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君が代:8教委がマニュアル 現場は懸念
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20040613k0000m040100000c.html
公立の小中高校などの卒業式や入学式で国旗掲揚や国歌斉唱をする際、8都府県・政令市の教育委員会が学校向けに具体的な実施方法を決めて通知したり、指針を策定していることが毎日新聞の全国アンケートで分かった。8教委中5教委は99年の国旗・国歌法施行以後に新たな実施方法を定めており、教育現場からは「法制化で教育委員会の指導が強化されるという懸念が現実になった」との指摘も出ている。
「国旗掲揚や国歌斉唱の方法について指針やマニュアルを策定している」と答えたのは東京、大阪、神奈川、広島、大分、沖縄の6都府県と札幌、京都の2政令市教委。ほとんどが「国旗は式場の正面に掲揚する」「式次第に国歌斉唱を入れる」などと定めていた。
大分、沖縄県と京都市以外は、99年の法制化後に新たな指針を定めたり改訂した。大阪府は式典を「望ましい形」で行うよう文書に記し、国旗の正面掲揚などを口頭で各校長らに指導している。千葉県教委は「策定する予定がある」と回答。横浜市教委は式典での国旗・国歌に関する文書を作っているが「マニュアルではない」と答えた。
東京都と神奈川県、札幌市は教職員が校長の指示に従わなかったり、式を妨害した場合は「服務上の責任を問うことがあることを教職員に周知すること」と明記、処分の可能性に言及していた。東京都は昨秋、詳細な実施指針を作り、今春の卒業式と入学式で教職員延べ238人を減給や戒告処分にした。
<君が代起立調査「やりすぎ」の声>
君が代斉唱時の子供の起立調査が行われている各地の生徒や親からは戸惑いの声が上がった。
高2の息子がいる広島県の男性は「まさか生徒の起立をチェックしているとは。立たないと『危険思想の子』と言われてしまうかもしれない」と心配する。「子供たちはまだ自分で賛成か反対かを言えないのに、押し付けるのはおかしい」。大分市の2児の母親(45)は憤った。
中2と小5の息子がいる京都市の女性会社員(41)は「どのような学校作りをしていくかは保護者と教師が決めるべきだ」。新潟県の県立高校3年の女子生徒は「歌う歌わないは個人の自由。生徒が立たなかったからといって、学校が教育委員会に報告するのはやりすぎだ」と話した。
毎日新聞 2004年6月12日 23時21分
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児童・生徒の起立 11府県・政令市教委が調査
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/edu/news/20040613k0000m040045000c.html
公立小中高校などの卒業式や入学式で「君が代」を斉唱する際、児童・生徒が起立しているか否かを、11府県・政令市の教育委員会が調査していることが毎日新聞の全国アンケートで分かった。政府は国会で、国旗掲揚・国歌斉唱について「子供の内心にまで入って強制するものではない」との見解を示しているが、各教委が起立斉唱を徹底するため、個別の学校現場にまで踏み込んで調査している実態が浮かび上がった。
学校の国旗掲揚・国歌斉唱を巡っては、東京都が教職員延べ238人を処分した。アンケートは全国の状況を探るため4〜5月、都道府県・政令市教委を対象に実施し、全60教委から回答を得た。
大阪、新潟、広島、鳥取、福岡、大分、沖縄の7府県と、大阪、京都、広島、北九州の4市が子供の起立調査を「している」と答えた。どの教委も「起立しなかった子供の氏名までは把握していない」と説明している。各校が調べ校長が教委に口頭報告する例が多いが、報告書を出させている教委もあった。大阪、新潟、鳥取、福岡、沖縄の5府県は小中学校は調査対象にしていない。
調査目的は「起立しない生徒がいるのは教育上の課題で、状況把握のため」(北九州市)などと回答した。京都市教委は「起立しない子供がいれば本人や保護者から理由を聞くなどするよう学校を指導する。ただし歌いたくない子に強制はできない」。鳥取、新潟県は「不起立による妨害など特異例のみ報告させている」という。千葉県は「今後必要に応じて調査する」。
子供の不起立を受けた教職員への責任追及は、新潟県と大阪市が「今後検討する」、千葉県は現在、調査はしていないが、「学習指導要領に基づき指導しなかったり、子供を扇動する職員には適切に対処する」と答えた。
東京都教委は起立調査を「していない」と回答したが、今春の卒業・入学式で、都立高全校に「お祝いを述べるため」という理由で教委職員を派遣。この報告などを基に、起立しなかった生徒への指導が不適切・不十分だったとして、教職員67人を「厳重注意」などにした。教職員本人の不起立を理由とした懲戒処分も行われている。
89年の学習指導要領改訂で、学校は式典で「国歌を斉唱するよう指導する」とされたが、99年8月施行の国旗・国歌法に義務規定はなく、国会で「強制ではない」との政府見解も示された。文部科学省は毎年、「適切な実施に向けた指導徹底」を通知している。同省は起立調査について「自治体の判断なのでコメントする立場にない」としている。【まとめ・木戸哲】
下村哲夫・早稲田大教授(教育学)の話
全員で起立して君が代を歌い、式典を厳粛に行いたいという考えは理解できる。だが、児童・生徒の起立調査は教師の処分につながりかねない。自分が処分されないように教師が指導を強化すれば、結果的に子供に起立を強制してしまうおそれがある。立つかどうかは最終的には子供が判断すべきことで、調査は好ましいことではない。
毎日新聞 2004年6月12日 19時32分