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活断層としての中央構造線【大鹿村HP】中央構造線の両側の石は別々な場所で生まれた
http://www.asyura2.com/0403/jisin11/msg/264.html
投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 6 月 29 日 19:42:49:SoCnfA7pPD5s2
 

(回答先: 茨城県から熊本県へ日本列島を縦断する「中央構造線」【大鹿村HP】「糸魚川・静岡構造線」と「フォッサマグナ」は別物 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 6 月 28 日 01:29:34)

■ 中央構造線を境に石が変わる

中央構造線を境に、内帯の 領家帯(りょうけたい)の岩石と
外帯の 三波川帯(さんばがわたい)の岩石が接しています。


中央構造線・大鹿村北川露頭


■ 領家帯の岩石

瀬戸内海王子ヶ岳

六甲山

鈴鹿御在所山

矢作川の花崗岩

中央アルプス南駒ケ岳の花崗岩

大田切川の高温低圧型変成岩(片麻岩)

領家帯の岩石は、
8000万年前ごろの白亜紀後期に、
マグマが地下10km付近でゆっくり固まった 花崗岩と、
マグマの熱を受けた 高温低圧型の変成岩です。


■ 三波川帯の岩石

四国別子の緑色岩

大歩危の砂質片岩

伊勢二見が浦の緑色片岩

大鹿村夕立神の緑色岩

長瀞の緑色片岩

三波川帯の岩石は、
緑色岩・石灰岩・チャート・泥岩・砂岩が、
1億年前ごろの白亜紀後期に、
冷たいまま地下30km付近へ引きずりこまれた
低温高圧型の変成岩です。


■ 中央構造線の両側の石は別々な場所で生まれた

領家帯の花崗岩は、
海洋プレートが地下100kmまで沈み込んだあたりで生じるマグマが、
地下10km付近まで上昇し固結したものです。
もとからあった岩石は、熱を受け、 高温低圧型の変成岩になりました。

三波川帯の低温高圧型の変成岩は、
冷たい海洋プレートが沈み込む付近の地下30kmで、変成作用を受けました。

このように両帯の岩石は、水平距離(プレート沈みこみ帯に垂直な方向)で60km、
深さの差で20km、離れたところにありました。
横ずれ方向にも、大きく離れていたと考えられます。

数千万年前の大規模な中央構造線の活動が、
遠く離れた領家帯と三波川帯をずれ動かし、
両帯は接するようになりました。


■ 鹿塩マイロナイト


領家帯の
中央構造線ぞいの岩石は、
地下深部で
断層のズレの力を受け
鹿塩マイロナイトという
断層岩になっています。


鹿塩(かしお)は
大鹿村の地名です。
鹿塩マイロナイトは、
埼玉県比企丘陵から
淡路島まで
露出しています。


鹿塩マイロナイトは
7000万年前、深さ15km、
温度350℃で形成されました。


長石結晶の形から、
当時の"ずれ"の向きが
分かります。
(左ずれを示す)


■ 中央構造線の“もと”になった断層


この鹿塩マイロナイトに
刻まれた証拠や
他のデータから、
恐竜時代末期(白亜紀後期)の
東アジア東縁に、
400〜2000kmにわたる
大規模な左横ずれを起こした
断層があったと考えられています。
(図は山北1997を改変)



この断層が、のちに
領家帯と三波川帯を接しさせた、
中央構造線に発展しました。



中央構造線の定義:
領家帯の南縁を画す大断層。
三波川帯変成岩類を覆う新期の地層と
領家帯を覆う新期の地層の間の断層も
中央構造線と呼ばれる。



新版地学事典(1996)田中・伊藤による


■ 「赤石時階」の再活動

領家帯と三波川帯の境界としての中央構造線ができてからも、
中央構造線は再活動をくりかえしてきました。
その動き方は、時代や地域によって異なります。
1500万年前ごろ、赤石山脈地域特有の「赤石時階」の再活動がありました。

1500万年前、アジア大陸の一部だった日本列島が
太平洋方向へ移動し、日本海ができました。
西南日本は右まわりに、東北日本は左まわりに回転しました。

その結果、西南日本の東部は伊豆・小笠原海底山脈と激しく衝突し、「ハ」の字型にめりこみました。
中央構造線も「ハ」の字型に曲がりました。


中央構造線が折れ曲がるとともに
中央構造線から遠州灘へ分岐する
「赤石構造線」が生じ、
中央構造線と「赤石構造線」を
一直線に結んだ断層線を境に
東側が北へ60km、ずれ動きました。



中央構造線の、この動きを、
「赤石時階」 の活動
といっています。

大鹿村の安康(あんこう)露頭では、
「赤石時階」の活動で生じた断層粘土帯が2列あります。
もとの中央構造線の構造はこわされ、
領家帯と三波川帯の岩石が、くりかえしあらわれています。

その後、「赤石時階」の断層群を切って、
外帯(写真右)から内帯(写真左)へのし上げる
低角の「衝上断層群」が活動しています。


■ 「活断層」としての中央構造線

今の日本列島の地殻変動は、およそ200万年前に始まりました。
中央構造線の古傷を利用して、多くの「活断層」が生じています。
それらを 中央構造線活断層系 といっています。

その活動のようすは、地域(区間)ごとに大きなちがい があります。

活断層区

-

長さ・km

活動度

中部日本

杖突峠〜地蔵峠

50

C

-

地蔵峠〜佐久間

50

C

-

佐久間〜新城

30

C

伊勢湾〜紀伊半島東

豊川〜五条

180

不活動

紀伊半島西

五条〜紀淡海峡

70

A

淡路島

紀淡海峡〜鳴門海峡

30

A?

四国北東

鳴門〜伊予三島

106

A

四国中央

伊予三島〜小松

47

A

四国北西

丹原〜双海

35

B

伊予灘〜別府湾

伊予灘〜別府湾

110

B

九州

大分〜出水

200

B


岡田篤正(1992)


領家帯と三波川帯の
地質境界としての中央構造線と、
活断層としての中央構造線は、
ピッタリ重なるとは限りません。


図は和歌山県の例です。
ここでは、中央構造線は、
領家花崗岩を覆う
白亜紀の浅海堆積層の和泉層群と、
三波川帯の境界断層です。

けれども活断層系は、
段丘と山地の境界である
逆断層の菖蒲谷断層と、
和泉山脈中の
右横ずれの五条谷断層です。
中央構造線と五条谷断層は、
1500mはなれて並走しています。


中央構造線活断層系
近畿地域ストリップマップ
(通産省地質調査所1994)に加筆


[Last update 2000/04/25]

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