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◇配置基準未満、自治体6割にも 増える虐待に消極的
児童相談所で虐待問題を担当する児童福祉司の人数が、国の配置基準に満たない自治体が5年間で増え続け、現在は全体の6割を占めることが厚生労働省などの調べで分かった。深刻な児童虐待に対応するため、国は00年度から児童福祉司の配置基準を引き上げて地方交付税を増額しているが、増額分をそれ以外の施策に「流用」している自治体が多いためだ。児童相談所での虐待相談の処理件数は同時期に2倍以上増えており、関係者からは自治体の姿勢に批判の声が上がっている。【玉木達也】
交付税は自治体の財政事情に左右されず、国民が一定のサービスを受けられるように、国が集めた税金の一部を自治体に配分するものだが、交付税の使途は自治体の判断に任されている。
総務省によると、99年度までは人口170万人(標準団体規模)当たり児童福祉司16人(人口10万6000人に1人)を配置基準として交付税を算定。児童虐待防止法が施行された00年度以降、基準の人数を毎年1〜2人ずつ増やし、その分の交付税も増額。今年度は25人(6万8000人に1人)を基準とし、1人に付き人件費900万円を交付税に算入した。
全都道府県・政令市の中で、基準より実際の配置が少なかったのは00年度、22自治体だったが、毎年増え、今年度は全体の6割となる36自治体になった。
31人の基準に対し18人しか配置していない岐阜県は「増員を検討中だが、財政事情が厳しい」と釈明。一方、22人の基準に倍以上の51人を置く青森県は「子供を守るのは行政の仕事。財政は苦しいが維持したい」と話す。
児童虐待対策を巡っては「三位一体の改革」で、全国知事会など地方6団体が児童福祉関連の財源移譲を国に求めているが、「このままでは自治体間格差が広がるだけだ」と反対する市民団体も多い。
児童相談所での虐待相談処理件数は、99年度の1万1631件から03年度は2万6569件と約2・3倍に増加。最近も栃木県小山市で幼児2人が殺されるなど、悲惨な事件が相次いでいる。
◇政令改正し増員を
日本子どもの虐待防止研究会副会長の平湯真人・弁護士の話 地方交付税は使途に拘束力がないため、国が増額しても自治体の裁量に委ねられ、虐待対策に生かされていない。児童福祉司の増員を自治体に義務づけるためには、福祉司の担当区域を定めた政令を改正しなければならない。現在の政令では、人口10万〜13万人に福祉司1人の配置基準となっているが、5万人に1人ぐらいに改正すべきだ。そうすれば地方交付税の増額分が生かされる。児童福祉司の人数不足は虐待対策には致命的だ。虐待されている子どもは自治体を選べないのだから、自治体の責任は重い。
◇児童福祉司の現員と配置基準◇
(配置基準は04年度、単位・人)
自治体 名基 準現員 差
北海道 57 54 − 3
青森 22 51 29
岩手 21 13 − 8
宮城 20 28 8
秋田 17 15 − 2
山形 18 16 − 2
福島 31 26 − 5
茨城 44 31 −13
栃木 29 25 − 4
群馬 30 28 − 2
埼玉 87 101 14
千葉 74 59 −15
東京 177 142 −35
神奈川 56 46 −10
新潟 36 37 1
富山 16 11 − 5
石川 17 16 − 1
福井 12 9 − 3
山梨 13 11 − 2
長野 33 26 − 7
岐阜 31 18 −13
静岡 55 51 − 4
愛知 72 68 − 4
三重 27 25 − 2
滋賀 20 18 − 2
京都 17 21 4
大阪 91 119 28
兵庫 60 62 2
奈良 21 17 − 4
和歌山 16 17 1
鳥取 9 16 7
島根 11 12 1
岡山 29 27 − 2
広島 26 23 − 3
山口 22 22 0
徳島 12 14 2
香川 15 20 5
愛媛 22 20 − 2
高知 12 15 3
福岡 39 41 2
佐賀 13 11 − 2
長崎 22 23 1
熊本 27 27 0
大分 18 16 − 2
宮崎 17 12 − 5
鹿児島 26 17 − 9
沖縄 19 23 4
札幌市 27 22 − 5
仙台市 15 14 − 1
さいたま市 15 12 − 3
千葉市 13 13 0
横浜市 50 48 − 2
川崎市 18 24 6
名古屋市 32 32 0
京都市 22 33 11
大阪市 38 44 6
神戸市 22 25 3
広島市 17 15 − 2
北九州市 15 12 − 3
福岡市 20 19 − 1
合計 1863 1813 −50
毎日新聞 2004年10月16日 東京夕刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/kurashi/katei/news/20041016dde001040012000c.html