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問われる小泉内閣 新潟県中越地震の被災者支援 [JANJAN]
http://www.asyura2.com/0403/jisin11/msg/801.html
投稿者 なるほど 日時 2004 年 12 月 16 日 23:22:41:dfhdU2/i2Qkk2
 


7月福井豪雨災害対策の概要 国の被災者生活再建支援制度の問題点(PDFファイル P.15)(福井県のHPから)

「地震発生から11日後に県独自の住宅再建支援制度を発表したら、避難所の雰囲気が変わった」。新潟県中越大地震発生から1カ月目の11月22日、鳥取県の片山善博知事がNHKの特別番組の中で、新潟の泉田裕彦知事に呼びかけた言葉である。

 片山知事は、2000年鳥取県西部地震(マグニチュード7.3、震度6強)が起きた際、被災住宅の建て替えや補修に、所得・年齢制限無し、唯一の条件が「もといた居住地域内」に家を建て直すこと、という手厚い住宅支援策を、霞ヶ関に「憲法違反だ」と言われながら(※)も、実施した。

 片山知事は02年6月7日に行われた衆議院の災害対策特別委員会で、以下のように報告している。

 『道路や橋を一生懸命直しても、肝心かなめの被災者の皆さん方が住宅が再建できないということでその土地を去ってしまったら、その道路や橋に投じたパブリックなお金というのは一体何になるんだろうかと思いました』

 『全壊だとか半壊、一部損壊だとか、もうそういう区分は一切なしで、とにかく地震がきっかけで建てかえる人は300万円、修繕する人は150万円を限度にその3分の2ということにしたわけであります』

 『住宅再建支援を発表した段階から、被災地における不安というものがどんどん解消していきました。後で精神科のお医者さんに伺いますと、住宅再建支援を発表したそのアナウンスメントが被災者にとっては最大のメンタルケアになったという話も伺いました』

 『仮設住宅は1戸当たり300万、撤去費も入れると400万ぐらいの支援になるわけであります。仮設住宅は壊すんです。壊すためにつくるものについては非常に手厚い制度があるんですが、個人がつくって後生大事に守っていこう、そういう恒久的資産については、個人のものだからといって全く冷たいというのは、何か私はちぐはぐなものを感じるのであります』

※ 02年6月7日の衆議院・災害対策特別委員会で片山知事が言及

 ●広がる鳥取県の取り組み

 その後、鳥取県は、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生じる災害で重大な被害を対象にした「鳥取県被災者住宅支援条例」を2001年7月制定し、県と市町村で年2億円、25年間で50億円を目標に基金を積み立てている。

 また、条文で『国全体の制度創設を働きかけ、鳥取県の基金額と同額の助成が国から行われ、これが基金に拠出されることを期待します』、と呼びかけている。

 わずか人口約61万人、一般会計約4600億円の小さな規模の県知事の決断だったが、この鳥取県の住宅本体の再建支援に共鳴した県市町村が次々と現れた。

 鳥取県溝口町の00年10月鳥取県西部地震災害支援、03年7月宮城県北部連続地震災害支援、03年8月北海道平取町の台風10号による豪雨災害支援、04年7月福井県の豪雨災害支援、04年9月三重県の台風21号豪雨災害支援、04年10月徳島県の台風第23号豪雨災害支援、04年10月兵庫県の台風第23号豪雨災害支援、04年10月の新潟県の新潟中越大地震災害支援、東京都の三宅島噴火災害支援)を含めた10の自治体で実施された。

 ●住宅本体再建支援のための改正案廃案

 一方で、小泉内閣は、『個人の資産形成に税金は使えない』の方針を堅持し、県・市町村および野党の強い要望に応えようとしない。

 村田防災担当大臣(新潟中越大地震の非常災害対策本部長)は、衆議院および参議院の災害対策特別委員会で、住宅本体再建費への適用拡大を拒んでいる。04年11月11日に衆議院で行われた災害対策特別委員会の席では、『国の被災者生活再建支援法(全国の都道府県で300億円を拠出している)は、附帯決議で4年後に見直すという規定がありますので、そのときにまた議論があると思います』と村田防災担当大臣は述べている。

 11月4日、民主党、日本共産党、社民党の野党3党は、地震や台風で壊れたり、浸水などで住めなくなった住宅本体の再建について被災者生活再建支援金の支給対象とする改正案(04年4月1日に遡って適用)を衆議院に共同で提出した。改正案は衆議院災害対策特別委員会に付託され、その法案の提案説明が11月29日に実施、審議が12月2日に始まったものの、会期末の12月3日、自民・公明党の反対多数で閉会中審査(継続審議)が否決され、廃案になった。

 政府・与党の主張は、『個人の資産形成に税金は使えない』(04年11月11日の衆議院・災害対策特別委員会で表された政府見解)『住宅を持たない人との間に不公平が生じる』(04年12月2日の衆議院・災害対策特別委員会での、自民党の福井照委員の発言)ということだ。

 しかし、国税ではないものの、個人の資産に応じて固定資産税を掛けていること、個人財産である農地等の復興に税金を投じていることを考えると、この政府の主張は矛盾していると言えるだろう。(参考:農地に関する支援法に「農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律」がある)

●「激甚災害」指定の遅れ

 また、新潟県中越大地震の「激甚災害」指定の決定は、震災発生から34日後の11月26日(指定日は12月1日)で、阪神淡路大震災の8日後の指定に大きく遅れた。(参考資料::「防災情報のページ」 」、「阪神・淡路大震災についての激甚災害の指定及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」)

●明言しない特別立法の制定

 新潟県の泉田裕彦知事は11月24日、参議院・災害対策特別委員会で、新潟県中越大地震の惨状を訴えた上で「政治の力で助けてほしい。財政力の弱い県では手のほどこしようがない」と涙ながらに訴え、特別立法の制定を求めた。(毎日新聞 2004年11月24日 東京夕刊)

 これを受けて、野党の委員が午後の審議で、阪神淡路大震災の様な特別立法制定を迫ったが、村田防災担当大臣は、『自分の財産なのだから、罹災者も直せるものはできるだけ補強をして雪の季節を迎えることが、自助という精神からしても大切なこと』と述べ、『今日、泉田知事から要望書が出されたので、検討できる状態ができた、特別立法の必要性がありやなしや検討する』と答弁をした。

 また、国が支援を決定するにあたって、村田防災担当大臣は、『私どもが県に引き続き言ってまいったのは、被害の全体像というものを教えてくださいと、こういうことを言ってまいった』と、不眠不休で救援活動を行っている自らも被災者である市町村職員や関係者に、調査などの負担を強いてきたことを明らかにした。

 阪神・淡路大震災の被災市街地の一日も早い本格的復興のための「被災市街地復興特別措置法」は、震災発生40日後の1995年2月26日に公布・施行されている。(参考資料:「震災復興土地区画整理事業の状況」 兵庫県のHPから)

以上述べたように、小泉内閣の新潟県中越大地震被災者支援は、阪神大震災の教訓を生かしながらも中山間地域に起きた特殊性を含む災害という位置づけが薄いと言える。(11月24日の参議院災害対策特別委員会での泉田知事の訴えは現状を明らかにしている)。

 総理大臣が本部長になり強力なリーダーシップがとれるように、阪神・淡路大震災の教訓で強化された『緊急災害対策本部』を設置せず、住宅本体再建支援もしないことなどは、東京国際映画祭のオープニングセレモニー会場に72分間留まった小泉首相の姿勢が尾を引いていると言える。( 。(『新潟中越地震、小泉首相の対応は』 を参照)

豪雪地帯の新潟県中越大地震の被災者には、時間がない。生活の基盤である住宅の再建は希望と勇気を与える。そのためには、早い時期の『国が財政的支援をしてくれる』という確証が必要ではないか。

 国会を延長することもなく、支援の拡充も明らかにしない小泉内閣は、災害列島の国民の命と生活を支えることができるのだろうか。小泉内閣は、全国の70%を占める中山間地への支援の内容が問われている。

参考資料:

●地方自治体の被災者への住宅本体へ再建支援制度について
「鳥取県被災者住宅支援条例」(鳥取県HPから)
鳥取県は、暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被災者への恒久的制度、条例化されている。

「復興への道のり 鳥取県西部地震1年」 (山陰中央新報)
00年10月鳥取県西部地震で、溝口町はさらに、年収が250万円以下の世帯に対し、独自に100万円を追加した。

「03年7月26日に発生した宮城県北部連続地震による被災住宅再建支援金」 (宮城県のHPから)
住宅の新築・購入又は被災住宅の改築(延べ床面積5割以上の建て替え)に100万円、被災住宅の改築や補修に50万円の補助金が支払われた。

「迫る 巨大地震(中)第2部 住まい」 」(asahi.comMYTOWN愛知)
北海道平取(びらとり)町では、2003年8月、台風10号による豪雨に襲われた際、住宅を再建する町民に最高400万円の補助を町費から支出する
ことを決めた。

「1日も早い復興に向けて〜7月福井豪雨災害対策の概要〜」 」(04年7月、福井県のHPから)
「住宅の新築・補修等に要する経費に対する補助」として「被災者住宅再建補助金」が設けられ、上限補助金額は、全壊の場合で400万円、半壊の場合200万円と定められている。

「三重県被災者生活・住宅再建支援制度の概要」 (三重県のHPから)
 04年9月台風21号に伴う三重県被災者生活・住宅再建支援制度(年収が500万円以下の世帯の場合、住家の再建・購入・補修に要する経費に全壊:100万円、大規模半壊:100万円、半壊:50万円、床上浸水:30万円など)

「徳島県台風第23号による被災市町村への特別支援措置」 (徳島県のHPから)
住家の再建や購入、補修に要する経費や住宅の解体費や撤去費などとして、全壊が上限300万円、半壊で上限150万円の75%を支給。

「住宅再建対策」 」(兵庫県のHPから)
04年11月18日発表の追加対策に、住宅再建支援金の支給が決められている(住宅再建共済制度が創設されるまでの間の臨時的な措置とのこと)。
 年収800万円以下の世帯を対象に、住家の再建・購入・補修に要する次のような経費が支給させる。全壊:100万円、大規模半壊:75万円、半壊:50万円、など)

「平成16年新潟県中越地震サポート情報(生活関連情報/住宅関連情報)」 (新潟県のHPから)
新築、改築なども支給対象とする独自の住宅再建支援の最高額は、全壊が100万円、大規模半壊が100万円、半壊が50万円

「東京都三宅島災害被災者帰島生活再建支援条例」 (東京都のHP「報道発表資料 2004年11月掲載」から)
 住宅の修繕等の経費として、1年間の収入合計額1000万円以下の世帯に対して、上限150万円が至急される。

●国の被災者生活再建支援制度について
7月福井豪雨災害対策の概要 国の被災者生活再建支援制度の問題点(PDFファイル P.15) (福井県のHPから) 現在の制度の問題点を3つ指摘している。(1)水害による質の劣化が考慮されていない、(2)住宅の建設、補修費用は対象外で、「被災者の生活再建の実情に合っていない」、(3)水害などの自然災害の「被災者のニーズを制限している」。

参考サイト:

 国会議事録およびビデオライブラリーの衆議院・参議院災害対策特別委員会など新潟県・鳥取県・兵庫県・宮城県・福井県・三重県・徳島県・東京都のWEB、政府関係省庁WEB、朝日・毎日・読売・産経・日経新聞のWEB、山陰中央新報
(特に 10月30日掲載の論説「両県でなぜ差が出るのか」 NHK・日本テレビ・TBS・フジテレビ・朝日テレビ・東京テレビWEBなど。)

(北誠)

http://www.janjan.jp/government/0412/0412031296/1.php

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