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● ニュースと感想 (6月20日)
「リコール調査官と内部告発」について。
三菱自動車の欠陥隠しを見て、国交省が「リコール審査官」制度を創設することを決めた。専門知識を有する人材を十人雇用して、知識不足という問題を解決し、独自にリコールの勧告をできるようにするという。(朝日・夕刊・1面 2004-06-03 )
まともなように見えるが、実に馬鹿げた制度である。ちょっと考えればわかるが、こんなものはほとんど実効性がない。アメリカで、薬害や株不正や航空事故を調査する調査官は、数百人〜数千人の規模で働いている。たった十人で何かができるはずがない。
また、「ハムと食肉で不正が起こったから対策」、「雪印の牛乳で問題が起こったから対策」、「自動車で問題が起こったから対策」、……というふうに、個別に対応しているのでは、いつも対応が後手に回る。
結局、こんな制度は、何の意味もない。まったく見当はずれである。では、どうするべきか?
根本的に考えてみよう。政府の論理はこうだ。
目的:欠陥隠しをなくす。
対策:専門知識のある調査官を雇用する。
理由:専門知識がないと独自の指摘ができない。
このうち、一番最初の「理由」が狂ってっている。「独自の指摘」など、まったく必要がない。大事なのは、「欠陥隠し」という目的である。そのためには、別に、「独自の指摘」などは必要ない。「メーカー内部の指摘」があれば十分だ。そもそも、メーカー内のすみずみまで目を行き届かせるには、メーカーの技術者の全員に匹敵するだけの調査官を用意しなくてはならないから、事実上、不可能である。
なすべきことは、メーカーの技術者が気づいたことが、そのまま国の調査室に届くことだ。つまり、「内部告発」がなされることだ。それがあれば十分であって、国の独自の調査などは必要ない。
では、現状では、どうか? それができない。つまり、「内部告発」ができない。
今度の国会で、「内部告発」を保護する法案が成立した。しかしこれは、まったく不完全なものであり、ほとんど骨抜きだ。それというのも、「企業の自助努力」を訴える経団連の主張を取り入れて、初期の素案の重要な骨をどんどん抜いていったからだ。(読売・朝刊・社会面 2004-06-15 など。)
こういう事情は、これまで何度か、朝日新聞でも報道された。「内部告発を保護する」という立法措置を立てようとすると、経団連が反対して、自民党に働きかけて、その立法をつぶしてしまう。かくて、「内部告発者は解雇される」というメーカーの勝手がまかり通る。国はそれを放置する。
経団連は、「企業の自助努力」を訴えるが、それが何を意味するかは、三菱の例を見ればわかるだろう。まったく馬鹿げたことだ。
とはいえ、経団連が反対するのは、当然だ。経団連というのは、もともと業界の利益集団だからだ。問題は、そういう業界の意見を取り入れる与党だ。こんなことがまかり通れば、マフィアや暴力団の献金を受け入れて、あらゆる犯罪が合法化されかねない。狂気の沙汰だ。(もっとも自民党自体がそういう犯罪者集団だから、そうなるのも当然だ、とも言えるが。)
ともあれ、経団連というマフィアのような集団の言い分が通って、犯罪を報告する「内部告発」が実質的に阻止されている。だから、ここを解決して、「内部告発」が滞りなく実現することこそ、今の日本がなすべきことだ。そうすれば、「欠陥隠し」という問題は解決する。「リコール調査官」なんかに無駄金を使う必要はないのだ。実際、三菱の場合も、内部告発が届いたことが原因で、ようやく発覚した。リコール調査官がいたからではない。
ここで、愚かな経団連のために、勧告しておこう。「内部告発」は、メーカーを救うのだ。たとえば、「欠陥隠し」がすぐに発覚したスバル(富士重工)は、軽微な損害で済んだ。しかるに、「欠陥隠し」が長らく発覚しなかった三菱は、倒産しかねないほどの致命的な危機を迎えた。「内部告発」がずっと前になされていれば、こんなことはなかったはずなのだ。
日本の企業を救うには、「内部告発」をまともに保護する制度が必要だ。しかるに、政府は、そうしない。経団連のせいで。経団連は、日本経済を成長させるためにあるのではなくて、日本経済を破壊するためにある。……そのことが、三菱の事件から、はっきりと見て取れる。
[ 付記 ]
では、経団連は、なぜ内部告発を禁じるのか? なぜ、会社のためにならないことをあえて推進するのか? それは、経営者自身のためだ。経営者は、自分の任期中だけは、問題を隠蔽したいのだ。そのためには、会社の命運がどうなろうと、知ったことではないのだ。つまり、個人的な利益のために、会社全体を食い物にするわけだ。
結局、彼らにとっての「経営」とは、企業経営を改善することではなくて、自分のために会社を食い物にすることだけなのだ。その一例が、三菱の社長だ。そして、同種の理念をもつ人々の集まった集団が、経団連というマフィアなのだ。
( ※ 今週発売の「週刊現代」か「週刊ポスト」に、日産のゴーン社長のインタビューが乗っていた。「欠陥隠しをした社員は首」と述べている。同時に、「業績改善の公約が達成されなければ責任を取って辞任する」とも述べている。自分に厳しい人間が、他人にも厳しくなれる。日本の経営者のやっていることは、その正反対だ。トヨタの会長は、「内部告発の禁止」を唱えているのだから、トヨタだってそのうち、隠されつづけた欠陥が暴露されるかもしれない。トヨタの体質は、三菱の体質と同じである。安心できるのは、日産だけかも。……「内部告発を推奨する」という企業は、是非とも自社を宣伝するべきだ。そういう企業の製品なら、消費者は安心して買える。)