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東京・新宿の日本語学校「新東京語学院」を舞台に、8000人もの中国人が不法入国していた事件。手引き役で、同学院を実質的に経営する吉田勝則被告(56)は、警察が5年近く前からマークしていた在日「蛇頭」の大物だった。
そんな吉田被告の周辺には、日本語学校の利権に巣くう闇のネットワークが広がっていた。
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昨年10月下旬、東京入国管理局に、埼玉県警の幹部から電話が入った。「書類に指紋が残っていた。これでようやく逮捕できる」
3か月前、中国・福建出身の男性(54)が在留資格更新のため、東京入管に勤務先の中華料理店に関する書類を提出した。
そのうち、保健所が発行した「営業許可書」に不審な個所があるのを、入国審査官が気づいた。店の住所は新宿区内なのに、許可書は千葉の保健所が出していることになっている。男性は、吉田被告の名を挙げ、「50万円で偽造してもらった」と供述した。
その偽造許可書を調べたところ、吉田被告の指紋が検出された、というのだ。
それから数日後、同県警は、偽造有印公文書行使容疑で吉田被告を逮捕した。
実は吉田被告は、同県警が1999年ごろから、蛇頭に通じる密航受け入れ組織の中心とみていた内偵対象者だった。
当時、船での大量密航に代わり、偽造旅券による不法入国が急増。摘発すると、何人かの勤務先が、吉田被告の知人の会社になっていたからだ。
押収資料からは、予想通り、蛇頭と連絡を取りながら、中国人をペーパーカンパニーの通訳などに偽装して入国させていた手口が判明した。そして、その後の捜査で浮かんだのが、吉田被告に群がる怪しげな人物たちの存在だった。
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杉並区内の住宅地にある3階建てのアパート。空室のはずの部屋に中国人たちが住んでいることに不動産管理会社が気づいたのは1年前だった。
担当者が調べたところ、住人の1人で台湾出身の50歳代の男が、部屋に空きができる度に日本語学校生を住まわせていることが分かった。その都度、勝手に部屋のかぎを取り換えている。男は無断で中国人たちから敷金、礼金、家賃まで集めながら、管理会社には支払っていなかった。
その男も、吉田被告の逮捕後、姿を消す。吉田被告が実質的に経営する同区内の日本語学校「大東京語学院」の社長と同一人物だった。
アパートは、現在も26室のうち7室に、男が連れてきた中国人が住んでいる。「ほかの入居者もいるので、無理やり退去を求めてトラブルになっても困るし……」と、管理会社は頭を抱える。
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17年前に新東京語学院を設立した吉田被告は2001年10月、この男の名義で大東京語学院を開校。八王子市内にも「八王子教育学院」を設立し、合計300人近い中国人就学生を受け入れるようになった。
3校は他の学校と同じように毎日、授業を続けていたが、実態は同県警が調べても判然としなかった。ただ、元職員の1人は「生徒の出席数が足りないと、水増しした書類を入管に出した」と話したという。
さらに吉田被告は同じ時期、都内の中華料理店の経営者に、「私なら、いくらでも中国人を連れてくることが出来る」と持ちかけ、日本語学校を設立させていた。大阪と京都にも吉田被告から生徒の紹介を受けていた学校があった。
吉田被告を知る同業者が打ち明けた。「日本語学校の新設には1億円は必要だが、生徒さえ集まれば1年で回収できる。中国の闇社会にパイプを持つ吉田さんに紹介料を払って、不法就労目的の中国人を受け入れていた学校も少なくない」
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吉田被告は昨年から、新宿区内で新たな学校を開校する準備を進めていた。届け出上の経営者は、都内の不動産会社になっていた。
「警察から(吉田被告のことを)『蛇頭』だと言われた。わが社も名義を貸しただけだ」。この不動産会社の関係者はそう語った。
公的審査機関・日本語教育振興協会も昨年夏、この学校の今春からの開校を認めていた。「校舎は自社ビル」といった基準を満たしていたからだ。だが、不動産会社に学校運営の能力があるのかなどを調べることはないのだろうか。
「我々がチェックするのは、教育施設としての器だけだ」。同協会からは、そんな答えが返ってきた。
◆「蛇頭」=中国の密航あっせん組織。複数の組織の総称で、福建省が本拠地とされる。希望者の募集や海外への搬送、密航先での仕事の紹介など分業制になっているのが特徴で、日本の暴力団と結託した犯行も目立つ。
[4月4日9時33分更新]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040404-00000102-yom-soci