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http://www.janjan.jp/area/0409/0409189004/1.php
定時制高校への偏見 2004/09/19
毎日「JANJAN」を見ている人の中に、高校を定時制過程で卒業していたり何らかの形で通学していた人が何人いるだろう。いま札幌市内の一地域において、定時制高校建設に対し大変な誤解と偏見が起きている。
札幌市教育委員会は、2008(H20)年4月をめどに、市内に4校ある定時制高校を一つに統合しようとした。いまある夜間部を午前や午後も通える三部制にし、いつでも自由に授業が受けられる単位制にする。そうすることによって、不登校や引きこもりの生徒にも授業が受けやすくなると考えていた。
そこで新しい高校を、中央区にある旧大通小学校の跡地に新設することに決めた。ところが話しが進むにつれ、私たちには想像もつかないことが起きた。地元にある桑園地区連合町内会(真柄光吉会長)が、定時制高校を建設することが「住環境と治安の悪化」に繋がることを第一の理由に反対してきたのだ。「定時制高校」イコール「住環境と治安の悪化」の発想には、私も憤りを覚える。なぜそうなるのか。無知識も程ほどにしてほしい。
これは、現在定時制高校に通っている生徒たちには辛い話だろう。札幌、夜の繁華街 “すすきの” のすぐ傍にある、星園高校の生徒は「悪いイメージだけ」とショックを隠さない。また、父母や教師、それに多くの地元メディアも声をあげた。「全く無神経」「全日制だったら良かったのか」と怒り心頭である。
市内に4校ある定時制高校の周辺の人たちも「高校生に対しての苦情を聞いたことがない」と話している。桑園地区の住民からは、この町内会の反対運動に「地元に住むものとして恥ずかしい」と、テレビ局にメールが寄せられている。
これに対して、当事者である桑園地区の町内会は、この問題が大きくなったことに驚いたのか、3日に緊急役員会を開き、上田文雄札幌市長に提出してあった反対文書から「第一の理由」とする文言を削除することを決めた。
役員会の後で行なわれた記者会見の席上、岡田純一桑園第一町内会長は、「住環境と治安の悪化」を第一の理由としたことについて「強烈な抗議文を出さないと、市側が話し合いに乗ってこないと考えたため」と説明。文書から削除する理由を「曲解されるものは外そうということ。他意はない」などと釈明した。 ただ、旧大通小跡地は「福祉施設など、市の中心部として総合的な利用を考えてほしい」と述べ、定時制高校新設に対しては引き続き反対していくと話している。
記者からの「住環境と治安の悪化を反対理由にしたことで、定時制高校生らを傷つけたのでは」との質問に「最初に火の粉(建設に伴う札幌市の説明不足)を起こしたのは市の方で、騒ぎが大きくなったのも市のせい。火の粉を消すためには多少のことはしょうがない」と話し、謝罪の言葉はなかった。
この説明を聞いてもなんとも釈然としない。「強烈な抗議文を出さないと…市が話に乗ってこない…」だから、「定時制高校」イコール「住環境と治安の悪化」だったのか。この考えだと、自分たちの主張を通すために、定時制高校に通う生徒を、ただ「出し」に使っただけと言える。そのうえ「火の粉を消すためには多少のことはしょうがない」とまで言い切っている。
どこかで聞いたような話だ。そう、小泉首相が予算委員会の席上、野党議員から「公約破り」を指摘されての答弁で発言していた「それぐらいのことは大したことじゃない…」だった。無神経さは共通している。
この話しはとてもショックだった。私は旭川の定時制高校(夜間部)を、1969(S24)年に卒業した。昼間は働いて、夜になると学校へ行く、これが毎日の生活パターンだった。
当事は、東京オリンピックが終わって、上向きかけた日本経済の波がやっと地方に届き始めた頃で、なおさらか貧富の差が眼に見えてきた頃でもある。経済的に苦しい家庭の者は、当然のごとく自らが働いて学費や生活費を稼ぎながら通学していた。勤務先で何があっても、いざ校門をくぐって友達の顔を見た瞬間、昼間の仕事の疲れはどこかへ吹っ飛んでしまっていた。みんな生きいきとして和気あいあいだった。
あれから35年が過ぎた。日本は、田中角栄元首相の列島改造論に乗った「高度成長」があったが、その後のいわゆる「バブルの崩壊」などの社会の変革をへて、定時制高校のあり様も大きく変わった。家庭の生活力や個人の学力を考えて定時制高校を選択するのでなく、自分が行きたいから定時制を選ぶ。その形も色いろで、中学や高校で不登校だった人や、何らかの理由で高校へ行けなかった人、中にはもう一度勉強したいと言って通う人もいるらしい。
今回起きた「定時制高校が来ると治安が悪化する」という話しは、何処かでの噂話を人づてに聞いたりし、それが大きくなって反対運動が起きたらしのだが、都会での人と人との繋がりがなくなった象徴かもしれない。
参考リンク
北海道新聞 学園ひろば
http://www5.hokkaido-np.co.jp/sapporokenbu/school-openspace/files/20040907.php3
HBC放送 テレポート2000
http://news.hbc.co.jp/09161903.html
(岩崎信二)