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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20041015-00000007-yom-soci
大きな揺れに襲われる直前に、地震の発生がわかったら――。一昔前では夢のような話を、最新技術がかなえつつある。気象庁が準備を進めている「緊急地震速報」。本震の数秒から数十秒前に地震発生を伝え、防災への備えを促す。
今年2月から一部地域で試験運用が始まっており、早ければ来年にも本格的に速報が提供される。しかし、一方で、“早すぎる情報”がもたらす混乱を心配する声も上がっている。
先月5日午後7時過ぎ。三重県庁(津市)5階の気象情報室で、壁際に置いてあるパソコンからアラーム音が響いた。画面では、紀伊半島沖で地震が発生したことを告げている。「震度5弱程度以上 和歌山県南部、三重県南部」。だが、まだ誰も揺れを感じていない。二十数秒後、大きな揺れが襲ってきた。震度4。職員たちは対応に追われながら、“新兵器”の威力を実感していた。
気象庁が試験運用を続けている「緊急地震速報」は、地震発生直後の小さな揺れとその後に続く大きな揺れの間に、わずかな時間があることに着目して開発されたシステムで、昨年から配備が始まった「ナウキャスト地震計」と呼ばれる最新機器によって、実現される。
小さな地震波をキャッチすると、瞬時に震源の方向や地震の規模を割り出し、本震が来る前に地震発生を速報する。県庁や大学、JRなど約60の公的機関を中心に、試験的に運用されている。例えば、東海地震の想定震源域の南端で大地震が発生した場合、静岡市で約10秒、東京の都心で約40秒、本震に見舞われる直前に速報できると期待されている。
これまでの地震計では、複数の観測結果を計算しなければ、地震の規模や震源の方向を算出できず、速報を出すまでに最速でも2分程度かかった。しかし、新型地震計は、1台だけでも小さな揺れを感じてから数秒以下で第1報を送ることができる。
揺れる前に地震発生を知れば、様々な場面で有効な防災対応が取れる。家庭では、火の元の始末をして、テーブルの下などに隠れることができる。会社では、コンピューターが破壊される前に、必要な情報の保存が可能となるし、工場では生産ラインを止められる。
だが、万能ではない。気象庁地震火山部の職員は、「内陸直下型などでは、震源地付近はいきなり本震に襲われる。速報が間に合わない」と明かす。
さらに、大きな問題がある。速報に接した人々によるパニックだ。
野球場やコンサート会場など人が集まる場所で、大きな地震が発生することが伝えられたら、観客が出口に殺到するかもしれない。高速道路では、ラジオを聞いていて速報を知ったドライバーは急ブレーキをかけ、速報を知らないドライバーが追突する可能性も否定できない。
速報は、震度3以上かマグニチュード4以上の地震について、従来の地震情報のようにテレビのテロップやラジオなどで提供されることになりそうだ。気象庁の担当者は、「防災上は大きな武器となるが、これまでにない情報に国民がどう対処すべきか、伝え方も含めて検討を重ねる必要がある」と強調している。
(読売新聞) - 10月15日15時49分更新