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物質の質量を生み出す「クオーク凝縮」という仕組みの存在を裏付けるデータを、東京大などの研究チームが加速器を使った実験で確認した。宇宙誕生時の大爆発(ビッグバン)から10万分の1秒後に起きたとされる現象で、物理学の基本問題の解明につながる成果だ。米物理学専門誌「フィジカル・レビュー・レターズ」に発表された。
物質を構成する陽子や中性子は、クオークと呼ばれる基本粒子が3個集まってできている。しかし、クオーク3個分の質量は中性子や陽子の質量の数%しかなく、残りの質量がどこから来ているのかは謎だった。
謎を解決するために、南部陽一郎・米シカゴ大名誉教授が61年に提唱したのがクオーク凝縮だ。目に見えない無数のクオークが空間に潜み、現実のクオークに絡まりつくようにひしめき合うことで質量が増加するという理論で、陽子などはビッグバン後にクオーク凝縮を起こしたとされる。
共同研究チームの早野龍五・東京大教授らは、独・重イオン研究所の加速器を使って実験。クオーク2個でできたパイ中間子をスズの原子核内で発生させ、核内を動き回る様子を分析した。
その結果、クオークの絡まり度合いを示すパイ中間子のエネルギーは、原子核の中心部を回っている時の方が、周辺部を回っている時より約30%減少した。クオーク凝縮の理論では、原子核の中心部を回る方がクオークが絡まりにくいとされ、実験結果と理論が非常によく一致した。
物質に質量が生じるのは、ヒッグス粒子という未発見の粒子が働くためとされる。今回はヒッグス粒子によって生まれた質量が、さらに増える仕組みを確認した。
研究チームの山崎敏光・東京大名誉教授(原子核物理学)は「質量に関する基本的な理論を、実験で間接的に証明できた」と話している。【加藤潔、河内敏康】
◇クオーク凝縮
クオークは物質を形作る基本粒子で、アップ、ダウン、トップなど6種類ある。陽子や中性子は3個のクオーク、中間子は2個のクオークでできている。陽子などを構成するクオークの周囲で、別の目に見えないクオークが絡みつくようにひしめくクオーク凝縮が起きるため、陽子などの質量が増すと考えられている。
[毎日新聞3月7日] ( 2004-03-07-01:38 )
http://www.mainichi.co.jp/news/flash/shakai/20040307k0000m040057003c.html