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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040607-00000506-yom-soci
世界遺産の候補地になっている小笠原諸島の自然保護を巡り、国と東京都がつばぜり合いを演じている。
無人島である南島(みなみじま)の植生回復事業で、林野庁と都は、島を2分割して担当エリアを決めたものの、互いの手法を巡って対立。都が独自に、自然を守るレンジャーの派遣に乗り出すと、後追いするように環境省もレンジャー常駐を決めた。都の攻勢に国が受け身に回る展開だが、地元では「仲良くやってほしい」と、困惑の声も上がっている。
都が南島の植生回復に乗り出したのは、若き日に島を訪れたことがある石原慎太郎知事が2000年10月に再訪し、その荒廃ぶりに驚いたことがきっかけだった。サンゴ礁が風化してできた岩や芝を観光客が踏み荒らすなどした結果、土壌流出が進んでいた。
都は程なく、島の地主である林野庁に島の購入を申し出たが、不意をつかれた形の同庁は「一緒に協力して環境保護に取り組みたい」と返答。翌年、都が島の南側、林野庁が北側の植生回復を担当する住み分け案で合意した。
その際、互いの自然保護策を通告し合う“紳士協定”を口頭で交わしたが、これが争いを呼んだ。まず、芝を植え替える都の事業の通告の有無について、「言った言わない」で不信感が芽生えた。2002年には、同庁の遊歩道計画に、都が「景観にそぐわない」と待ったをかけた。
同庁は工法変更で応じたが、それでも反対されたため、「島の所有権は林野庁にあり、都に反対する権限はない」と反発。一時は工事を強行する構えも見せたが、今年度に入り、結局、断念した。
さらに、石原知事は「小笠原は国立公園なのに、環境省のレンジャーが常駐していない」と、環境省を批判し、昨秋、都のレンジャー派遣を表明。同省の小笠原担当のレンジャー2人は、神奈川県内の事務所から年に数回、島に出張するだけのためで、都は今月から、レンジャー3人の研修を始めた。7月に着任し、動植物の持ち出し監視や観光客のマナー教育にあたる計画だ。
これに対し、同省も今年に入り、小笠原へのレンジャー常駐を決めた。担当者は「都の動きとは直接関係ない。固有の植物の保護など、現地での仕事が多くなったから」と説明するが、島での事務所が確保できていないため、現在は新宿御苑(新宿区)で勤務している。
「現場では協力する」と同省と都は口をそろえるが、役割分担は決まっていない。
昨年、世界自然遺産の政府推薦候補となり、注目を集める小笠原。地元の観光ガイドの男性は「行政同士で議論を深めるのはいいが、主導権争いは程々にしてほしい」と注文をつけている。
◆南島=東京から約1000キロ離れた小笠原諸島の中心・父島の隣にある無人島。南北約1・5キロで縦に長い。珍しいカルスト地形があり、観光客に人気があるが、入島は現在、1日100人以内に制限されている。(読売新聞)
[6月7日19時14分更新]