたことで明らかだ」と同省の姿勢を指摘、その上でこう話す。
「役人は下手に動くと責任間題も生じる。ルーティーンワークを静かにこなし、既得権を守ることができればいいという考えの人間が多い。労働団体も既得権が侵されそうだから動いた。医学界も診療報酬が減るような改正なら反発するだろう。今回は改正に動いたが、各団体との綱引きは既得権争いでしかない」