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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu72.htm
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21世紀の世界潮流と戦略的対応 寺島実郎
「現在の外資は、売り抜く資本主義なのです」
2004年6月15日 火曜日
◆第658回木曜会(2001年7月3日開催)講演要旨 寺島 実郎
http://www.jisf.or.jp/info/info0107.htm
(前略) 21世紀は、IT革命という怒濤のような潮流と、グローバル化という潮流が掛け合わされた新資本主義の時代であるというイメージが、いま時代を議論している大方の論者の枠組みです。
ところが、IT革命も、グローバル化も、多くの人が使っていますが、その言葉の本質的な意味を真面目に考えている人が意外に少ないと思っています。われわれは、そろそろこの種の言葉の表層の理解ではなくて、深く考え抜くことが必要になってきています。
IT革命の本質とは何かを理解することは本当に難しいのですが、先般、東大の教授がIT革命を理解するうえで非常に面白いことをいっていました。
それは、自分が10年前にIBMのセールスマンとして中型コンピュータを1台10億円で売り歩いていたが、今では同じレベルの情報処理能力を持ったパソコンが1台30万円で売られており、秋葉原などでは限りなく10万円に近づいているので、サラリーマンが買える射程に入っている。
これがIT革命であり、この10年間でコンピュータの情報処理能力は1,000倍になったことを示しています。
また、IT革命の最大のキーワードはネットワークで、インターネット革命ともいわれていますが、一方で、シームレス、ボーダレスというキーワードのついた米国の国益が絡んでいる部分もあります。
米国は、IT革命を推進していくときの戦略的キーワードとして、ディファクト化とブラックボックス化の2つを持っています。ディファクト化は、自分たちがつくり上げたシステムを実質的世界基準にすることで、そこからドロップ・アウトや変更をさせないようにするのが、ブラックボックス化です。
私は情報通信審議会の委員に就いているのですが、日本人のインターネットに関する感受性は驚くほど鈍く、安くて便利ならばいいという程度です。
東京から北京にEメールを発信すると、どういうルートで北京に届くのか、という質問に答えられる人はまずいません。
また、かりに核攻撃で1つの回路が遮断されても、多様な回路から目的地に到達できる潜在技術可能性を持っているパケット交換方式ネットワーク技術を用いているから、インターネットが成立していると説明しても、そんなものかなと感心するにとどまっています。
しかも、このシステムを圧倒的有利なポジションをとって整理しているのは、ECHELON(通信傍受システム)を握っている米国なのです。
一番わかりやすい例として、カーナビゲーションで補足します。自分の車が今どこを走っているのかを測定する仕組みがカーナビゲーションですが、日本では米国の10倍普及していますし、欧州でも日本ほど普及している国はありません。
日本人は、よくいえば繊細で生真面目、悪くいえば気が小さいので、自分がいまどこを走っているのか気になってしようがない性格を持っているので、普及率が高いのだと思います。
カーナビゲーションは、いうまでもなくGPS(全地球無線測位システム)です。GPSは、米国の軍事衛星をタダで利用させてもらい、位置を測定しているのです。
今の日本人はタダというのはヘンだとは思わず、タダで便利だったら結構という雰囲気が強く、物凄い勢いで普及しています。
一昨年、米国では、十分普及したから使用料を徴収しょうといった議論が出ましたが、もうしばらくは様子見との結果になったのですが、お金を払えというのならば払ったらいいじゃないか、ということであるならば、こんな話は時間を取ってする必要はありません。
GPSの最大のポイントは逆探知できることで、誰が、今、どこを動き回っているかが掌握できることです。そのなかに自分達が身を置いているのだということをどこまで認識しているかが、IT革命の時代では非常に重要な問題です。
去年の11月27日に日本のIT戦略会議が報告書をまとめましたが、この分野にかかわっている世界の専門家の間では、爆笑ものの報告書になっています。
なぜなら、日本において、IT戦略は広帯域大容量のブロードバンドのインフラをどう整備するか、インターネットの普及率をどう高めるかということが戦略という言葉で語られています。
本当に真面目に国家としてIT戦略を議論するのであれば、常識にも近い話ですが、米国のひとり勝ち的な状況に対して、アジアとのITにおける連携をどうやって深めていくとか、あるいは、防衛・安全保障の世界でも、IT革命により大きなインパクトが与えられているのです。
戦争になれば、衛星を使って、ピンポイントでトマホークを打ち込んでいくような時代に、日米の安全保障の関係はどうあるべきかといった戦略を、絶対に視界に入れなければいけません。
さらに、次世代のインターネットが無線化していく潮流のなかで、衛星を日本が自前で持つことも非常に重要です。
したがって、H2ロケットが2回失敗したぐらいで腰が引けてはいけません。宇宙開発という戦略も、IT戦略のなかで非常に大きな柱になるのです。
IT革命は、シームレス、ボーダレスというキャッチフレーズのついた、冷戦後の米国軍事技術のパラダイム転換だという流れを、しっかり頭のなかに入れなければならないのです。
次にグローバル化についてですが、大競争の時代、すなわち市場主義・競争主義の時代に、規制緩和、改革・開放といった言葉をさすのだと思いますが、その背後にある価値観についてお話しします。
冷戦が終わり、東西の壁が崩れて、国境を越えて、ヒト・モノ・カネ・技術・情報が自由に行き交えるような時代をつくっていくことが人類社会の進歩だ、という価値観が横たわっています。
では、この価値観を大真面目になって発信しているのは誰かということです。日本人の多くは、この10年間、その種の言葉を追いかけて、フェア、フリー・グローバルなどと言ってきましたので、なにやら普遍的な世界の潮流のなかに合わせていかなければいけないと思い込んでいる部分がありますが、いうまでもなく米国が発信源になっている価値観です。
欧州は、単純ではありません。この間も、欧州の社会思想の深さを身に心にしみて帰国したのですが、米国流の競争主義、市場主義をただ礼賛している姿はどこにもありませんでした。
欧州が、20世紀から21世紀に変わった瞬間を思い出してください。EU15ヵ国のうち、11ヵ国が社会主義政権として世紀を超えたのです。
すなわち、英国は、ブレア首相率いる労働党政権が自信を深めて第2期に入った時期でした。フランスは、ジョスパン首相率いる左翼連合政権で、共産党までが政権に参加しています。ドイツは、社民党と緑の党の連立政権です。
英国の例でいいますと、22年前にサッチャー政権が誕生して、米国流の競争主義、市場主義を注入しないと経済が駄目になるとの思いから、ビッグバンや規制緩和を行ったのです。
このサッチャー政権は18年続き、経済もある程度は活力を取り戻したにもかかわらず、国民は、サッチャー路線の継続にノーといってブレア首相を選んだのです。
その背景には、競争主義、市場主義だけを貫いたならば、経済の活力は高まるかもしれないが、強いものはより強くなり、弱いものはより弱くなっていくだけだという不安感の台頭があります。
ブレア首相は、市場競争という大きな路線は継続するが、分配の公正、雇用の安定、福祉の充実、環境の保全などについては、社会政策でバランスをとらなければいけない、と言っています。
フランスやドイツもそれぞれ事情は違いますが、基本的なところでは同じで、社会思想としての社会主義が残したものを大事にしながら政策路線を模索しています。
また、欧州では、米国の20世紀は、ただの一度も社会主義政権をつくったこともなければ、社会主義政党が育ったこともないので、"米国は市場原理主義の総本山"と半ばからかい気味で表現しています。
問題は、日本はどうするかです。先日、欧州の人から決定的な質問を受けて、背筋が寒くなりました。「まさか日本は米国のような国になりたいと思っているのではないでしょうね。日本が改革(リフォーム)といっていることは、米国にとって都合のいいことを実現することではないでしょうね」という質問です。
日本がこの10年間懸命にしてきた競争主義、市場主義の導入という意味では、米国のような国になりたいのか、と言われても仕方ありません。
日本は、去年 4,800億ドルの輸出を実現し、この10年間で倍増とはいいませんが 、2,000億ドルも増やしているのです。去年は1,000億ドルの輸出超過です。輸出し過ぎだといわれるぐらい輸出を増やしています。
しかも、日本製造業の海外生産比率は15%を超えたといわれていますし、海外に1ヵ所でも生産拠点を持っている会社だけを対象にすると、3割を超えたともいわれています。
4,800億ドルの輸出の内訳をみると、日本経済が何で支えられて生きているかがよくわかります。1位自動車、2位半導体等電子部品、鉄鋼は第7位ですが、たった小分類10品目で5割を占め、20品目では7割となっています。
また、対ドルレートがいくらなら国際競争力を持っているかといった産業別為替競争力でみても、輸出上位20品目の製造業は、かりに1ドル70円になっても、研究開発から、マーケティング、マーチャンダイジング戦略まで含めて死に物狂いになって蓄積しているので大丈夫だと思います。
しかし、大部分の産業は、1ドル200円以上でも競争力がなく、たぶん1ドル 300円になってもまったく競争力はないと思われる大部分のサービス産業を含めて、極端な二重構造になって併走しているのが現状です。
銀行の不良債権問題がいわれていますが、なにも銀行が不良債権をつくったわけではなく、銀行の判断ミスによって不良債権が生まれたのです。不良債権は私の言うところの"300円産業の人たち"がバブル期につくったのです。
日本企業は、面白いことになっています。銀行の大企業向け貸出残高は、この2年半で35兆円減少しましたが、これは貸し渋りではなく、借り渋り結果です。
今年の4月以降、景気の低迷に伴い企業業績も悪化していると言われていますが、少なくとも3月期の製造業の経常利益は前年度比4割増でしたし、全産業上場企業でも3割増となっていました。しかし、設備投資は5%増にとどまっており、従業員に対する配分に至っては横ばいだったのです。
では儲かったお金はどうしたのかというと、銀行に返金をするといったキャッシュフロー経営の皮肉な結末です。
わかりやすくいうと、日本企業は借金を返済することに専念し、設備投資意欲はきわめて低くなっていることを背景に、ものすごい勢いで外資がセコンド・ディベロッパーとして入ってきています。
私は、なにも外資が入ってはいけないと言っているのではなく、最大のポイントは、売り抜く資本主義と育てる資本主義という話です。
ようするに、もし育てる資本主義であるならば、外資が入ってくることはウェルカムなのです。つまり、事業を育てて、新しいノウハウとかイクスパーティーズを注入して、新しい産業をこの国で興していく力になるなら、大変良いことです。
ところが、残念なことに、現在の外資は、売り抜く資本主義なのです。徹底的に安値で叩いて、爆弾回しゲームのように速く高値で売り抜いていく発想のマネーゲーム型の資本主義なのです。
私が言いたいのは、実体経済重視の成長のパラダイムを取り戻さなければいけないということです。
竹中経済・財政担当相を批判しているのではありませんが、この国の需給の均衡点が低くなってきて、潜在経済成長力といわれている2%を生み出すのが難しくなっている現状で、構造改革を進めたらゼロから1%の成長も難しく、マイナス成長になる可能性もあり、少なくともこうした状況が、2、3年続くかもしれないと発言していることはおかしいと思います。
エコノミストの良心として語るのならいいのですが、世界中が需給の均衡点の低いなかで、たとえばEUでも3%成長を実現しているのです。どうしたら潜在成長力である2%成長を実現するか、という知恵を出すべきで、2%成長は大変難しいことだ、という予測の議論をしている場合ではないのです。そこが、政治なのです。(後略)
(私のコメント)
私の日記でよくハゲタカ外資とよく使いますが、その具体的例がリップルウッドやカーライルだ。彼らは日本経済を竹中大臣を使って金融から徹底的に締め上げて、銀行が悲鳴を上げて投げ出した企業を底値で買い取ってゆく。今はUFJを締め上げてダイエーや大京などをハゲタカに売り捌こうとしている。
ハゲタカ外資は日本に根を下ろして企業を育てるつもりはなく、新生銀行の例のように10億円で買い取って不良債権部分を公的資金で買い取らせて、身軽になったところで再上場させて、僅か4年で1兆円もの利益を上げた。リップルウッドやカーライルには国際金融資本家たちが作ったファンドであり、日本の政治家達は彼らに貢ぐことで政治的地位を保っているのだ。
小泉純一郎は非常にずるい男で、金融のことは竹中平蔵に丸投げして、いざとなればいつでも切り捨てるつもりでいるが、アメリカのブッシュが再選が危うくなってきたので9月には内閣改造を仄めかしている。森前首相や青木参議院幹事長は竹中金融大臣の退任を小泉首相に要求したが突っぱねている。
日本企業の外資乗っ取り対策は、銀行と企業の株式持合いで対策は万全のはずだった。ところがBIS規制やビックバンなどの謀略に引っかかって銀行経営を締め上げて、銀行ごと日本の主要な企業を乗っ取る作戦に出た。韓国や東南アジアでは主要企業は外資の傘下に入って、国際金融資本のグローバル戦略は上手く行っている。
ヨーロッパなどはEUを結成して、いち早く自らグローバル化を目指してアメリカ資本に対抗している。日本の産業資本グループもその陰謀に気づいて対策を打つべきだったが、日本のシンクタンクである大蔵省がスキャンダルで機能麻痺したところを付け狙われてアメリカのハゲタカ外資の言いなりになってしまった。
アメリカには社会主義政党も社会主義政権も出来たことは無いから、いわば市場原理主義国家だ。その点がヨーロッパ諸国と異なるところで、日本も市場原理主義者が暴れまわってテレビなどでプロパガンダを繰り広げた。小泉首相と竹中大臣は日本の代表的な市場原理主義者ですが、金融政策通の渡辺喜美自民党衆議院議員は次のように批判している。
◆竹中金融政策は間違っている 渡辺喜美
http://www.nasu-net.or.jp/~yoshimi/mas/0405ltime.html
旧時代の経済政策
――上場企業の連結経常利益が増加しており、大企業の経営状況は好転しています。一方で、貯蓄ゼロの家庭が急増しているという経済状況をどうお考えですか。
渡辺 世界的な金余りの中で、日米合作のケインズ政策が功を奏している現れだと思います。アメリカは膨大な財政赤字が拡大し、貿易赤字も史上最高です。つまり、アメリカの金庫の中は空っぽですから、日本と中国がアメリカにお金を貸してあげる、という構図が出来上がっているのです。昨年は、ドル債の投資主体の四割五分が日本国政府でした。米国債の一五%を日本国政府が保有しており、いかに日本は異常なお金の回し方をしているかということが分かります。アメリカは長期金利が上がらないほどの状況なのに、経済を回しています。一方、日本は、為替介入で円高抑制すると同時に、事実上の非不胎化政策(通貨当局が外国為替市場に円売り介入した後で、日銀が介入で市場に放出した円資金を回収しないこと)で、去年から十五兆円ほど放置しています。また、長期国債買い切りオペもやっており、日本銀行は今や、短期金利だけでなく、長期金利もコントロールする国債管理銀行として機能しています。「大量ドル買い介入非不胎化量的緩和政策」が奏功して、外需主導の企業収益の改善が行われている、と考えます。それが設備投資を押し上げているということでしょう。外需が堅調といっても、中国経済のバブル崩壊リスクと、アメリカ経済の調整リスクの二つを抱えています。中国は明らかに過剰流動性で、ちょうど今から三十年前の日本と同様です。一九七一年のニクソンショックで、一ドル三百六十円の為替の固定相場の世界から、円の切り上げ圧力が加わって、大量の過剰流動性が流れ込んだ日本に似ています。ですからフレート代(船賃)が高くなって、中国からの造船の発注が大幅に増えているといっても、船が出来上がった頃には実需はないのではないかという心配があるのです。
本質が解決しない金融政策
――竹中平蔵経済財政・金融担当相による金融政策についてどうお考えですか。
渡辺 迷走しています。金融機関については、がんがんハードランディングの風を吹かせましたが、結局は外資や優越的地位を利用した融資先の擬似的資本増強が大量に行われて、国有化はしないという話になりました。これでは本質的な問題は解決しません。引き当て不足、債務者区分のおかしなところが炙り出されると、再び金融機関の問題に火がつくと思います。
――新生銀行の上場でずいぶん批判の声が上がりました。買収した米投資ファンドのリップルウッドが巨額の利益を得ましたが、儲けるのはアングロサクソン系という不満も強い。
渡辺 一言でいえば、戦略のなさですね。私のように、「戦略型資本主義」の発想が貫徹していれば、国民の怨嗟を買うような事態にはなっていなかったと思います。要するに、私の立場は、グローバリズムを排除もしないが、妄信もしない。要はナショナルエコノミーの安定、国益を第一義として行動すればいいだけの話です。当たり前の発想が本質的に欠けていたということでしょうね。
――すべて、市場原理主義が正しいというような議論になっています。金融政策がしっかりしていれば、日本経済もこんな状況にはならなかったのでは。
渡辺 確かに市場には失敗もありますから。竹中さんの金融政策は間違っています。もし私が大臣だったら、もっと上手にやったと思います。当たり前のことが当たり前にできていないということです。市場が失敗している時に政府が出て行かなかったら、誰も失敗から逃れられなくなってしまいます。突き詰めていけば、日本が国家の体をなしていないということです。世の中にはいろいろな非常事態があります。大災害、大事故、テロ、戦争等の事態を、民間任せにはしないでしょう。根本的な欠陥は、経済の非常事態という概念が、憲法や国家体制の中で、ほとんど顧みられてこなかったことにあると思います。
(私のコメント)
渡辺喜美議員の出身地も竹中大臣の魔の手にかかり足利銀行が破綻しましたが、地元では貸し剥がしが横行して、栃木県の上空にはハゲタカが飛び回って餌を狙っている。竹中大臣の背後には国際金融資本家がいるから、日本の一国会議員が反対してもどうにもならない。このまま放置していけば日本はアメリカのような市場原理主義国家になるだろう。