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(回答先: 「まだ捜している」と夫 岡山の主婦不明で協力訴え(共同通信) 投稿者 シジミ 日時 2004 年 3 月 11 日 22:58:24)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn04030341.html
■メディアスクラム防止策を
津山市の主婦高橋妙子さん(56)が行方不明になり、夫の医師幸夫さん(60)の銀行口座から現金が引き出された事件で、幸夫さんが中国新聞のインタビューに応じた。「何とか世間に訴えて妻の行方を捜したい」と話す一方、マスコミの事件取材に精神的被害を受けたことを訴え、「メディアスクラム防止策を、実効性のあるものにしてほしい」と強調した。(北村浩司)
マスコミとの接触を避けてきた幸夫さんだが、「事件から一年九カ月がたつが、私にとっては何も解決していない。しかし、あれほどしつこかったメディアも、見向きもしなくなった。警察の捜査は手詰まりだ。私が何かしないといけない。不信感を持ちながらも、頼るのはメディアしかないと思い、あえて取材に応じた」と打ち明ける。
■勤務先に電話
一方で、幸夫さんのメディア不信は根強い。事件の鍵を握るとみられた元タクシー運転手に、電話で取材した新聞社があった。直後、運転手は自殺。最大の手掛かりは消えた。「人の命がかかっているのに、どうして安易な取材をしたのか」と怒りをあらわにする。パチンコ店に近づいたことすらない妙子さんなのに、「パチンコ店で、容疑者の女性と知り合った」とする報道もあった。完全な誤報だが、いまだに謝罪はない。
新聞、テレビに雑誌なども加わり、取材は連日、深夜に及んだ。自宅前にはカメラが列をつくり、隣家の敷地に無断で侵入した記者もいたという。勤務先の病院にも医師や患者をかたり、高橋さんの動静をさぐる不審な電話が相次いだ。ほぼ一カ月、高橋さんは外出できない日々が続いた。
「真実を知りたい」、「奥さんを助け出すために」と取材攻勢をかけたメディアも、幸夫さんの目には「プライバシーを食い散らかして、後は知らん顔」と映る。職場復帰後も、突然カメラを向けられた場合などに備え、「公表された場合は法務局に提訴する」と書いた文書を常に身につけていた。「そうでないと不安で外出できなかった」
■被害者を軽視
事件から約五カ月後、マスコミ側から、津山署長あてに、幸夫さんに取材への協力を求める文書が届いた。「(幸夫さんへの)取材の自粛を申し合わせてきたが、その譲歩の条件として」、幸夫さんのコメントを求め、「各社とも大変急いでいる」と返事をせかす文面だった。「『譲歩』とは何だろうか。自分たちの都合で、被害者の家族に回答を急がせる態度も理解できない」と、憤る。
事件後、約一カ月間、警察官が高橋さん宅に泊まり込んだ。もちろん捜査の必要性もあったが、「大きな心の支えになった。もし、一人きりだったらどうなっていたか。被害者や家族には、直接的な支援がどれほど大切か身をもって知った」と力説する。
■理解深めたい
幸夫さんは最近、「全国犯罪被害者の会」や「被害者サポートセンターおかやま」の会合に出席するようになった。「多くの同じような体験をした人と言葉を交わし、声を上げて、犯罪被害者の立場への理解を広めないといけない、と思うようになった」と話す。
マスコミ側からも被害者支援に取り組む動きが出て、メディアスクラムの防止策も動き出した。「私たちのような思いをする人がこれ以上出ないよう、実際の取材の場で自浄能力を発揮してほしい」と求める。
幸夫さんは一枚の写真を差し出した。妙子さんが丹精こめた草花であふれる自宅の庭。事件の直前に撮影した。事件後、世話ができず、大半が枯れた。それでも、妙子さんが一番好きだった花、「スパティフィラム」だけは大切に守っている。「妙子のことは決してあきらめない。私が声を上げることが、妻を捜すことにも役立つ」。静かだが、力強い口調で繰り返した。
●メディアスクラム● 大きな事件、事故が起きた際、取材が集中、過熱し、特定の市民や家族のプライバシーや人権が侵害されたり、日常生活が害されたりする事態を指す。中国地方各県でも2002年秋以降、マスコミ各社の編集責任者組織などが、苦情を受け付ける窓口を相次いで設置。場合によっては、取材を自粛するなどの対応も申し合わせている。
《メモ》妙子さんは二〇〇二年六月三日、自宅から行方不明になり、同日昼、岡山市内などの銀行のキャッシュコーナーで幸夫さんの口座から現金計七百万円が引き出された。同日夕、幸夫さんに妙子さんから「車で連れ回されている」と電話が入った後、連絡が途絶えた。
同月八日、県警は公開捜査に踏み切り、銀行の防犯ビデオの映像などから鳥取県内の無職吉田好江容疑者=当時(33)=が現金を引き出したことが分かり、津山市内の元タクシー運転手=当時(52)=も行動を共にしていたことを割り出した。
しかし、同月二十三日、元タクシー運転手が津山市内で自殺。吉田容疑者も同年九月、岡山市内の山中で自殺しているのが見つかった。県警は二人が言葉巧みに妙子さんを連れ出し、カードを奪って現金を引き出したと断定し、窃盗容疑で書類送検したが、容疑者死亡で不起訴になった。妙子さんの行方は今も分かっていない。