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ハッブル宇宙望遠鏡のロボット修理、「成功の可能性低い」
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20041210306.html
Amit Asaravala
米国科学アカデミーが8日(米国時間)に発表した報告によると、故障を抱える『ハッブル宇宙望遠鏡』の補修のため修理ロボットを宇宙に送るという米航空宇宙局(NASA)の計画は、成功の可能性が低いとという。
業界の専門家で構成され、この報告の作成にあたった委員会は、NASAはスペースシャトルで宇宙飛行士を修理に送り出すほうが賢明だと述べている。委員会によると、こうしたミッションでも、危険性の点では『国際宇宙ステーション』(ISS)へシャトルを送ることとさほど変わらないという。
「ハッブル望遠鏡の補修により、人類の知識という面で大きな恩恵が得られるであろう。その点に鑑みて、(宇宙飛行士を送り込んでのミッションは)危険性も増すが、それに見合うだけの価値があるものと思われる。また、危険性の増加もそれほど大きなものではない」と、委員会のロジャー・テトロールト氏は話す。かつてスペースシャトルの製造に携わる企業の幹部だったテトロールト氏は、2003年の『コロンビア』の事故調査委員会でも委員を務めている。
NASA のショーン・オキーフ局長はこれまで、宇宙飛行士を送り込んでの修理ミッションは飛行士の生命をむやみに危険にさらすことになると主張してきたが、今回の委員会の判断はこの見解を真っ向から否定するものだ。オキーフ局長は今年1月、スペースシャトルの安全性が確保されるのは国際宇宙ステーションへの往復ミッションに限られるとの理由から、計画されていた飛行士によるハッブルの最後の修理ミッションは取りやめると発表した。しかし天文学者や議員たちからの圧力もあり、NASAはその後、代わりのミッションを検討すると発表し、その最も有力な選択肢として、修理ロボットを使ったミッション(日本語版記事)に的を絞っていた。
これまで数多くの科学的発見を行ない、宇宙の彼方の銀河の写真を多数撮影して称賛を浴びてきたハッブル宇宙望遠鏡だが、修理ミッションを実施しなければ、2007年か2008年には完全に機能を停止すると見られている。これまでに、望遠鏡の4つの科学機器のうち1つが完全に止まっている(日本語版記事)。そして次には、このバスほどの大きさの望遠鏡を正しい方向に維持するジャイロスコープが、さらにその後にはバッテリーが機能しなくなると考えられている。
しかし今回の報告によると、こうした搭載機器をうまく修理できるロボットを、39ヵ月という開発スケジュールでNASAが完成させる可能性は「ごくわずか」しかないという。委員会では、おそらくこうした技術の開発には65ヵ月はかかるだろうと見ている。そうなった場合、修理ミッションが始まるのは、ハッブル望遠鏡のバッテリーが切れてからおよそ2年後ということになる。
委員会はNASAに対し、宇宙飛行士による修理ミッションを行なわないとする決定を撤回するよう勧告している。
「われわれは、国際宇宙ステーションへの飛行とハッブルへの飛行との間にあると考えられる危険度の差を計算した。その結果、差はそれほど大きくないという結論に至った」とテトロールト氏は話す。
委員会では、スペースシャトルが2005年の5月か6月にミッションを再開したのち、7回目か8回目の飛行でこの修理ミッションに入るのが望ましいと推奨している。コロンビアが2003年2月に大気圏再突入中に分解し(日本語版記事)、7人の乗組員全員が死亡する事故があって以来、スペースシャトルの飛行は見合わされている。
今回の科学アカデミーの報告書は、3月にNASAから委託されたものだ。NASAは8日、委員会の結論は考慮するとしながらも、現段階での「最優先事項」はスペースシャトルに搭乗する宇宙飛行士の安全確保だと述べた。さらに、NASAとしてはまだ、ハッブルへの飛行ミッションに国際宇宙ステーションへの飛行と同程度の危険性しかないという保証はできないため、今後も修理ロボット使用の選択肢は追求していくと述べた。
NASAは、ハッブル望遠鏡の修理に乗り出す場合、修理ミッションの進め方を決めるぎりぎりの期限として2005年9月を想定している。
[日本語版:近藤尚子/高森郁哉]