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(回答先: 経済誌編集長、撃たれ死亡 モスクワ(産経新聞) 投稿者 愚民党 日時 2004 年 7 月 11 日 10:11:32)
ロシア経済概観(2004年4月版)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/russia/keizai.html
2004年4月
● 98年8月に金融危機に陥ったロシア経済であるが、99年以降は好調に転じ、2000年には10%という高い成長を記録。その後も、成長テンポは鈍化したものの、01年、02年も経済の好調が続き、昨年の成長率は7.3%と再び増大。
● 経済好調の要因は、当初は石油価格の高騰とルーブル切り下げ効果による国内産業の復調を背景としたものであったが、その後、ルーブル切り下げ効果はほとんどなくなっており、最近の成長は、高値で推移している石油などエネルギー資源の輸出とその関連産業が牽引する形になっている。
● このため、ロシア経済はエネルギー産業に大きく依存する構造になっており、その経済基盤はなお脆弱である。この状況から脱却するため、プーチン大統領の強いイニシアチブの下、ロシア政府は本格的な経済構造改革(規制緩和、ガス・鉄道・電気の自然独占体改革、土地・労働・年金・社会保障の制度改革等)に着手しており、今後これら改革の実施動向に注目する必要がある。
● ロシア経済の好調を背景に、予算は債務返済等に備えるために2001年度から黒字基調で策定されている。また、対外債務については、 昨年に返済のピークを迎え、返済額は170億ドル以上にのぼったが、好調な財政収入を背景に返済は順調に行われた模様。
1.ロシア経済のこれまでの推移
(1) ソ連解体後ロシアでは、エリツィン大統領の下で92年1月から市場経済に向けた急進的な経済改革が開始されたが、ハイパー・インフレに見舞われるなど多くの問題が生じ、生産も大きく落ち込んだ。
(2) 95年あたりからようやくインフレが鎮静化し、97年にはGDP成長率もわずかながらプラス(0.9%)に転じ、回復の兆しが見られたが、97年に発生したアジアでの経済危機の影響を受け、また国際石油価格の低迷などもあって、98年8月にはロシアでも金融危機が発生し、ルーブルの大幅切り下げや支払い停止等を余儀なくされ、経済も再び落ち込んだ。
(3) しかし、99年には国際石油価格が高騰したことやルーブル切り下げ効果により国内の輸入代替産業が復調し始めたことなどを背景に経済は大幅に成長に転じ、2000年にはGDP成長率は10%と近年にない高い成長を記録した。また、インフレ率も年20%程度まで下がり、急速に改善された。
2.ロシア経済の現状と見通し
(1) 2001年以降は、ルーブルの代替効果が徐々に薄れて、国内産業の復調に限界が見え始め、GDP成長率は01年は5.1%、02年は4.7%と低下が見られたが、幸運にも国際石油価格がなお比較的高値で維持されてきたことから、エネルギー産業の好調が続いており、これが牽引車となって経済成長が維持されて来ていると言える。このため、ロシア経済は、エネルギー産業への依存をますます強める状況になっている。
●(参考)ロシアの主要経済指標の推移
1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年
GDP -5.3% 6.4% 10.0% 5.1% 4.7% 7.3%
インフレ(CPI) 84.4% 36.5% 20.2% 18.6% 15.1% 12.0%
鉱工業生産 -5.2% 11.0% 11.9% 4.9% 3.7% 7.0%
設備投資 -12.0% 5.3% 17.4% 8.7% 2.6% 12.5%
貿易収支(米ドル) 164億 360億 602億 481億 463億 600億
金外貨準備(年末/米ドル) 122億 120億 283億 362億 478億 880億(04年2月)
(出典:金外貨準備はロシア中央銀行、それ以外はロシア統計国家委員会のデータで、2003年4月以降に公表されたデータ修正を含む。2003年のデータは全て暫定値。)
(2) 昨年に入ってロシア経済は非常に好調であり、GDP成長率は7.3%を記録。鉱工業生産、設備投資など他の指標も前年に比べ大幅に改善されている。この主な要因としては、やはり昨年始めから石油価格が高騰したことが指摘でき、昨年のロシアの原油輸出は金額ベースで対前年同期比34%も増加している。このほか天然ガスや非鉄金属などロシアの主要輸出品の国際価格が高かったため、昨年のロシアの輸出は総額で前年比26%も増加した。この輸出で稼いだ資金が投資や国民の所得を引き上げて内需を拡大し、GDPを引き上げるという好循環が生まれている。
(3) プーチン大統領は昨年5月に行った教書演説で、今後10年間でGDPの倍増(そのためには年率7%以上の成長が必要)、貧困の克服などを目標に掲げ、その後も折に触れ右達成の重要性を強調している。他方、ロシア政府が最近(3月)閣議で基本了承した中期経済見通しでは、本年は6.4%、来年は6.2%の経済成長を予測しており、また、貧困所得者数を07年までに現在の半数に削減し、国民の実質所得を40%増加させることを計画している。
(参考) プーチン大統領は、教書演説で言及した今後10年間にGDP倍増、貧困克服、軍の近代化の実現を目的として、シュヴァロフ大統領補佐官(現大統領府副長官)の下に政府関係者の他、議員や専門家を加えた作業グループを設置。
3.経済改革の現状
(1) 上述したように、ロシア経済はエネルギー産業への依存度が高く、その基盤は未だ脆弱である。ロシア経済が持続的に成長するためには、経済全体の近代化が急務であるが、そのためには、国内経済構造の改革が不可欠である。プーチン大統領は、そのような改革の必要性を認識しており、首相時代の99年に自らのイニシアチブで「戦略策定センター」を設立し多くの経済専門家を動員して、構造改革実施のための「社会経済発展プログラム(短期、中期、長期)」を策定させ、そのプログラムに沿って、改革努力を行って来ている。
(2) 具体的には、2000年には13%の一律所得税の導入など税法の改正が行われ、2001年には、様々な規制緩和措置がとられたほか、土地法典、労働法典、年金・社会保障制度の改革など長年懸案となっていた一連の改革法案を成立させるなど、法整備面で大きな成果があった。2002年は、農地法などが採択されたほか、大きな課題であり改革が遅れていた鉄道や電力分野の改革についても、2002年末から昨年始めにかけて一連の法案が採択された。また、昨年末には、財政の安定化を目的とした「安定化基金」の設置や銀行制度改革の一環として「個人預金保険法案」が採択された。
(3) これらの一連の改革により、ロシアの経済環境は徐々に改善されてはいるがまだまだ不充分である。これらの改革は、緒についたばかりであり、今後どのように実施されるかに注目する必要がある。当面の重要な課題としては、銀行制度の改革、自然独占体の改革、行政改革などが挙げられるが、いずれも当初の予定よりかなり遅れており、難航が指摘されている。政権基盤をさらに強化して2期目に臨むプーチン大統領は、これらの改革にどのように取り組むか注目される。
4.予算と対外債務の現状
(1) 上述した経済の好調を背景に、ロシアの国家予算は、2001年度は赤字ゼロの予算が策定され、実績は黒字を記録した。2002年度以降の予算は、財政黒字を基調として策定され、2002年度は1783億ルーブル(対GDP比1.6%)、2003年度は722億ルーブル(対GDP比0.6%)の財政黒字が計上された。また、昨年末に承認された2004年度予算では、歳入が2兆7428億ルーブル、歳出が2兆6594億ルーブルで、834億ルーブル(対GDP比0.5%)の財政黒字が見込まれている。経済の好調を反映して、歳入、歳出ともに対前年比13%以上増加している。
(2) 対外債務については、それまでロシア政府による返済は滞りがちであったが、2001年以降は好調な財政を背景に着実に返済を行ってきており、国際格付け機関によるロシア債権の格付けも上昇している。また、ロシアは、昨年に対外債務返済のピークを迎え、返済額は約170億ドル以上になるが、政府は2003年度予算に黒字を確保して債務返済に充てる一方、財政準備金を蓄積するなどで対応しており、債務は順調に返済されている模様。本年の対外債務返済額は約140億ドル。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/russia/keizai.html