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(回答先: 11世紀前後には磁北が西に約15度ずれていた←タイの古寺遺跡から過去千年間の偏角永年変化が判る?!:考古磁気学的手法 投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 6 月 02 日 13:54:33)
地磁気座標は正確には地磁気双極子座標と呼ばれ、地球磁場をモデル (通常は国際標準磁場 (IGRF)) に基づき、地球中心に置いた双極子で近似し、その軸が地上と交わる点 (地磁気極という) を基準に定めた座標であり、地磁気北極 (IGRF2000では北緯79.5度、西経71.6度 / グリーンランド北西端付近) からの角距離 (余緯度) を90度から引いたものを緯度、地磁気北極から見て、地理北極を含む経線から求める地点の経線までの角度を経度としている。 (右図参照)
地磁気座標は地磁気に基づく座標であるため、永年変化と呼ばれる地磁気のゆっくりした変化に伴う地磁気極の移動により、少しづつ変化している。
地磁気の分布は、磁気測量した値を地図上に等高線で表示する場合 (磁気図) と、数式で表現する場合 (磁場モデル) がある。後者のうち、全地球的スケールでの分布を表現するモデルとして最もよく使われるのが国際標準地球磁場 (IGRF--International Geomagnetic Reference Field) である。
このモデルでは、磁場分布を表現するため1838年に数学者ガウスが考案した球関数を用いて地磁気のスカラーポテンシャルを展開する (球関数展開 -- spherical harmonic expansion)。展開係数は、世界各地の地磁気観測点や、航空機、船舶による観測、さらに最近では人工衛星により得られた観測データに対し、関数値との差が最小になるよう決定される。 IGRFは、球関数の次数N=10〜13までの展開係数を数値表の形で与えていて、 5年毎に国際地球電磁気超高層物理学協会 (IAGA -- International Association of Geomagnetism and Aeronomy) の分科会に設置された作業委員会 で決定される。現時点では、1900年以降2000年まで作成されている。より詳しくは、 EPS誌 (Earth, Planets and Space) Vol.52, No.12, 2000 や、 理科年表 (丸善)、 IAGA作業委員会による解説を参照されたい。
なお、 N=10〜13までの展開係数を用いても空間的分解能はせいぜい1000-2000km程度であり、局所的な磁気異常は表現できていないので注意を要する。そのため、特定の地域にのみ適用されるモデルが作成される場合があり、例えば国土地理院が作成した日本列島の地磁気モデル値などが公開されている。