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点滴中の患者が相次いで呼吸困難になり、意識不明になった。仙台市の北陵クリニック(閉院)で00年に起きた筋弛緩(しかん)剤混入点滴事件。患者の急変は「医療従事者による犯罪」なのか、それとも「院のミスを隠すためでっち上げられた冤罪(えんざい)」なのか。殺人、殺人未遂計5件の罪に問われ、無実を主張する准看護師、守(もり)大助被告(32)=求刑・無期懲役=への判決が30日、仙台地裁(畑中英明裁判長)で言い渡される。初公判から2年8カ月余り。「医療への信頼」を揺るがした事件は大きな節目を迎える。だが患者や家族の苦悩はなお深く、クリニックの責任も深く刻印されたままだ。
クリニックを実質的に運営したのは、設立者でもある半田康延東北大教授(58)だった。妻は副院長として急変現場に何度も立ち会った。
患者の急変原因を筋弛緩剤ではなく薬の副作用などに求める弁護側は「急変への不適切な対処が重体や死亡につながった」と副院長に矛先を向けた。「思い悩んだ副院長が被告の仕業だと思い込み、見込み捜査が始まった」とも主張した。
「既往症の急変なら予想がつく。あんなに早く急変し、亡くなるなんて(普通では)絶対に考えられない」と教授は反論する。だが、こうも自問する。患者の命を預かる医療機関として、なぜもっと早く急変患者の多発に歯止めをかけられなかったのか――。「私と妻は一生、十字架を背負っていかなければなりません」
事件後、妻は精神的なダメージとメディアの目から逃れるため県外の小さな町に移り、専門医の指導で社会復帰を目指した。今は大きな民間病院で小児科医をしている。
守被告の公判は今年2月の結審で155回を数えた。うち約80回を半田教授は傍聴した。「裁判は(刑事訴訟法に基づく)方法論の話だから、結果がどうなるか分からない。でも、みんなが納得できる判断を示してほしい」。そう願う。
クリニックは事件の翌01年閉院し、その後売却した。運営法人だけは残し、財産配分をせずに被害者への補償を優先させているという。今月31日には、意識の戻らない女児(当時11歳)と家族から損害賠償を求められた訴訟の和解が成立する。【棚部秀行、野原大輔】
[毎日新聞3月29日] ( 2004-03-29-03:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040329k0000m040115001c.html