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●なぜ、日本には直接金融が根付かないのだろうか?
株をパチンコや賭けと勘違いしている人が多いが、なぜなのだろうか?
儲かる、儲からないではなく(もちろん重要課題だが)、社会組織(日本)にかかわるという意味では、これほど重要な民主主義はないと思うのだが。
それとも日本人は、日本の企業が信用できないと直感的に感じているからだろうか?
だから郵貯がのびるのかな?
IBM、AT&T、シティバンク、ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター……。米主要企業の株主総会に四十年間欠かさず出席、「全米で最も有名な株主」を自称する女性がいる。株主提案のあり方をつづる季刊誌を自主発行するエバリン・デイビス。「それは重要な問題じゃない」と年齢を明かさない彼女は季刊誌で得る資金で全米を行脚、今年も「四十社の総会に出る」と息巻く。
次から次へと個人株主が持論を経営者にぶつける光景は米企業の株主総会では当たり前だが、大戦中のユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)をくぐり抜けたデイビスのタフさは人一倍。議長の声すらかき消す甲高い声で企業統治から会社の製品までをそ上にあげる。
製薬大手ブリストル・マイヤーズ・スクイブなどで「全取締役を毎年信任投票にかけるべきだ」という株主提案を出し、可決された例もある。だが、彼女を有名にしたのは総会で見せる奔放な振る舞いだ。
昨年四月のゴールドマン・サックスの株主総会。経営陣を名指しで批判したデイビスだったが、会長のヘンリー・ポールソン(58)にだけは「優秀なCEO(最高経営責任者)」と称賛。発言を終えると同時にポールソンに歩み寄り、いきなり抱きついた。「私にもセックスアピールがある証し」とジョークでかわすポールソン。会場は爆笑に包まれた。
今年も“デイビス節”は健在。五月にケンタッキー州ルイビルで開かれたフォードの株主総会。創業百周年の祝典ムードに包まれた昨年の総会とはがらりと変わり、出席株主も約百七十人という静かな総会で、ただ一人怪気炎をあげたのがデイビスだった。
「二十五万ドル以上の報酬を得ている幹部の情報開示」という自らの株主提案をひっさげて、六回も発言。あきれた会長のウィリアム・フォード(47)が「あなたに譲る」と閉会の言葉をデイビスにまかせると、「ビル(ウィリアムの愛称)、よくやった。ご苦労」と自ら総会を締めくくった。
フォードのデイビスへの気遣いは並みではない。昨冬、傘下メーカーの高級車ジャガーをデイビスが購入した時には自らハンドルを握って車を届けた。感激したデイビスは助手席のフォードにキス、顔を引きつらせるフォードの写真が一部メディアをにぎわした。
このハプニングには後日談がある。その写真を見たGM会長のリチャード・ワゴナー(51)がフォードに皮肉たっぷりの手紙をしたためた。いわく「我々が身を置く自動車業界は日々激化する新車販売競争を戦っている。ただし、デイビスさんへの一台だけはあなたに勝利を譲る」。
六月二日、デラウェア州ウィルミントンで開かれたGMの株主総会。会長のワゴナーから「制限時間の超過」を理由に二回もマイクの音源を切られながらも、デイビスは「ジャガーはいい車」と訴え、「ビルが私に直接届けてくれたのよ。嫉妬(しっと)するでしょ」と不規則発言。ワゴナーも「次回(の新車購入時に)はご期待に沿いたい」と切り返した。
デイビスのような個人株主は全体の議決権からみれば大海の滴。大勢は年金基金などの機関投資家で決まる。それでもトップが彼らに丁重に接するのは年金の背後にもやはり無数の大衆がいるからだ。日本でも株式持ち合いが崩れ、年金や個人が株主の主役に台頭しつつある。日本の経営者はどこまで準備ができているだろうか。=敬称略
(ニューヨーク
=田中昭彦)
【図・写真】フォードのウィリアム・フォード会長(左)は株主のデイビス氏に「ジャガー」を自ら納車、感謝のキスを受ける=AP