01/10 16:11 治安悪く被害の実態不明 無政府状態のソマリア

　【ポートルイス（モーリシャス）１０日共同】スマトラ沖地震の
津波は、インド洋で約六千キロも離れたアフリカ東部のソマリアに
到達し、十日までの国連の推定で五万四千人が緊急支援を必要とし
ているとされる。しかし、無政府状態で治安は極めて悪く、援助機
関が入れない地域も多い。死者数も百―三百人と情報が交錯、被害
の実態把握は困難だ。
　津波は、アフリカ東部に到達するまでには大幅に勢いが弱まった
ものの、発生当日の昨年十二月二十六日には、ケニア、モーリシャ
スなどの海岸で二―三メートルの高波が目撃された。
　ソマリア暫定政権の高官によると、死者の大半は、同二十六日朝
に漁に出て、帰ってこなかった漁師らで、漁船百隻以上が遭難した
もようだ。
　最も大きな被害を受けたのは、自治政府が樹立されている同国北
東部の「プントランド」の海岸地帯。わらでできた粗末な家屋は、
高波で容易に流され、井戸水も被害を受けた。この時期は漁の最盛
期で、地方から多くの「季節漁師」とその家族がやって来たことも
、犠牲者が出た原因らしい。
　ソマリアでは一九九一年に反政府勢力が首都を制圧し当時の大統
領を追放。その後、何度も暫定政権ができたが、支配地域は首都の
一部に限られ、武装勢力による国土の分割支配が続いている。
　昨年十月にはナイロビで、本格的な中央政権を目指した暫定政権
の新大統領に、プントランド大統領のアブドラヒ・ユスフ氏が就任
したが、治安が悪いため、ナイロビでの〓（始めダブルミニュート
）亡命〓（終わりダブルミニュート）状態が続き、六日時点で津波
被害調査のための現地入りすらできていない。
　ソマリアの武装勢力は各地に対空砲を配置しており、空からの物
資投下や航空機による被害調査を妨げている。
　国連緊急援助調整官室（ＯＣＨＡ）は、プントランドを中心に五
万四千人が水、食料、薬などの援助が必要だとの調査を発表したが
「危険で行けない場所も多く、かなり大ざっぱな調査ではないか」
（外交筋）との指摘もある。
　ＯＣＨＡは、ソマリアへの緊急援助として約一千七百万ドル（約
十七億六千八百万円）が必要と試算しているが、世界食糧計画（Ｗ
ＦＰ）担当者は「治安が悪いためにアクセスできていない地域に行
けるようになれば、額が増える可能性がある」としている。
20050110 1611
[2005-01-10-16:11]

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