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余録:池田小事件から3年
毎日新聞 6月7日
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20040607k0000m070120000c.html
しとしと降る雨に打たれながら、鮮やかに咲き誇るアジサイを見ると、なぜか心がほっと救われる。今年のアジサイの開花は、ホタル前線と同じく例年より1週間から10日早いそうだ▲日本原産で、シーボルトは長崎・出島のオランダ屋敷で愛した「お滝さん」の名にちなみ、「オタクサ」の名で欧州に紹介した。薄緑から白、紅、紫へと変化する花の色と心の移り変わりを重ね、花言葉は「移り気」「冷淡な美人」だ。しかし、「お滝さん」の人柄をしのばせる「辛抱強い愛情」の意味もあり、長崎市花にもなっている▲花の色は土壌によって変わる。一見、花弁に見えるのはガク片で、本当の花の芯(しん)は小さくて、わかりにくい。そんなアジサイと、佐世保で同級生を殺した小学6年生の女児や、1年前に長崎で幼児を殺害した中学1年生の少年の姿がふと重なった。社会の土壌や子供たちの心の奥でどんな変化が生じているのだろうか、と▲子供は天使で、無垢(むく)な存在といわれるが、残酷でもある。ごった煮的なインターネットの世界に無防備で入っていくうちに、善悪の判断や人間関係をめぐってブレーキのない車のように暴走しかねない。教育のIT(情報技術)化による影の部分だ▲あす8日で大阪教育大付属池田小学校事件から3年になる。親による悲惨な児童虐待が激増し、子供たちの間で傷つけ合う事件も目立ってきた。戦火のイラクで左目を負傷し、来日して治療中のモハマド君は日本の子供の現実をどう見るだろうか▲そう思いながら、たまたま目にした「小学生の俳句歳時記」(金子兜太監修、蝸牛新社)に、こんな一句があった。「あじさいの庭まで泣きにいきました」(小6、惣田美由紀)。すてきな感性に少しうれしくなった。
毎日新聞 2004年6月7日 0時10分