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大手食肉販売会社「ハンナン」(大阪市中央区)グループが、国のBSE(牛海綿状脳症)対策で業界団体に牛肉約600トンの買い上げを申請した際、一部輸入牛肉を国産と偽って申請して売買代金6億円余を詐取した疑いが強まり、大阪府警捜査2課は16日、グループの実質経営者で大阪府食肉事業協同組合連合会の浅田満副会長(65)らについて詐欺容疑の逮捕状を取った。また、グループ会社の一部幹部らから取り調べを始めた。一連の牛肉偽装事件では、最大規模の大型詐欺事件に発展する可能性が強まった。
調べなどでは、浅田副会長らは01年11月初め、BSE対策の国産牛肉の買い取り事業で、全国食肉事業協同組合連合会(全肉連、東京都)にグループ十数社が抱えていた輸入牛肉計約600トンの買い上げを申請、6億円余の代金を詐取した疑い。グループが買い取らせた牛肉は、全量検査が決まる前に、ほとんどが大阪府内の施設で焼却されたという。捜査対象は浅田副会長ら10人を超えるとみられる。
申請は、浅田副会長が強い影響力を持っている府肉連や府同和食肉事業協同組合連合会を通じて行われたという。
グループは、全国各地に食肉製造・販売会社などを展開、海外でも牧場を経営するなど食肉業界で広く知られている。浅田副会長は、グループ中核企業のハンナンの元会長で、国会議員や地元政財界に強い影響力を持つとされ、捜査2課は、こうした影響力を背景に急成長したグループの商法についても関心を寄せているとみられる。グループから暴力団組織に資金が流れているとの情報もあり、解明を進める。
BSEを巡っては01年9月、感染牛が国内で初めて見つかった後に牛肉の消費が急落したため、政府が対策を決定。政府が指定した全肉連など業界6団体が業者から在庫の国産牛を買い上げた。しかし、国産牛の証明が簡単な書類で済む制度だったため、02年1月以降、雪印食品(解散)▽日本食品(民事再生手続き中)▽日本ハムの子会社による牛肉偽装事件が相次いで判明した。
◎ことば=国産牛肉買い上げ制度
国内で01年9月、BSE(牛海綿状脳症)に感染した牛が見つかったことを受け国が設けた制度。同10月の全頭検査開始以前に解体処理され、倉庫に保管されていた国産牛肉を市場から隔離するため、全国食肉事業協同組合連合会(全肉連)や農協連合会など業界6団体が業者から全量を買い上げることにした。買い上げ総量は1万2626トン。費用は国が農水省の外郭団体「農畜産業振興事業団」(当時)を通じ約300億円を負担した。買い上げ分は焼却処分された。対象となる牛肉の範囲を確定しないまま制度がスタートしたため、雪印食品や日本ハムの子会社などで輸入牛肉を国産に偽装する事件が続発した。
毎日新聞 2004年4月16日 11時27分
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20040416k0000e040031000c.html