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【ワシントン2日=本紙駐在・森暢平】沖縄本島北部にしか生息しない国の特別天然記念物ノグチゲラについて、米魚類・野生生物保護局は2日までに、米「種の保存法」上の絶滅危惧(きぐ)種の指定の判断を先送りする決定を下し、米官報に公示した。今後の検討の際の優先順位は高いとは言えず、事実上「現時点で指定せず」の決定に近い。
米環境保護団体「生物多様性センター」(CBD、本部アリゾナ州)は「米軍北部訓練場のヘリパッド移設計画で成育環境が脅威にさらされる事実が考慮されていない」と反発。近く新たな訴訟を米連邦地裁に起こす。
魚類・野生生物保護局は24年前、ノグチゲラを絶滅危惧種に指定するよう求める申請書を受理。しかし、その後、申請が棚ざらしにされたため、CBDは昨年12月、指定の検討を再開するよう求めて提訴。先月17日、検討プロセスを再開することで両者が和解していた。
種の保存法では、危惧種指定の申請があった場合、1年以内に(1)指定(2)指定は必要だが後回し(3)指定せず-のいずれに該当するかの判断が下される。
和解を受け、魚類・野生生物保護局は今回、ノグチゲラと一緒に申請があった73種の野鳥について、5種が(1)、ノグチゲラを含む51種が(2)、17種が(3)に当たると判断。(2)とされた野鳥には、「1」から「12」までの優先度が付けられているが、ノグチゲラは35番目の「7」。指定の判断は1年に多くて5種が限度と見込まれるため、ノグチゲラについての判断は早くても6年後になる計算だ。
魚類・野生生物保護局は、ノグチゲラについて、日本の法律で保護されていることや、戦前より個体が増えていることを指摘し、絶滅の危機を「中程度」と判断した。
◇環境より軍事優先
【本紙ワシントン駐在・森暢平】米政府が、ノグチゲラの絶滅危惧種への指定を先送りした件で、米生物多様性センター(CBD)のピーター・ガルビンさんは「今の米政府は、環境よりも軍事を優先する傾向にある。絶滅の脅威が過小評価された」と憤る。
新たな訴訟でCBDは「種の保存法上の『指定は必要だが後回し』という規定が悪用され、判断が引き延ばされている」と主張する。
前回の裁判では、当事者同士が和解したため、司法の判断には至らなかった。新たな訴訟でCBDはヘリパッド移設計画などノグチゲラが絶滅の危機にある実態を示し、米裁判所の初判断を仰ぐ意向だ。
CBDは訴訟の前段となる異議申し立ての手続きを今月下旬に起こし、9月にはワシントンかサンフランシスコの連邦地裁に提訴する予定だ。
◇何らかの対応必要/吉里沖縄野鳥の会会長
指定が先送りになったことに対し、沖縄野鳥の会の吉里伸会長は「残念だ。ノグチゲラの生息地域には米軍施設があり、それが今回の決定に関係しているのか現段階では、よく分からないが、いずれにしても残念だ。今後、沖縄野鳥の会としても、何らかの対応を検討したい」と話した。
[6月3日14時47分更新]