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http://www.nagasaki-np.co.jp/press/syou6/kiji/2004061702.html
真相解明に県教委苦悩 少年法など厚い壁
佐世保市の小六女児同級生殺害事件の再発防止策に取り組む県教委が、事件の真相解明に立ちはだかる分厚い壁に苦悩している。少年法など現行法の枠内では加害女児(11)に対する調査ができず、市教委との監督権限の違いから学校側への独自調査も思うように進まないからだ。
県議会一般質問初日の八日。昨年七月、長崎市で起きた男児誘拐殺害事件後の対応を問われた立石暁県教育長は「少年法や児童福祉法の厚いベールに覆われ、事実解明に困難な面がある」と、やり場のないむなしさを吐露した。
「報道で情報を得る毎日。警察や児童相談所に事件を照会しても回答がない」。昨年の事件を知る県教委幹部は、“情報過疎”に陥った当時と今回が同じ状況にあると指摘する。
事件当日、佐世保市教委から県教委への報告は電話だけだった。「情報が上がってこない。もどかしい…」。県教委幹部の机上のパソコンは、インターネットのニュースを接続したまま。庁内に焦燥感が広がった。
日を追うごとに一定の情報は入ってきた。しかし、佐世保市教委の記者会見内容や、学校に派遣した職員が報告する校内の様子がその大半。「どうして自ら踏み込んで具体的な調査をしないのか」。十五日の県議会文教委は、県教委の主体性のなさを追及する議員が相次いだ。学校や児童への独自の聞き取り調査を行っていなかった県教委は「許される調査権の範囲で努力している」と答えるのが精いっぱいだった。
ある幹部は「校内での凶悪事件。学校側が落ち着くのを慎重に見極めている」と、教育的判断を強調する。しかし、教職員の人事権を握る県教委に対し、学校の設置・服務監督権は市教委にあるという法的な問題が横たわるのも事実だ。
国立教育政策研究所(東京)の小松郁夫研究部長は「教育現場での凶悪事件を想定してこなかったことが法の不備を招き、緊急時の権限をあいまいにしている。現状では、それぞれが連携を深める以外に手だてはない」と話す。
立石教育長は「できる限りのことはやる」と繰り返し言明する。県教委は現在、市教委を通じて学校側に調査を打診中。すべてが手探りで進んでいる。
2004年6月17日長崎新聞掲載