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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu74.htm
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通貨におけるアメリカ対日本・中国接近のシナリオ
必ずや地政学的、軍事的意味を濃厚に帯びてくる
2004年7月5日 月曜日
◆円・元・ドル・ユーロの同時代史 第30回
http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/biztech/rep01/314707
◆「埋め合わせ」強要されたドイツ
「オフセット」合意というものを、ドイツは米国との間で結ばされていた。オフセットとは埋め合わせるという意味で、これは文字通り、ドイツの黒字を米国からの武器購入で相殺するという約束である。
貿易黒字を稼いでドルを入手するのは民間経済主体で、米国から武器を買うのは財政主体(政府)である。理屈が通らないかに見える。しかしマクロの貯蓄・投資バランス論からみれば、全体としての貯蓄超過(黒字)を政府セクターが貯蓄不足となることで「オフセット」しようとするもので、没論理とばかりも言えない。しかもこれとそっくりのロジックによって、日本が後に公共投資の増加、拡張財政へ押し出されていったことは記憶に新しい。
実際、米国からする攻撃の矛先は、ニクソン・ショック以前ドイツに集中し、ようやく70年代になって日本へ転じる。多少図式化し過ぎるきらいはあるものの、ドイツが受けた圧力の厳しさを思えばこのように述べて間違いになるまい。また日本の場合、ひとつには当時の神業的為替管理が奏効し、国際収支はほぼ均衡路線を続けていた。黒字基調が定着するのも70年代以降のことで、60年代まで日本はドルをあまり溜め込んではいなかった。
――黒字分だけ必ず武器を買えといって迫られ、財政事情などを持ち出し難色を示そうものなら、「米軍を引き上げる。それでもいいのか」と脅される――。それが、ドイツが忍んだ対米関係のパターンだった。当然国内では不人気で、そのため失墜した政権(エアハルト)もある。
有名な「マーシャルプラン」は、ドルを撒布(さんぷ)することによって欧州に購買力を創出し、ひいては米国製品の販路を築こうとしたもので、必ずしも利他的なだけの政策だったのではない。だが一般には、米国の寛容と無私の精神を象徴する援助と見なされているだろう。けれどもドイツから見ると、言葉は悪いが「だから落とし前をつけろ。武器を買え」と常々迫られる口実となっていた*12 。
米軍の駐留費用を負担しろ、それができないというなら、兵器を買え。間違ってもドルを金と替えようなどと思ってはならない*13 …。ガビンが記録したこれら対独圧力の数々は、いくつかの示唆を含んでいる。例えば日本政府は後に、米軍駐留経費の過半を「ホスト国支援策」または「思いやり予算」として負担し続けるにいたる。
また、なぜ日本政府・日本銀行は伝統的に金を買わなかったのか。そのため、金の準備資産に対する比率が日本の場合極端に低いのはどうしてなのかという問いには、こう答えることができそうだ。「ドイツにドル・金交換を禁じた米国の圧力に政府・日銀が恐れをなし、考えてみようともしなかった」からである――。
◆独仏接近からユーロの登場へ
けれども「米軍の撤収」という、冷戦下には事実上選ぶことのできなかった選択肢をテコとして持ち出さざるを得なかった米国の足場は、もとより磐石ではなかった。守ってやっているはずのドイツに、頭こそ下げないにしろ、「ドルを売ってくれるな」と頼み続けなければならないというのも、理不尽な話ではあった。
こういう矛盾を一気に解決したのがニクソンの政策だったわけだが、これ以上の記述は第一章に対する屋上屋となるのを恐れる。金とドルのくびきを断ったことで、米国は少なくとも金の捕囚でなくなったとだけ言っておこう。黒字国――こともあろうに圧制や支配から「解放」してやった当の国々――から、ドル売り金買いの脅しをかけられる恐れがなくなった。
一方このように対独圧力をかけ続けたことは、結果としてドイツをフランスに接近させ、独仏の和解と今日のパリ・ベルリン枢軸形成につながる路線を加速させたと思える。
ドイツに輸出で稼いだドルはあっても、敗戦国であるゆえに、政治的正統性はない。フランスには当時、ドルもあったが、何よりド・ゴールの旗印があった。対米独立路線の旗手としての正統性があった。ドイツはこれに「威を借る」ようにして接近する*14 。
その結果欧州の経済統合は常に独仏を軸として進められ、ついに共通通貨ユーロを生み出すまでに至った。今後の研究成果に待たねばならないが、アイゼンハワー以来3代の大統領に叩かれ続けた経験はドイツに消せない記憶を残し、ドル離れへと駆り立てていったと見て、そう間違いにはならないのではないか。
米国から追い詰められたドイツは、隣国であり旧敵であるフランスとの同盟を強化することに利益を見出した。「周囲に友人を持たない」として、日本人を批判したがるドイツ人は少なくないが、彼ら自身の選んだ外交路線がどんな政治的利害計算に基づくものだったか、考えてみることは無駄ではあるまい。
最後に歴史の類推として、米国との関係において、当時のドイツ、フランスに相当するのは、今日の日本と中国であるかもしれないと指摘しておきたい。かつての独仏がそうであったように、今日の日中両国は、米国に対して世界最大のドル債権をもっている。
日本はドイツの歩んだと似た道を選び、米国から距離を置いて、北京という大陸政治の中心へすり寄ろうとするのかどうか。
米国の当局者たちは、ドル債権を対米交渉材料に使おうとして結束した独仏の例*15 を思い起こしながら、あり得べき日中の接近というシナリオを想定しているだろう。
北京はといえば、アジア共通通貨という構想を時折観測気球のように打ち上げている。強固な2国間関係を打破することに利益を感じる勢力は、必ず多国間の枠組みを対置しようとする。これが日本と対する時、北京の決まって選ぶ政策である。
このようにアジアを舞台とする通貨のさや当ては、欧州でそうだったように、必ずや地政学的、軍事的意味を濃厚に帯びてくることは確実である。
◆中国:外債残高が上昇、人民元切り上げも刺激に
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040630-00000038-scn-bus_all
中国外匯管理局は29日、2004年3月末時点での外債データを公表した。香港、マカオ、台湾を除く外債残高は2023億2100万ドルとなり、03年末から86億8700万ドル増えて上昇率は4.49%となった。30日付で中国新聞社が伝えた。
このうち、中長期外債の残高は同34億7200万ドル増えて1200億6200万ドル、短期外債は同52億1500億ドル増の822億5900万ドル。
関係者は、国内経済と対外貿易の高度成長が外債増加の背景にあると分析。さらに、金利格差の拡大や、根強い人民元切り上げ観測も外貨流入に大きく関係しているとみている。(編集担当:吉田雅史)
(サーチナ・中国情報局)
[6月30日12時54分更新]
(私のコメント)
通貨の面から見ると軍事外交面からとは異なる地図が見えてくる。経済面から見ると日本はアメリカからドル安円高の圧力を受け続け、そのためにドルを買い支え続けさせられている。これはかつてドイツが対米貿易黒字の穴埋めを米国からの武器輸入で賄っていたのと同じだ。
日本が対米貿易黒字を積み上げれば積み上げるほど、日本の財政赤字が増えるのと関係があるのだろう。日本政府が毎年巨額の赤字国債を発行し続けても金利が上がらず債券相場が暴落しないのも、日本が毎年巨額の貿易黒字を積み上げているからであり、政府は安心して国債を発行できる。
アメリカの格付け会社のS&P社は毎年のように日本国債の格付けを下げ続けましたが、ボツワナ並みにしても債券相場を崩すことは出来なかった。日本の預貯金が超低金利でも資金がアメリカに流れず国内に貯金として留まりその預貯金が国債を買い続けているから国債が暴落しない。
仕方なくアメリカ政府は日本の財務省に命じて1年間に35兆円もドルを買わせて米国債を買わせた。その他にもアメリカ政府は思いやり予算で米軍駐留費を毎年6000億円も支出させている。しかしこのようなことを続けていればアメリカはドイツから受けたように思わぬ反撃を食う結果を招くだろう。
ドイツはソ連からの軍事的脅威を常に受けていたから、アメリカから理不尽な経済的要求も呑まざるを得なかった。しかしそのことが独仏の協調体制を招きEUやユーロの結成に繋がった。日本にしてもこのままアメリカから理不尽な要求を受け続ければ日中連携のシナリオへと進むだろう。日本はすでに中国のほうがアメリカより貿易額が増えている。
だから私は「株式日記」でアメリカはあまりやりすぎるなと警告しているのですが、アメリカのブッシュ政権を見ても流れが変わる気配がない。アメリカは独仏を敵に回して逆襲を食らっているが、将来には日中が協調してアメリカに反撃する構図も考えられる。通貨の面から見ればそのようなシナリオは必然だ。
日本と中国の米ドル債権連合はアメリカに対して共通の利害を持つようになっている。アメリカも中国に対してもドルの買い支えを要求し続けるだろう。しかし中国は日本と違って軍事的には対立しているためにアメリカは理不尽な要求は出来ないだろう。だから日本は中国と連帯してゆけば通貨戦争ではアメリカ対日中という共同戦線を組むことが出来る。
さらにドルは世界の基軸通貨でしたが、ユーロの登場はその基軸通貨体制を揺さぶり始めている。中国は巨額の外貨をドルだけでなくユーロにシフトしてドルの暴落に備えている。ところが日本はドル一辺倒である。アジア諸国やEUとの貿易額からすればドル一辺倒は理屈に合わない。
ソ連の崩壊は何もドイツだけに影響があったのではなく、日本へも当然ある。現在のロシアが日本を侵略しようという脅威はほとんどない。むしろ北朝鮮が日本にとっての一番の脅威であり、北朝鮮が無ければ日本もドイツのように独自外交でアメリカに反撃する可能性もある。アメリカが北朝鮮をイラクのように叩かないのは日本に対する牽制なのだろう。