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http://www.sankei.co.jp/news/morning/06iti001.htm
【ニューヨーク=長戸雅子】世界保健機関(WHO)は、インド洋大津波の被災者約五百万人がコレラなど感染症にかかる恐れがあると警告している。WHOは、十分な飲料水や医薬品の確保と公衆衛生の回復を最優先課題としているものの、道路や橋などの社会基盤崩壊で救援活動は困難を極めており、「時間との戦い」(WHO)だ。有効な感染症対策を打ち出せるかどうかは、六日にインドネシアで開かれる緊急首脳会議でも大きな焦点となる。
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WHOは津波発生直後から水の汚染や衛生状態の悪化による感染症発生を警告。「津波の死者と同規模の死者が出る可能性がある」と最大級の表現で注意を喚起した。
五日までに十五万五千人もの犠牲者が確認された大津波の救援対策では今後、感染症などの二次被害をどう封じ込めるかが最大の課題となる。
WHOは最新の報告でも、飲料水と衛生用品の供給が感染症防止のために最重要だと指摘。懸念されるコレラについては「まだ発生したとの報告はない」としているものの、被災各国では下痢が蔓延(まんえん)、インドネシアやタイではマラリア、デング熱も広がりつつある。
WHOでは、下水など社会基盤の復興には、なお時間がかかり、今後半年間に六千万ドル規模の援助が必要となると警告。さらに、洪水後の蚊の繁殖によるマラリアの拡大に注意を促すとともに、約百九十万人分の緊急医療セットを用意、被災各国へ配布を進めている。
津波で井戸水に海水や汚水が混じり、衛生状態が悪化し、負傷した避難民が多いことも感染の危険を高めており、WHOは四日、飲料水の供給とトイレなどの公衆衛生の改善を急がなければならないと改めて訴えた。
だが、道路や橋が崩壊し、救援の手が届かない集落も目立っている。AP通信によると、インドネシアでは救援に向かったヘリコプターの操縦士からの報告で、奇跡的に壊滅を免れた集落が入り江の端に残されていることが判明。こうした“隠れた”被災地に救援物資を行き渡らせるのは難しい状況にあるようだ。
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《史上最大の防疫作戦に》
インド洋沿岸を襲った大津波は被災地に病気が発生しやすい環境を広域的に生み出した。波状的な流行が予想される多様な感染症との闘いは、保健分野で人類がかつて経験したことのない大規模なオペレーション(作戦)になる。地理的な間口の広さに加え、時間的な奥行きの深さも想定し、各国政府、NGO、国際機関が協力して短期、中期、長期の対策を進める必要があるだろう。
被災地では当面、ケガによる化膿(かのう)症、汚れた水や食料による下痢などが報告されている。化膿症は他の人には伝染しないが、下痢の方はコレラ、チフス、赤痢などのいわゆる伝染病や食中毒の流行につながる恐れもあり、集団の感染を阻止する予防対策も必要だ。
このため、短期的には緊急医療班の活動と同時に、安全な水や食料、医薬品の確保が急務となっており、世界保健機関(WHO)、世界食糧計画(WFP)、国際赤十字などのノウハウを生かしつつ、水や医療機材の供給窓口を一本化する必要がある。
また、避難所では衛生環境の悪化を防ぐため、簡易トイレと浅井戸が隣接しないようにし、ごみも一カ所に集約して散逸を防ぐなど運営面でのちょっとした配慮も大切だ。
中期的には昆虫や動物が媒介する感染症が課題で、蚊やノミの大量発生がマラリアやデング熱、日本脳炎の流行を促し、野生動物と人が接触する機会の増加やペットの野生化で、ペストや狂犬病が流行する恐れがあることも警戒しておかなければならない。
長期的には社会基盤の崩壊や人の移動の流動化が結核やエイズの拡大要因になり、条件によっては麻疹(はしか)や鳥インフルエンザの流行を促す恐れもある。当面の医療や飲料水の確保など緊急対応策を進めつつ、今後の感染症の発生動向を把握するための国際的な情報の共有や現場の医師、疫学者の協力体制を整えることも必要だ。