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トリンコマリー(スリランカ北東部)花岡洋二】インド洋大津波が多くの人々をのみ込んだ日、産声を上げた女の子がいる。スリランカ北東部のトリンコマリー県。ノナシダヤさん(35)は先月26日、海岸に近い入院先の病院から約200メートル流されたものの助けられ、産湯もないまま出産した。奇跡的に授かったその子を両親は「TSUNAMI」(ツナミ)と名付けた。母親の入院先は全壊し、他の妊婦ら約30人が死亡。両親は「特別に授かった命だと感じる。みんなに、この地で起きた悲しい出来事を忘れてほしくない」と話している。
◇命の大切さ忘れぬよう
英語教師のファリードさん(40)、ノナシダヤさん(35)夫妻に生まれた第4子で、初めての女の子。母親は海岸線から約120メートルの病院に入院しており、26日午前9時ごろ、陣痛を和らげようと病棟の外を歩いていた。そこへ、いきなり大津波が襲った。建物や樹木など、どこにもつかまることが出来ず、約200メートル流されながら「このまま死ぬ」と観念したという。津波が引いた路上に倒れていたところを若い男性に助けられ、近くの学校へ運ばれた。
そのわずか5分後に出産。偶然いた看護師が手伝ったが産湯もなく、へその緒を切っただけだった。大きな産声を上げた女児に、母親は「動転して、キスすらしてあげられなかった」と振り返る。
一方、病院から約400メートル離れた自宅も腰の高さまで浸水した。父親は、自宅周辺で5歳と2歳のおいを含む15人の遺体を収容した。「病院は全滅」という話を聞き、「妻も死んだに違いない」と思ったが、同日午後6時ごろ、思いがけず妻の生存を聞いた。出産の事実を知って二重に驚いたという。
今は、家族6人で父親の実母宅に避難中。ツナミちゃんは当初、母乳を吐き出し、「海水のせいか」と心配させたが、健康に育っている。母親の腕の中でよく眠り、目を開けた時は母親をじっと見つめる。栄養不足など心配は尽きないが、「この子が生まれたこと以上の幸せがあるでしょうか」。母親はツナミちゃんをギュッと抱きしめた。
毎日新聞 2005年1月10日 3時00分
コメント:亡くなられた方々の分まで元気に生きて欲しいと思います。