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【カルパカム(インド南部)田中洋之】
スマトラ沖大地震でベンガル湾に面したインド南部カルパカムにある原子力発電所が大津波に襲われ、原子炉が緊急停止するなどの影響を受けた。政府当局は「放射能漏れや深刻な被害はなかった」としているが、周辺住民に不安を与えている。
カルパカムは出力17万キロワットの加圧水型重水炉2基(84年と86年に運転開始)や実験炉1基、再処理工場を持つ核複合施設。09年の完成を目指し高速増殖炉の建設も進んでいる。
今回の大津波で原発の冷却装置につながるポンプ室に大量の海水が流入し、稼働中だった原子炉1基が緊急停止した。もう1基は部品交換のため点検で停止中だった。作業員1人が死亡、2人が行方不明になったという情報もある。
原発労働者と家族ら2万5000人が暮らす隣接の居住地区も津波の直撃を受け、計38人が死亡した。海沿いのアパート1階にいた原発職員のラビクマルさん(40)は「灰色の波が押し寄せ、首の高さまで海水につかった」と恐怖を語る。
また近くの漁村プドゥパティナム・クッパムに住むサディーシュ・クマルさん(20)は「津波発生直後に原発から放射能が漏れたとのうわさが流れ、パニック状態になった」と話す。
当局は放射能漏れを否定し、施設の安全性が確認されたとして津波から1週間後に原子炉の運転を再開した。これに対し、チェンナイ在住のジャーナリスト、シュリ・ラーマン氏は「インドの原発は今回のような大津波を想定した設計になっていない。一歩間違えれば原子炉が破壊され第二のチェルノブイリになる危険性があった」と指摘する。
カルパカム原発は03年1月にインドで過去最悪とされる放射能漏れ事故を起こし、作業員6人が被ばくした。しかし、当局は半年近く事故を公表せず、「秘密主義」が批判されている。
インドには現在、14基の原発があり、08年までにもう8基が加わる予定。
(毎日新聞) - 1月9日3時5分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050109-00000006-mai-int