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(回答先: 「イラクの石油決済がユーロだから制裁のために戦争を仕掛けた」は後付けの説明でしかない。 投稿者 あっしら 日時 2004 年 7 月 11 日 17:44:21)
イラクの石油決済の話は関係ないとのあっしらさんの意見に同意します。
米国は既に石油供給地を中東よりも中央アジアだと見ており、この地域ではしっかりドルを流通させようとしています。また、その次にはアフリカと見ています。
さまざまな陰謀説があり、私も大好きですが、為替など市場を動かすのはそんなに簡単ではないのではと思います。
1997年〜1998年には統一通貨ユーロへのユーフォリアが広がっていましたが、グリーンスパン議長までが”ユーロの誕生によってドルの基軸通貨としての地位が揺らぐことはない”と市場を安心させる発言を行っています。実際には1999年発足時から2000年10月までユーロ/ドル相場は一本調子で下落し続け、なんとその下落率は31%。当時、米国は財政が黒字になると信じられていましたし、欧州のお金が強い経済成長を達成する米国に吸い寄せられいるためといわれていたのです。米国の企業はこぞって社債のスプレッドが小さい(発行コストの低い)ユーロで資金を調達し、それをドルに変えて設備投資。欧州企業はこぞって南米を含む米大陸での事業拡大を狙って企業買収を続け、投資資金を米株式市場で運用しました。個人的には
2002年からのユーロ通貨流通を前に、ユーロ圏内の脱税資金(へそくり現金)などが表に出るのを嫌気してスイスなど国外に持ち出して、ドルやスイスフラン建て預金にしたり、東欧などで眠っていたマルク紙幣をドルにする動きも塵も積もれば山となると言う風に影響したのではないかとは思っています。
大統領選挙で共和党が勝利した12月以降ユーロは反発しましたが、その後2001年に入ると再びユーロは弱くなり、夏には前年の安値近くまで下落しました。具体的には9.11以降、特に2002年に世界の株式市場が一段と下落基調を辿り始めたときに、欧州企業が対米投資の手仕舞いのドル売りユーロ買いに出始め、米国の財政が急速に悪化したことからドル安になっています。でもここではマサチューセッツ・アベニュー・モデルに則って米政府は景気が悪くなればドル安誘導するという考え方とも合致していましたから、果たしてこれが本当に”望ましくないドル安”といえるのかは疑問でしょう。
実はユーロにも問題があります。何しろ12カ国の寄り合い所帯でおまけに各国の蔵相が圧力をかけたりと不謹慎な行為が多いので、どうしようとしているのか、統一見解が見えにくいことです。観光業が10%を占め、好景気のスペインと、高福祉の影で高い労働コストのために企業の流出が相次ぎ、悲観ムードが広がっているドイツとばらばらです。さらに、独仏枢軸と称して、この2カ国の横暴振りには目に余るものがあります。
今回EU委員長に就任したのはポルトガルの首相ですが、同国は2001年に財政赤字3%基準を2年続けて守れなかったことから、警告を発動され、緊縮財政を実施しました。一方、ドイツとフランスは2002年、2003年と3%を超過したところで、財政安定協定に基づく警告の発動を蔵相理事会で強引に停止させたのです。まるでEUは独仏が運営するといわんばかりの行動に、小国は決していい気持ちはもっていません。今回の蔵相理でも、3%を超えそうな国、ギリシャとイタリアで差がついています。オリンピックで歳出が増加して苦しいにも関わらず、ギリシャには警告を発し、一方でイタリアについてはかなりいいかげんな財政再建案を”評価”して、先送り。これは”ユーロ圏全体の景気に対する影響に配慮するため”との名目で大国に甘いダブル・スタンダードそのものです。
確かに、経常収支が黒字のユーロはそれなりに価値はあるのでしょうが、それでも主たる中銀、特に欧州との取引の多いロシア中銀でも準備金全体に占める割合はドルの方が高いのです。
そのひとつの理由としては運用手段が豊富なこと、というのもあります。
基軸通貨権を巡って戦争をするということはリスクが大きくてリターンの望めない取引です。
しかし、