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日本に連れて行ってくれると有名…不法入国仲介の被告
約8000人に上る中国人を不法に入国させていた日本語学校の実質的経営者、吉田勝則被告(56)はこの数年、「周玉堂」という名を名乗り、数十回にわたって中国各地を訪れていた。
「日本に連れて行ってくれるおじさんとして有名だった」。警察当局の調べに、そう供述した不法滞在の中国人もいる。警察当局は、吉田被告を「日中にまたがる不法入国あっせん組織の中心人物」とみて追及している。
警察当局によると、吉田被告は約18年前、台湾から都内の私大に留学生として来日し、日本人女性と結婚後、日本に帰化した。
東京・北新宿に日本語学校「新東京語学院」を設立したのは、その直後の1987年。外国人学生が大学や短大を受験する前、日本語学校に通うことを認める「就学生制度」が導入された90年以降、積極的に中国人学生を同学院に受け入れるようになった。
ここ数年は、海外での出稼ぎを希望する中国人が多い福建省を中心に中国各地を何度も訪問。「周玉堂」の中国名で、職を探している現地の若者たちに、「日本に行かないか」などと声をかけていた。
口コミで「日本に連れて行ってくれるおじさん」の存在を知り、現地のあっせん業者を通さずに、吉田被告と連絡を取って不法入国をした中国人もいた。
また、山東省や長春市、天津市の日本語の養成校は、吉田被告の名字を校名の一部にしていた。こうした養成校は、来日後に日本語学校の授業についていけるよう、初歩的な日本語の授業をしており、多くの生徒が吉田被告の仲介で就学生として来日していた。
吉田被告は1人平均350万円で不法入国を仲介していたほかにも、警察当局によると、在日中国人の在留期間の更新手続きも代行し、1回につき50万円を受け取っていた。中国人の仕事先が実在しているように装うため、自分で設立したペーパーカンパニーの「在職証明書」を作成したり、知り合いの中華料理店に頼んで、保健所の「営業許可書」まで偽造したりしていた。
大量の偽造書類の作成場所になっていたのは、新東京語学院の別棟の屋上にあるプレハブ小屋。ここから押収された約800本の印鑑は、こうした偽造書類の作成に使っていた。
一方、警察当局は、新宿や杉並、八王子にある計3校の日本語学校が、新東京語学院と関係が深いとみている。新東京語学院も含め、経営者はいずれも、吉田被告の知人だった。
同学院を経営する会社の社長(84)は「吉田被告は幅広く活動していたので、国内の中国人社会にも顔が利く。顧問のような立場でアドバイスをしていただけで、本人しか知らないことが多い」と語った。
3校の中には、出身地の台湾の知人が代表者を務めた日本語学校もあった。
(2004/3/14/03:08 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040314ic01.htm