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群馬県高崎市の小1女児殺害事件で、会社員、浜名朗さん(38)の長女愛ちゃん(7)は下校中、県営住宅10階でエレベーターを降りて自宅まで数メートルの通路で襲われた。逮捕されたのは隣室に住む顔見知りの野木巨之容疑者(26)。「子供たちを守るにはいったい……」。愛ちゃんが通っていた市立豊岡小は13日、緊急の保護者説明会を開き、防犯対策などを話し合ったが、「隣人の事件」に住民や行政は苦悩を深めている。
「あの時一緒に帰宅していれば、こんなことにはならなかった」。愛ちゃんの母祐子さん(36)は悲痛な思いを周囲にこう話しているという。事件直前の11日午後2時過ぎ、外出先から車で帰宅中、同級生と下校する愛ちゃんを目撃した。県営住宅は目前。「すぐ帰ってくる」と思い、声をかけず先に帰宅した。だが、いくら待っても愛娘は戻らなかった。
この住宅では昨年、エレベーター内で女児が男に抱きつかれるなどの事件があり、今年2月に防犯カメラを設置したばかりだった。愛ちゃんが10階で降りた姿もとらえ、事件解決には役立った。しかし事件を防ぐことはできなかった。「何かあればお隣に駆け込むのが普通だが、隣までも信用できない世の中になった」。地元、北久保地区の紫藤孝区長(74)は声を落とした。
事件を受けて県と県警は12日、急きょ「治安回復連絡会議」を開いた。県警側は巡回連絡などで00年以降、野木容疑者宅を3回訪ねたが留守で会えなかった経緯を説明し「巡回で一番難しいのは留守の多いアパート、マンション。隣人に聴いても分からない例が多く、悩むところだ」と明かした。「さらなる安全確保のために何をすればいいのか、考えが浮かばない」(県教委)などと出席者は頭を抱え、具体策の議論には入れなかった。
13日の保護者説明会では、今井康雄校長が「地域との連携を深め、不審者対策に努めたい」と語り、保護者からは「児童全員に防犯ブザーを持たせて」「学校と連携し、地域パトロールの徹底を」などの意見が出た。だが終了後、校長は「自宅の目前で児童が狙われるのを防ぐのは難しい」とも漏らした。当面は今月26日の終業式まで、教員と保護者が付き添って集団登下校を続ける。【杉本修作、木下訓明】
◇大宮登・高崎経済大教授(地域社会学)の話
都市化の影響で社会が閉鎖的になる中で、個人の孤立化が進み、事件を防ぐ人間関係ができなくなっている。人と人の深いつながりがあれば、事件を生み出す環境を抑えることができる。NPO(非営利組織)などを中心に多様な価値観を持つ人々が集い、交流する場を意識的に作るなどして、地域のコミュニティーを再構築していく必要があるのではないか。
[毎日新聞3月13日] ( 2004-03-13-20:32 )