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http://www.mainichi-msn.co.jp/it/coverstory/news/20040722org00m300096000c.html
製造業の設計工程支援ビジネスに好調が伝えられる。これら設計分野を支援する情報技術はCAE(Computer Aided Engineering)と呼ばれ、自動車、精密、半導体、電子部品から住宅建設に至る幅広い分野で市場が拡大している。近年では、機械分野から光学、無線、バイオなど新しい領域へ拡大しつつある。今回はこの市場を見てみる。【中村 哲也】
■■「自由度の拡大」イコール「市場の拡大」
具体的な市場規模を見てみると、2003年は国内全体で750〜950億円と推測され「見えない巨大市場」を形成している。分野別で見ると電気系350〜400億円。機械系230〜320億円。光学系30〜40億円、その他の化学、生命化学など140〜190億円となっている。
CAEとはコンピュータ技術を駆使して、製造業の設計工程の効率化、短縮化を図ることを意味する。例えばシステムLSIの設計であれば、回路の論理設計から露光装置へ設計データを渡すまでにさまざまな解析・検証が必要となる。各フェーズでシミュレーションを実現するのがCAEツールである。電気回路が高度複雑化するにつれて、CAEツールの重要性が増してくるという図式で成長している。
■■幅広い応用範囲
電気回路と並んで高度複雑化している分野に自動車の制御マイコンがあげられる。自動車の制御マイコンはABS、エアバック、各種センサーなどさまざまな分野に及ぶ。従来、マイコンプログラムの開発は自動車メーカーのシステムエンジニアによって通常のシステム開発に近い手法で開発されていた。しかし、制御ロジックの高度化、搭載マイコンの種類増によって属人的な開発手法からCAEツールを駆使した新しい開発手法へ変わりつつある。
CAEの市場は、電気回路、自動車の設計にとどまらない。近年では、照明やバイオなどの新分野へ用途が拡大しつつある。照明分野では今後蛍光灯に変わる新しい照明材料としてLED(発光ダイオード)の普及が予想される。蛍光灯からLEDへ変わると照明自由度がより多彩となり、「照明自由度の設計」という新市場が生まれる。CAEツールを利用すれば、例えば街の夜景を天候に合わせてデザインする、などの未来都市設計が可能となるのだ。
■■意外と少ない「プレーヤー」
バイオ分野におけるCAEツールの用途は想像にかたくない。ゲノム創薬と呼ばれる新薬開発分野では遺伝子や蛋白質の解析/設計が課題の中心である。同分野では高性能コンピュータのみならず、解析ツール、設計ツールの需要が拡大している。従来は機械工学や電気工学の分野に限定されたCAEツールが遺伝子やタンパク質の解析/設計を行うライフサイエンスの分野でも使われ始めたのだ。
CAE市場が拡大する一方で、「プレーヤー」は意外と少ない。古くから使われているCAD・CAM(コンピューターによる設計支援)を含めても各分野20社に満たず。業界全体で100社を下回ると推測される。
一部の「プレーヤー」に限定される理由として、(1)解析ソフトウェアは理工系の専門知識とソフトウェア・エンジニアとしての経験を要求される、(2)専門性が高いゆえにユーザー企業とソフトウェア・メーカー(外資系)に人材が集中する、などが考えられる。仮に新分野が増加しても「プレーヤー少数」の図式は変わらないと思われる。
(中村 哲也 大和総研アナリスト) 1968年生まれ。92年3月京都大学文学部西洋史学科卒、4月伊藤忠商事入社。00年12月大和総研入社、企業調査第二部配属。現在、主にIT分野を担当。メールはte.nakamura@rc.dir.co.jp。
2004年7月22日