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「後出しジャンケン」はルール違反だ。子どもでも分かる。一連の年金制度改革法案審議で、それをしていたのが厚生労働省だ。国民の関心が高い、いくら払い、いくらもらえるのかという正確な数字を衆院可決後に公表した。その算定の基礎となる出生率データも隠していた。自分たちに不利な情報の後出しを、繰り返した厚労省の“罪”とは−。
「これだけの資料がそろって、なぜこれまで出せなかったのか」
昨年の合計特殊出生率が一・二九だったとの報道を受け開かれた厚労省の十日の会見で、データを“後出し”しようとした同省の姿勢を報道陣は、こう執拗(しつよう)にただした。
資料はA4判で五十ページに及び、詳細な分析が添えられている。コピーではなく製本されたものだ。
同省担当者は「これだけの資料を作るために非常に苦労したということで…」などとはぐらかし「数字がまとまったので発表した」とする官僚答弁に終始した。
一方で「別の計算方法なら出生率は一・五五になる」と説明、報道陣から「低い出生率を取り繕うためではないか」と非難される場面もあった。
年金制度改革法案では、出生率は二〇五〇年に一・三九まで回復すると予測している。それを前提に同法案のさまざまな数値を決めていた。だが、〇二年の出生率は一・三二と低く、野党側からは審議中も試算を危ぶむ質問が繰り返されていた。
参院厚生労働委員会で与党が強行可決させた三日、その直前に民主党の山本孝史議員は「おそらく今年は一・二九くらい」と予測しながら、出生率の公表を迫った。一昨年の前回発表は六月五日だった点も指摘したが、坂口力厚労相は「まだ(数字が)手元には来ていない」と繰り返しただけだった。
■『分析に時間かかったので』
山本議員は「丁寧に製本された資料を見てあっけにとられた。少なくとも質問した時点で、数字が出ていないわけがない」と憤る。
「統計は厚労省のものではなく、国民のものだ。統計をどう読むかは、国民や国会が判断することだ。『分析に時間がかかった』とする厚労省の言い訳は説明になっていない」と指摘しながら「こうした姿勢こそが、年金制度に対する信頼を失わせている。厚労省こそが制度をつぶしている」と批判する。
実際、同法案審議で厚労省が、議論の前提となるデータを“後出し”したのは、今回だけではない。
厚生年金は、モデル世帯の給付水準は「現役世代の平均手取り年収で50%以上は確保」と繰り返し説明してきたが、先月一日に受給開始後には次第に下がり五割を切ると報じられ、衆院通過後の十二日の参院本会議で認めた。
また、二〇一七年度に一万六千九百円で固定すると説明していた国民年金保険料も、現在の賃金水準を前提としたもので、賃金上昇率が2・1%の場合は、一七年度で二万八千六百円、三七年度で三万千六百十円と、実際には上昇することも初めて認めている。
同日の参院本会議でこの点をただした共産党の小池晃議員は「推測して的を絞った質問をしない限り、都合の悪いデータは巧妙に出さない」と指摘。「出生率は、他データをしぶしぶ“後出し”してきたことに比べて、もっと積極的に隠していたと思う。まさに確信犯で、年金に関するあらゆる質問の土台をごまかしてきたことは許しがたい」と断じた。
出生率データが漏れたことに、坂口厚労相は怒りが収まらない。十日の参院厚労委では「大臣に報告しないでマスコミに流し、まことに遺憾だ」と述べ、厚労省の不手際を批判した。
先月十六日にも坂口厚労相は、国会議員らの未納・未加入が相次いで発覚した際も、未納問題より社会保険庁のデータ管理に疑問を呈した。
国民の関心が高い年金問題だけに、大臣は同省に対して情報開示を促す立場であるはずだ。
だが厚労省がそうしない背景に、国会を担当するある記者は「役人は、今回のように重要な話は与党幹部に根回しする。後から政治家に『そんな話は聞いていない』と批判されるのを慎重に避けるはずだ」と与党との関係を優先させるという。
国民に向いていない坂口厚労相にも、“後出し”がある。自らの国民年金加入について、年金法案審議が終盤に入った五月下旬になって「任意期間の時代に二年間余りの未加入期間があった」と初めて報告した。
坂口厚労相の情報公開の姿勢について、政治評論家の小林吉弥氏はこう指摘する。「坂口さんは見かけによらず政治家だ。都合の悪い出生率データを自分は知らなかったというのはカムフラージュで、ほかのニュースが多い日に、こっそり公表するつもりだったのではないか。年金法案の審議中に漏れていれば、野党が追及して廃案につながりかねない話だ。大臣や、与党の一握りの幹部には事前に感触が伝わっていたとみるのが常識だ」
年金問題に詳しい西沢和彦・日本総研主任研究員は「データを後出ししたと思われること自体が、年金制度をどう変えるかという生産的な議論を妨げてしまう。企業が、決算に影響を与える重要な情報をすみやかに公表するように、役所も重要なデータが分かった時点で、政治的なスケジュールに惑わされず、すみやかに公表するルールを確立すべきだ」と指摘する。
だが、情報を握る官僚のその管理や操作は巧みだ。
前衆院議員で、年金問題の追及を続ける保坂展人氏は「役所はデータを後出しするだけではない。情報を出す場合は、一晩ではだれも読めないような山積みの資料を出してくる。しかも今回の年金関連法案の中には、積立金運用の失敗を重ねてきた特殊法人を衣替えし、〇六年に独立行政法人化する法案をまぎれ込ませた。ほとんど議論がないし、運用失敗を重ねたことへの反省もない。これは、立派な情報隠しだ」と手口を説明する。
一方で、保坂氏は「野党も、国民に分かりやすいようにと未納問題などウケを狙いすぎたため、追及が甘くなった」と批判する。
■マスコミや野党追求甘く
審議の焦点になった出生率データを、朝日新聞と読売新聞が独自に報道しなければ、公表がさらに遅れた懸念もあった。紺谷典子・日本証券経済研究所主任研究員も、野党やマスコミの追及不足に疑問を呈する。
「いたずらに年金危機をあおり、給付と負担の議論ばかりになったのは野党が厚労省の土俵に乗せられた結果だ。『役所が数字を出さない』と言い訳するのであれば、なぜ野党は『年金危機だ』と騒いだのか、どこが危機かと政府・与党に問い返さなかったのか。マスコミも含めて厚労省のお下げ渡し情報や資料を一生懸命勉強しているだけなのは残念だ」
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20040612/mng_____tokuho__000.shtml
住基ネットとリンクされる恐怖 「納税者番号制度」で国民のプライバシー丸裸[日刊ゲンダイ]
http://www.asyura2.com/0401/it05/msg/433.html