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政府の「長年の悲願」だった納税者番号制度について、政府税制調査会が「選択制」とはいえ導入を打ち出したことで、採用に向けたシナリオが現実味を帯びてきた。
政府税調が十五日、金融課税の一体化を打ち出したのは、個人投資家のすそ野を広げるために税制面から後押しする狙いがある。損益の相殺を通じて税制でのメリットを生み、預貯金口座に積み上がった個人資産を資本市場に呼び込みたい考えだ。ただ、その損益相殺には正確な所得把握が前提となる。このため、税務当局は希望する人に納税者番号を割り振ることを打ち出した。個人は預金したり株を売買する際に銀行や証券会社に番号を知らせた上で、損益を計算して番号とともに税務署に確定申告する。税務署は申告内容と金融機関からの支払調書を照合する仕組みだ。
固有の番号で納税者を識別できるこの制度は、所得の捕捉が難しいとされる自営業者や農家の収入をつかみやすく、課税逃れの防止や効率的な徴収に有効とされ、政府税調は二十年以上も前から必要性を指摘してきた。だが、税務当局に所得を丸ごと把握されることへの国民のアレルギーは強く、実現には至らなかった経緯がある。
今回、政府税調は適用範囲を金融取引に限った上で「番号を取得すれば減税の恩恵が受けられる」(政府税調メンバー)と、個人投資家の利益を前面に出す作戦に転じた。
来年四月から個人情報保護法が完全実施されることで、プライバシー問題への懸念を払拭(ふっしょく)できるとの読みもある。
しかし、納税者番号制度は金融所得に限るとはいえ、「財布の中身」を税務署に把握されることに変わりはなく、国民の心理的な抵抗感は強い、とみられている。金融機関などから情報が漏洩(ろうえい)する恐れはぬぐえず、税務当局に毎年取引内容を申告しなければならないわずらわしさもある。
政府税調は今回の報告書で、「納税者番号制度」という単語は使わず、単なる「番号制度」と言い換えた。個人の所得の把握をめぐる国民感情に加え、公的年金の一元化に絡んで浮上している全国民を対象にした納税者番号制度と混同されないよう配慮したといえる。
その一方で政府税制調査会の石弘光会長は総会後の記者会見で、納税者番号を選択制にとどめたことに関連して、「今は(行政によるプライバシー侵害への)アレルギーが強いが、先行きこの段階で終わることはない」と語り、国民の理解を得た上で将来は全納税者を対象にした番号に拡大する意向を示唆した。
財務省は秋以降、具体案の検討を慎重に進めることになるが、全納税者を対象とした納税者番号制度がちらつけば、世論の反発を呼び起こすことも予想され、予断を許さない展開もありそうだ。