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地震の発生原因とプレートテクトニクスとの関係について一言。
(短くまとめたいので、論文調ですみません)
1)火山性地震:
プレートテクトニクスは地球深部の運動と地球表層で起こる多くの地質現象がリンクしていることを明らかにした。日本列島のように、海溝から約100km離れた陸側に火山が並んでいることもプレートテクトニクスによって説明される。火山性地震を実体論的に考えると、マグマの動きによって起きているということになるが、マグマの発生原因そのものはプレートの運動にあるので、火山性地震もプレートの動きに本質的な原因があるということになる。ハワイ火山のようにプレートの運動と直接には関係のないものもあるが、マグマの動きによって被害を及ぼすほどの大地震は起こらない。
2)水が引き金となって起こる地震:
ダムの貯水開始後に周辺地域で地震が頻発することが知られ、貯水池誘発地震と呼ばれている。場合によっては中規模以上の地震が起こることもある。1962年に完成したインド西部のコイナダム近傍では、1967年にM6.3のコイナ地震が発生し、注目された。これは貯留水が地下に染み込んで流体圧が高まると有効封圧が下がり、岩盤強度が低下するためである。しかし、岩盤強度が低下するだけでは地震は起こらない。地震が起こるためには岩盤に弾性歪みが蓄積されていなければならず、その原因はプレートの運動にある。地熱地帯に水を送り込むと地震が起こることも実証されている。その場合にも水はあくまで引き金に過ぎず、岩盤に蓄積されている歪みが本質的である。これらの地震動もやはり断層の運動として現れる。
3)潮汐力による地震:
月齢による潮汐力の変化と微小地震の発生との間にある種の関係のある場合が知られている。この場合も、潮汐力はあくまで引き金に過ぎず、そこで起こる地震によって開放される応力の主体は潮汐力によるものではなく、プレートの運動によって蓄積された地殻応力である。
4)地殻内地震(内陸地震)
日本の内陸活断層で起こる地震もプレートの運動によって支配さた活動度、スリップベクトルを示す。中国内陸部で起こる大地震も「インド」が「ヒマラヤ」に衝突して、ユーラシアプレート内部に巨大な歪みを生じていることから起こる。
5)海溝付近で起こるプレート境界型地震:
「東海地震」など、プレートの運動と直結する例として良く引用されるが、あくまで分かり易い例であるに過ぎない。本質的にはプレートの運動に原因があるが、直接的な引き金は別のもの(例えば近隣地域で起こった地震)であり得る。
結局、「引き金」と「本質的な原因」を区別して考えると、「引き金」は多様であるが、殆どの地震の本質的な原因はプレートの運動にあるという点で同等であり、なんらの差異もない。特に大地震は全てプレートの運動によって説明される。
以下は余談:
7)水の解離爆発説を含む、地下での爆発説:
岩盤中で起こる爆発に伴う地震動は、全ての観測点でP波初動が「押し」になるという明瞭な特徴がある。この特徴を利用して、地震観測網の地震波記録から採石場などの発破によるノイズを除去することが行われている。地下核実験も、この現象によって国際的な観測網に明瞭にキャッチ・識別され、核実験停止条約などの実効性が保証されている。一方、自然に起こる殆ど全ての地震は、P波初動が「押し」、「引き」の領域に分かれ、断層運動の特徴を示す。ことに大地震は全てそうである。地震の原因の「水の解離爆発説」は、観測の裏付けのない思いつきに過ぎず、「トンデモ学説」の典型である。
8)地球自由震動:
地球はひとつの弾性体として震動している。その原因は、通常の地震による励起の他、潮汐力、大気の循環など様々であるが、非常にゆっくりとした震動で体感できず、一般には「地震」とは呼ばれない。