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【2004年5月24日 ESO Press Release】
ヨーロッパ南天天文台を中心としたM17「オメガ星雲」の観測から、これまでで最大の降着円盤が発見された。これによって、大質量星の形成が低質量星と同じ過程を経ることが明らかにされ、理論を裏付けることとなった。
VLT ANTUとISAACによるM17付近 |
VLT YEPNとNACOによる降着円盤(提供:ESO) |
質量が太陽程度の星の形成や初期の進化についてはよく知られているが、大質量星の形成についての基本的なシナリオには、いまだ謎が多い。現在考えられているシナリオは2つで、1つは星を取り巻く大量の物質が中心にある星に降着することで形成されるというもの、もう1つは中間質量の原始星同士の衝突によって形成されるというものだ。
今回観測されたのは、われわれから7千光年離れたいて座にあるM17「オメガ星雲」の南西部分に位置する分子雲の中だ。発見された円盤の大きさは直径およそ2万天文単位で、質量は太陽の110倍以上と考えられている。これまでに見つかっていた円盤の大きさが低質量星で約1000天文単位、大質量星ではせいぜい130天文単位であったのに比べると、桁違いに大きな降着円盤の発見となる。
大質量星やその周辺に発見された構造は、巨大降着円盤に取り囲まれた環境から生まれる大質量星形成のシナリオに完璧に対応している。今回の観測から、大質量星の形成が周囲に存在する円盤からの質量降着によるものであるという観測的証拠が得られた。中心にある原始星の質量は太陽質量の20倍程度と見積もられている。今回の観測は、長年理論のみであった巨大質量の原始星の形成が進む現場が、初めて直接捉えられたことになる。