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影落とす『政治とカネ』 出直し高知知事選
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20041125/mng_____kakushin000.shtml
選挙資金をめぐる一億円裏金疑惑で、橋本大二郎前知事が辞任したことに伴う高知県の出直し知事選は二十八日、投開票される。同知事選は、再出馬した橋本氏と、新人で元高知市長の松尾徹人氏=自民・社民推薦、公明支持=による事実上の一騎打ち。知名度のある橋本氏に、松尾氏が猛追して接戦となっている。「政治とカネ」で追及されることの多い自民党が、改革派知事の草分け・橋本氏の政治姿勢を批判するという「逆転現象」が起きる中、終盤の高知を歩いた。 (政治部・本田英寛)
■強まる包囲網
松尾氏を推す自民、公明両党は、武部勤、冬柴鉄三両幹事長をはじめとする大物が連日、高知県入りしている。特に、武部氏は「勝ち目のない選挙に勝つのがおれの仕事」と意気込み、二十一、二十二の両日で約十五の市町を回った。「橋本包囲網」が、日に日に強まるのを実感している。
「辞職勧告決議案で辞職するのなら、潔く辞めるのが筋。それが民主主義のルールだ」。武部氏は二十二日、高知市内で松尾氏の支持者を前に、県議会の辞職勧告決議を受けて辞任しながら再出馬した橋本氏をこき下ろした。
いったん辞任して再出馬するという行為は、県民を愚弄(ぐろう)するパフォーマンスというのが、武部氏らの見方。「橋本氏は自らの立場を擁護するために出馬した」(冬柴氏)「橋本氏は(再出馬で)県民を真っ二つにした」(中谷元・元防衛庁長官)などと集中砲火を浴びせる。
さらに、橋本氏が今回五選目を目指すこともやり玉に挙げており、「長くて三期。本当は二期八年でいい」(武部氏)と、多選批判も手厳しい。
自民党はこれまで、国政、地方を問わず、「政治とカネ」で守勢に回ることが多かった。今も中央では、旧橋本派への一億円ヤミ献金事件で野党側の追及を受けている。その中心人物として批判されているのは、橋本氏の兄・龍太郎元首相だ。
偶然とはいえ、「一億円」「橋本」という共通点を持つ疑惑を抱える中央と高知。その中で自民党は、国会では「守り」に徹し、高知では追及の先陣に立っている。
有権者にとって、これ以上分かりにくい話はないのだが、松尾陣営に迷いはない。集会などでは、県議らが「兄も弟も、一億円をもらったけど忘れたなんて、とんでもない主張をしている」と、兄弟そろって切り捨てている。
これに対し、橋本陣営は「自民党から裏金疑惑などと言われるのは心外」と、憤りを隠さない。
ただ橋本氏は、演説では疑惑の釈明は数分程度にとどめ、残りは十三年間の知事としての実績を強調している。
橋本氏サイドは、官官接待の廃止などの大胆な改革は、しがらみのない立場だからこそできたと自負している。そして、今回の事態については、「既得権益がなくなるのを恐れた県政ボスたちが多数派工作した」(橋本陣営幹部)から起きたとの論陣を張る。
橋本氏としては、自身を改革派知事と位置づけることで、多くの県議に支えられる松尾陣営が「抵抗勢力」という印象を有権者に与えたいのだ。
■民主にねじれ
こうした中で、知事選の混迷に拍車をかけているのが民主党。両陣営のせめぎ合いの板挟みになっているかのように、同党の動きが、また分かりにくいのだ。県連レベルでは松尾氏に「協力」するのだが、告示後、鳩山由紀夫、菅直人の両代表経験者は橋本氏の応援に駆けつけている。
両陣営の泥仕合、政党の立場の分かりにくさ。それに嫌気が差しているのだろうか、県民の知事選への関心は日を追うに従って冷めていく印象さえ受ける。
これは、無党派層の支持を受けて当選を重ねてきた橋本氏にとって好ましい展開ではない。
二十一日に高知市内のホテルで開かれた橋本氏の演説会。
「今回の選挙は、大きな組織の前に厳しさを感じる」。橋本氏は空席が目立つ会場を見回し、危機感をあらわにした。