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手作りFM局 東村山に復活
今回は本格放送に
「自分たちの言葉を、最後まで手放したくなかった」。こんな思いを込め、東京都東村山市で今月三十日、市民グループによるFM放送局が復活する。二十年前に地元でミニFMを運営していた人などが、今後は本格放送として悲願を成し遂げた。身近な生活情報から政治問題まで幅広いテーマを扱う意向で、「声を上げにくい時代だからこそ、市民がいろいろなことを考える上で必要な情報を自分たちの手で発信したい」と、担当者は意気込んでいる。 (佐藤直子)
開局するのは「ひがしむらやまFM79」で、NPO法人「ひがしむらやまエフエム」(岡部透理事長)が運営する。地元の会社員や自営業、学生などボランティアの約二十人が中心となり、番組制作から放送まで手がける。
周波数は七九メガヘルツ、出力は一〇ワット。放送エリアは同市や東大和、武蔵村山、清瀬、東久留米、小平の多摩地区六市や、隣接する埼玉県所沢市でも聞くことができるという。
東村山市では一九八四年から三年間、前身となるミニFM局が活動していた。地元の中高生からお年寄りまで約百人のボランティアがニュースを集め、日曜日を除く毎日、交代でスタジオに入った。大手のメディアには載らない地域ニュースを取り上げることできずなが深まり、街に活気が生まれた。
その後、微弱電波を使ったミニFMも電波法の規制を受けて放送は中止に。当時のメンバーに、本格的なFM局づくりの夢が残った。九八年にNPO法が施行。営利団体ではないNPO法人でも放送局の開設が可能になると、すぐに監督官庁の総務省と開局に向けて協議を始めた。
岡部さんらによると、同省が空き周波数を明示せず、自前の測定機材で実験を繰り返して自力で探し当てたという。今年一月、予備免許を取得。現在、試験電波を発信中だ。
放送局は、メンバーの自宅の一室にある。庭に高さ二十五メートルの放送塔を建設。約二千万円の開設費用は、市民からの出資や寄付と、融資を受けることで賄った。
番組は、在京各紙の地域版を読み解くコーナーや、国内外のニュース解説などに加え、音楽や娯楽などまでさまざま。魚住昭さんらフリージャーナリストや評論家も、コメンテーターなどとして無償で協力する。
イラク人質事件や北朝鮮の拉致被害家族に激しいバッシングが浴びせられる最近の風潮。魚住さんは「弱い者は“お上”に従え、と言わんばかりの危ないムードを感じる」と危機感を募らせる。「NPOなら顔色をうかがうスポンサーもいないし、タブーのない放送ができるのではないか」と期待を寄せている。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20040614/eve_____sya_____001.shtml