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【2004年7月16日 NASA News Release】
NASAのチャンドラX線観測衛星によって、珍しい4重像のクエーサーの姿が捉えられた。これは、われわれから110億光年離れたところにある1つのクエーサーの姿が、強力な重力レンズ効果によって4つの像として観測されたものだ。
クリックで拡大 重力レンズ効果によってクエーサーが4重像として捉 えられている。囲み部分が実際に捉えられた画像。 (提供:NASA/CXC/Penn State/G. Chartas et al.) |
4つの像のうち1つは特に明るく見えており、さらにこの像の相対的な増光は、可視光よりもX線で大きいことがわかった。1つの像が明るく見えているのは、この像がさらに(単独または連星系の)恒星によるマイクロレンズ効果の影響も受けているためだと考えられている。X線がより強く増光しているのは、X線を放射している領域が太陽系ほどの大きさしかないためだろう。一方、可視光はそれよりも10倍以上大きな領域から発せられているようだ。
研究者たちの解釈が正しければ、重力レンズ効果のおかげで、チャンドラX線観測衛星やハッブル宇宙望遠鏡が普通の状況で観測するのと比較して5万倍もの解像度が得られているということだ。この解像度を利用し、クエーサーの中心にあって膨大なエネルギーを生み出している巨大ブラックホール周辺のガスの流れが詳細に観測できると期待されている。