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■長期的にはかなり正確■
▼ 現状 ― 予想地図つくり対応
地震予知のための研究は、どこまで進んでいるのでしょう。予知連の茂木清夫会長に聞きました。
「数十年以内に起きるといった長期予知は、かなり正確になっている」と茂木会長は言います。予知連は一九七八年、「二十年から三十年以内に、マグニチュード7程度の地震が予想される地域」を予測して地図を作りました。芸予地震、鳥取県西部地震、阪神大震災、すべてこの地域で起きています。
ただ、だれもが待ち望んでいるのは「あす、安芸灘で大地震が起こる」というような予知でしょう。これに成功したのが、七五年に中国で起きた海城地震です。「大地震が起きるから避難して」と呼びかけた四、五時間後に、マグニチュード7・3の地震が起きました。予知が多くの人命を救ったのです。
日本ではこういう例がありません。茂木会長は短期予知が可能な条件として、現地に十分な観測体制がそろっていることと、前震(大きな地震に先立つ小さな地震)があることの二つを挙げ、次のように話します。
「東海地方なら観測体制は十分。前震があった七八年の伊豆大島近海地震が再び起きれば、短期予知が可能だろう。東海以外の地方でも、作戦次第では可能性がある」
作戦とは、限りある観測の機材や人材を有効に使うことです。長期予知を基に、地震発生が疑われる地域を徐々に絞り込みます。並行して機材、人材を移動させ、その地域に集中させるのです。
▼ 実 例 ― 電波やラドンに注目
土地そのものの変化以外から、地震予知に挑む研究者もいます。
芸予地震が起きた瞬間、広島市安佐南区の広島市立大と広島県川尻町の野呂山で、強い電波(電磁波)が観測されました。アンテナを設置した同大情報科学部の吉田彰顕教授は「鳥取県西部地震が起きた時と同じ。電波が地震と関連していることが、ほぼ証明できた」と声を弾ませます。
水晶などに圧力がかかると、瞬間的に電波を発します。吉田教授は地震の瞬間、地中の岩石に含まれる水晶に、大きな圧力が掛かっているのではないかとみています。
ただ、地震発生前の電波には、目立った変化が見当たりません。「さらに研究を進めて、地震予知につなげたい」と吉田教授は話しています。
岡山理科大総合情報学部の弘原海(わだつみ)清教授は、地中にあるガスの一種、ラドンに注目しています。ラドンは地下水により地上へ運び出されますが、地震の前には地中の構造が変化し、わき水の量が増え、多量に地上に運ばれるはず、といいます。
空気中にラドンが増えると、イオン(電気を帯びた原子)が増えます。三月十七日昼ごろ、岡山市の同大で、空気中のイオンの量が急に増えるのが記録されました。これが芸予地震のきざしと弘原海教授はみています。
▼ 難しさ ― 地中の変化推測 発表にリスクも
天気予報と比べ、地震予知はどういう点で難しいのでしょう。茂木会長はこう説明しています。
今後いつ雨が降るか予知するには、一般的にどういう条件の時に雨が降るのか、学ばなくてはなりません。それには実際に雨が降っている時の、雲などの状態を調べるのが第一歩です。同様に、いつ地震が起きるか予知する手始めは、地震が起きている時の地中の状態を調べることです。
しかし、雲の変化が常時、気象衛星で見られるのに対し、地中は見ることができません。地表の揺れなど地上に現れた情報で、地中の変化を推測しなくてはなりません。
また雨は毎週のように降りますが、地震はそれほど多くありません。世界各国が研究している気象に比べ、地震が起きる地域は限られ、研究する国も限られています。すそ野が狭いだけ、研究のピッチは遅くなります。
予知結果の発表もリスクを伴います。「午後から雨が降る」という予報が外れても、代償は「傘を持ち歩いて損した」という程度でしょう。「午後、大地震が起きる」と発表すれば、交通を制限したり、学校を休校したりするはずです。外れた時の影響は、天気とは比べものになりません。
「それでも研究を進めなくては」と茂木会長は力を込めます。高いビルが増え、地下街ができて、各地で都市化が進む現在、地震予知の重要性は高まっています。
「阪神大震災以後、観測施設が充実してきた。早く実用的な短期予知ができるよう努めたい」と話しています。